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[19410] 【習作】始まりと終わり(リリカルなのは)
Name: アドバーグ◆bdfba43b ID:07ba40b5
Date: 2010/07/11 14:55
ほぼ、初投稿です。
【始まりと終わり】について

・オリキャラ主人公です。
・今全力全開で全編改変中です。時系列に致命的な欠陥があったので、一回真っ白にして書き直しています。(7月8日)
・無印編(導入編)終わりました。
・書き直し前と大きく変わっています。

【メルヘンフェイト】について

このSSのフェイトの半分はメルヘンで出来ています。
読み切りの量です。
完結済み





[19410] 魔法少女メルヘンフェイト【一話完結】
Name: アドバーグ◆bdfba43b ID:07ba40b5
Date: 2010/06/14 01:17
~~~時の庭園~~~



「どうして、こうなってしまったのかしら?」
「いったいリニスはどういう風に育てたのかしら?
せっかくアリシアの記憶をあげたのに似ているのは見ためだけ。フェイトは私を慰みに使う人形のはずなのに・・」

一人、緑の髪をした紫がイメージカラーのの魔女、プレシア・テスタロッサは一人呟いた。


「アルフー!!この庭園にもお花が咲いたよ。ほら、そこ!きれいなタンポポ」
「いやーほんとだねぇ。フェイトの思いがお花にも伝わったんだよ。」
えへへ~とフェイトは笑顔でアルフに抱きつく

『庭園をお花で満開にしたら、きっと母さんが笑ってくれる』
これは一か月前にフェイトのいった言葉だ。
一輪の花を咲かせるのに一か月もかかってしまった。
フェイトは必死になって、栄養価の高い土や、天然水を取りに行った。
そしてようやく咲いた一輪の花。ここから色々な生命が生まれていくことだろう

そんな二人に突然声がかかる。
「フェイトはいるかしら?」
紫の魔女プレシアが中庭にやってきた。

「母さん!このお花、初めて庭園で咲いたお花なんだ。これ母さんのために育てたからもらってくれませんか??」
フェイトは興奮しながらプレシアにいう。
「くだらないわね」
プレシアはタンポポを踏みつけながら一蹴する。

「あなたには、やることができたのよ、フェイト」
「なんですか?私なんでも咲かしますから」
と、パァッと笑顔を咲かせる。

「今から海鳴というところにいって、ジュエルシードを集めてもらうわ。ジュエルシードの資料はこのレポートに全部書いてあるから
すべて読んだらすぐに海鳴に向かいなさい。」
「わかりました。今すぐ向かいます!!ほら、アルフ行くよ。転送!!あ、場所わからない」

フェイトは全力でレポートに目を通し、高速で読み終えて、転送していった。

「まったく・・・あの子はわかってないわね。わたしは菜の花畑が好きなのよ。」
魔女は誰もいなくなった庭園には独り言をいいながら、しおれたタンポポに水をあげるのであった。





~~~海鳴~~~



「着いたよ、アルフ。ここはきれいな世界だね」
「そうだねぇ。庭園とは大違いだねぇ。」

極めてのんきに会話をしながら、フェイトとアルフはジュエルシードを探すのであった。
そんな感じで1時間が過ぎた。

「これが海なんだ。青くてきれいだ。空の色が反射しているのかな?」
「・・・フェイト?歩いているだけではジュエルシードは見つからないよぉー。」
「歩いている時しか見つからないものだってたくさんあるんだよ。走ってばっかりじゃ、疲れるし、
それに、潮風が本当に気持ちいい。ほら・・・・アルフあれ見て!!」
「タンポポだー。確かに走ってたら見つけられないよ~ってちがうよ。」
「ほら!そっちにはジュエルシード!!」
「嘘!?」
「アルフは私のこと疑うんだ。わたし、アルフのことは信じてるつもりなんだけどな・・」
フェイトのは肩を落としながら、バルディッシュをシーリングモードにする。
「封印っと。ほらね、アルフいったでしょ。歩いていなくちゃ、見つけられないものもあるって」
「・・・・ごめん、フェイト。私が間違ってたよ。」

こうして、早々に一つ目のジュエルシードを確保したフェイト達だった。



~~~翌朝~~~



「ケーキっていうのを食べてみたい。」
朝食にワッフルをかじりながら、さらに食べ物の話をするのはフェイトである。
「あたしは食べられないけど、フェイトがどうしてもっていうなら行ってもいいけどさ~」
「ありがとう。アルフ」
パァッとフェイトは笑顔でアルフをなでる。
だからフェイトそれは反則だって

今日はジュエルシードを探しながらケーキ屋を探すことになりました。



