米大統領:戦略核兵器の削減予定数を公表

2010年5月14日 11時35分 更新:5月14日 13時28分

 【ワシントン古本陽荘】オバマ米大統領は13日、先月プラハで調印した米露新戦略兵器削減条約(新START)を上院に送付した。同時に提出した議会向け報告書(機密扱いで一部のみ公表)の中で、同条約に基づき削減する戦略核兵器の運搬手段の現行保有数と削減予定数の内訳を初めて明らかにした。米国は3日に射程の短い戦術核を含めた保有核弾頭数を公表しており、それに次ぐ情報公開となる。

 新条約は、米露が配備する戦略核弾頭の上限をそれぞれ1550に制限するもの。戦略核の3種類の運搬手段についても、米露それぞれ総数800(実戦配備分700)と上限を規定している。

 議会向け報告書によると、大陸間弾道ミサイル(ICBM)については、現在、450基の発射施設を擁するが、最大で420基の運用体制に縮小。94機ある戦略爆撃機については、一部を通常爆弾運搬用に改修したうえで、60機まで減らす。

 一方、戦略核発射型の原潜については、現在の14隻体制を維持するが、原潜1隻あたりの発射装置の数を24から20に削減。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の配備の上限は240とした。

 また、報告書は核抑止力を維持するうえで、核兵器の性能維持を確保する必要性を強調。今後10年間で関連予算を約800億ドル(7兆4400億円)投じる方針を明示した。

 大統領は同日、ロシアのメドベージェフ大統領に電話で条約の上院への送付を報告した。米露両国は同日、新STARTの早期批准と条約の誠実な履行を両国の優先課題とする共同声明を発表した。声明では、新条約を「冷戦の終わりを示すもの」と表現。他の核保有国にも、核兵器の役割を限定させる取り組みを呼びかけた。

 大統領は早期批准に協力を求める書簡も上院に提出。批准には共和党の一部の賛成が不可欠だが、党派対立は強まっており、年内批准は予断を許さない。

 焦点は、新条約によって米ミサイル防衛(MD)に一定の制限が加えられる、とロシアが解釈している点。大統領は書簡で「条約はMD開発や配備に制約を課すことはない」と強調した。

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