記者会見する日立子会社の専務(中央)ら=12日、東京都千代田区 |
日立製作所は12日、日産自動車など自動車メーカー3社に供給するエンジン制御装置の納期が遅れていると発表した。半導体メーカーから調達している特注のIC(集積回路)の供給が急減したためという。これを受け、日産は14日から3日間、国内の4完成車組み立て工場の操業を止めることを決めた。ほぼすべての車種計約1万5千台に影響が出る見通し。災害以外で自動車生産が止まるのは異例だ。
納期が遅れたのは「エンジン・コントロール・ユニット」(ECU)と呼ばれる装置。日立子会社が生産し、日産などに供給している。
ECUには電子部品が多く組み込まれ、日立子会社は主要部品の特注ICを外部の半導体メーカー1社から調達。しかし、2日にこのメーカーから減産を通告され、日産向けのECU2万個、ほかの2社向けで数千個の納期が遅れる事態になった。日立は、最近のICの(需給)逼迫=ひっぱく=が背景にあるとみている。ただ、このメーカーの名を明らかにしていない。
この事態を受けて、日産は追浜(おっぱま=神奈川県)、九州(福岡県)、栃木の完成車組み立ての国内全3工場と生産子会社日産車体の福岡の工場の稼働を止める。
日立は、来週から8月上旬までの必要量は確保できたといい、日産は来週以降、生産を通常通りの態勢に戻す方針だ。ただ、3日間の生産停止のため、一部の車種で納車が遅れる可能性がある。
日立がECU用のICを1社だけに発注していたのは、特注品は調達先を絞った方がコストが安くなるため。こうした手法は自動車や電機業界で使われている。