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2010年7月 2日 (金)

新研究、マスコミの政府隷属を立証

Glenn Greenwald

2010年6月30日

"Salon"(訳注:リンク先は全て英語原文)

ハーバード大学大学院、ジョン・F・ケネディ・スクールの学生によって新たに発表された研究は、アメリカの体制派マスコミが、政府当局発言を、増幅し、奉仕(チェックするのではなくて)することに、どれだけ徹底的に専念しているかについて、最新の証拠を提供している。この新たな研究は、過去100年間、アメリカの四大新聞で、水攻めがどのように論じられてきたかを検討し、アメリカ政府が、あからさまに、それを使い始め、それは拷問ではないと主張するまで、このテクニックは、ほとんどいつも、明白に、"拷問"と呼ばれているが、政府がそうではないと主張すると、新聞は従順に、そうした形で表現するのを止めてしまっているのを発見した。

          

同様に、アメリカの新聞は、他国が行った場合、水攻めを"拷問"と表現する傾向がかなり強いが、アメリカがそのテクニックを採用すると、この用語を使うことを突然拒んでしまう。

          

いつものことながら、アメリカの体制派マスコミは、単純に、アメリカ政府の進む経路に付き従う(だからこそ、"体制派マスコミ"なのだが)。アメリカ自身が長らく、水攻めを"拷問"として非難し、そういうものとして訴追さえしてきたものを、その戦術を使い始めるやいなや、突然態度を豹変し、そうではないと宣言する。研究が書いている通り、まさに"新聞が、水攻めを表現する方法の大幅で突然の変化" がこれまでに起きたのだ。アメリカの体制派マスコミは、アメリカ政府がする通りにするのだ。

こうしたことのいずれも、もちろん驚くべきことではない。誰がそれをしているのかに基づいて、あるもの事について(あるいは、どれだけ頻繁に)表現の仕方を、アメリカのマスコミがすっかり変えてきたかは、私や他の人々が何度も逸話的に実証してきた(悪い国が、それをする場合には"拷問"だが、アメリカ合州国がそれを行うと、何か心地よい婉曲表現を使う。アメリカ人に対して、何か悪いことが行われると、絶え間なく話題にするのに、アメリカがやった場合には、事実上の報道管制等々)。これは偶然のできごとではなく、きわめて意図的なものだ。ニューヨーク・タイムズや、ワシントン・ポストや、ナショナル・パブリック・ラジオ等のマスコミは、政府当局者が、それは"拷問"と表現するべきではないと声明をしてしまえば、アメリカ政府が承認するテクニックに対して、"拷問"という言葉の使用を禁止するという方針を、明白に採用してきた。

アメリカのマスコミが、進んでその任務を行っているので、我々は国営マスコミを必要としないのだ。アメリカ政府が、あるテクニックは、もはや拷問ではないと宣言しさえすれば、アメリカのマスコミは律儀にその単語を使うのを止める。こうした迎合的な行動のおかげで、あからさまに国家が管理するマスコミは不要になる。『動物農場』序文草稿で、ジョージ・オーウェルは、第二次世界大戦中に、イギリス政府が、正式、公式な検閲無しに、どれほど完全に、マスコミの報道内容を支配することができたかを書いている。

    イギリスにおける文章検閲に関する暗い事実は、それがほとんど自発的だということだ。公式な禁止など不要で、評判の宜しくない考え方は無視し、不都合な真実は隠しておくのだ. . . .

    日刊新聞に関する限り、これは容易に理解できる。イギリスのマスコミは、極端に中央集権化されており、その多くは、特定の重要な話題については不正直となるあらゆる動機を持った裕福な人々が所有している. . . . どのような時点においても、まともな考えを持った人々全員が、あれこれ言わずに受け入れるであろう、ある種の考え方、つまり、正論というものはある。これ、あれ、あるいは、他の事について言うことが厳密に禁じられているわけではないが、丁度ビクトリア朝中期には、淑女の前でズボンという単語は言ったり‘しないもの’だったように、そういうことは言ったり‘しないもの’なのだ。

2007年、ルディー・ジュリアーニは、特定のテクニックが拷問にあたるかどうかという説明で、"誰がそれを行うかによる" と発言し、笑い物にされた。倫理や言語に関する、これほど悪びれない、国粋主義的理論を見聞きすることは極めて稀だ。しかし、これはアメリカ政府のみならず、アメリカの体制派マスコミが採用しているのと、まさに全く同じ基準なのだ。

本当の問題は、"テロ"という単語の、融通無碍で恣意的な使い方によって、同じ問題が提起されているということだ。政府というものが、まさに同じ行為を他国が行った場合と対照的に、自らの行為に、全く異なる基準、更には全く違う言葉さえ適用して、自国民に、思想宣伝をしたがるだろうことは、当然予想できる。しかし、マスコミがそうした行為を(アメリカのマスコミがやっているように)コピーしてしまえば、政府プロパガンダを、批判的に精査し、誤りを暴くのではなく、増幅し、鼓舞することになる。これはかなり深刻な問題ではあるまいか?

政府が命令する場合、行動は更にとんでもないことになり(現時点で、水攻めはもはや拷問ではない)直接、マスコミのふるまいの変化を招いてしまう。そして、この政府/マスコミによる共同あいまい化の究極的効果は、アメリカ人は他と異なっていて、例外で、より優れているのだから、アメリカ人は、自分たちがしていることを表現するのに、異なる言語さえ用いても良いのだという有害な観念に一層凝り固まってしまうことだ。このハーバードの研究は、政治力を持った連中が、自ら、そして他者を、悪く、違法な事というのは、本質的に、悪い他国がすることだけであって、決してアメリカ自身によるものではないと説得するプロセスそのものを立証している。

アップデート: 「アメリカがすることは全て-本来-違っているのだ症候群」の典型例については、前の投稿記事のアップデートを参照いただきたい。

記事原文のurl:www.salon.com/news/opinion/glenn_greenwald/2010/06/30/media

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普天間基地や、大企業・富裕層優遇税制、ホンジュラス・クーデターの真実には、決してふれない。

検索してみると、ホンジュラス・クーデター問題にふれている新聞が、一紙あった!

日本の体制派マスコミは、宗主国と属国政府がする通りにするのだ。

参議院選挙を前にした連日の報道、民主党政府プロパガンダを、批判的に精査し、誤りを暴くのではなく、増幅し、鼓舞してい るだけだろう。

「基地問題と憲法改悪」に直接つながり、選挙をややこしくするので、日本の体制派マスコミは、

事実上の報道管制をし、

日本における文章検閲に関する暗い事実は、それがほとんど自発的だということだ。公式な禁止など不要で、評判の宜しくない考え方は無視し、不都合な真実は隠しておくのだ。

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