~~~お外~~~



「今日もお日様がやさしいね」
「優しいかどうかはわからないけど、確かにいい天気だねぇ。」
昨日同様、フェイトはご機嫌である。


「そういえば、庭園のお花、ほったらかしで来ちゃったけど、ファワー(タンポポの名前)大丈夫かな?」
「どうだろうねぇ?それよりもプレシア!踏みつけるなんてありえないって!!」
「だめだよ、母さんの悪口いったら。それにきっと母さんはお花が少なかったから優しい気持ちになれなかったんだよ。
今度は、もっといっぱい咲かせようね。だから、また手伝ってね!」
「フェイトぉ・・・」
アルフはフェイトの優しさに包まれる


てくてくと二人は歩いていく。
きれいなお花はいっぱい見つかったけど、ジュエルシードは全然見つからない。
でも、ケーキ屋っぽいものは見つかった。


~~~お店~~~


「・・・・漢字が難しくて読めないけど、多分このお店は知る人ぞしる名店だ」
フェイトの直観は99パーセントくらいで当たる
「こんにちわー」
元気よく、フェイトはドアを開く

「「いらっしゃいませー」」
お店の中には若く見えるが、どこか母性を感じる女性と、男の中の漢って感じの店長らしき人が出迎えてくれた。
「ケーキってありますか?」
「あらあら、かわいいお客さんね。どんなケーキが好きなのかな?」
「私、ケーキ食べたことないから・・わからない」
「じゃあ、今日一番よくできたこのモンブランはいかがかしら?」
「それでお願いします!あと、ホットミルク二つください」
「はい。かしこまりました」

モグモグ・・・「おいしい」
「そぉかい。なぜか、このホットミルクもいつものよりうまいし、このお店は不思議だねぇ」
モグモグ・・・
モグモグ・・・

「すみません!このお店はなんて読むんですか?」
唐突に店主っぽい漢の人に話しかける。
「あぁ、きっさ『みどりや』だよ」
「ありがとうございます。みどりやさん。また来ますね」
「・・?まぁいいか。またいつでもいらっしゃい」

ごちそうさまでした~!おいしかったですーー
ブンブンと手を振りながら、フェイトとアルフは翠屋をあとにしました。



~~~お外~~~


「風って不思議だよね。時にはひどい雨も降らすけど、こうゆったりと吹くと気持ちが安らぐ」
あたしは、フェイトのその顔が一番安らぐんだけど・・アルフはそんなことを考えながら、フェイトにそろそろ、
広域探査してもいいんじゃないか?と提案したところ、

「そうだねー。おいしいケーキ屋さんをもっと見つけるのもありだね。バルディッシュ!Set up!!」
≪Get Set(準備できています、お嬢様)≫
「広域探索・・ルンララ~っと。」
広域探索魔法『ルンララ~(仮)』によると、ジュエルシードは森の方に、ケーキ屋は町のほうにあるらしい。

「行くよ!バルディッシュ!!ソニックムーブ!!」
「なんで?」魔力の無駄遣いすぎる

メリハリのしっかりしすぎているフェイトに完全に追いていかれるアルフであった。


~~~森~~~


フェイトは、電信柱の上に止まり、なんかでっかい生き物がいることに気付いた。
「猫だ!しかも、めちゃくちゃ大型。・・・・かわいい。バルディッシュ。行くよ」
≪Yes Sir≫




Side ユーノ&なのは

「あ、、あれは?」
「あの猫の大きくなりたいって夢が正しくかなえられたのかと。」
「ははは・・」
「でもあのサイズだともとに戻さないとだね!!」

「レイジングハートセットアップ!!」
≪Set Up≫
なのははバリアジャケットに着替え、猫を見る。
すると、猫の背中に金色のうごめく物体が見えた。


金色の少女は猫の背中に抱きつきながら相棒と思われるデバイス?に話しかけていた
「ねぇ、バルディッシュ」
≪Sir?≫
「大きい猫ってバルディッシュはなんていうの」
≪Big Cat≫
「びっぐ、きゃっと・・か。ちょっと長いね。ビット・・この響きはかわいらしい。よし、この子の名前はこれから『ビット』だから」
≪Yes Sir≫
と、なにやら楽しそうでユーノとなのはに気付く様子もない。

「なのは?あの子知り合いだったりしない。」
「残念ながら。知らない子なの。」
あははと二人は顔を合わせ笑い合う。

「でもなのは、ジュエルシードを封印しなくちゃ」
「そうだね。でもまずはあの子を引き離さないと。」
「それは僕がやる、なのはは封印に集中して!」
「わかった。ユーノ君いちおう気をつけてね、ってえ!?」

なのはとユーノが話している間にすでに猫は小さくなっていて、金色の少女の手の中にすっぽりと収まっていた。
ジュエルシードも当然封印されていた。

「よしよし、ビットは小さくてもかわいいから、お前はお前のままでいいんだよ。」
「みゃあ!」
「いい子」
なでなで。執拗になでなでしているが、ビットとよばれる猫も一切嫌がっている様子はない。

「なのは、どうしようか?」
「たしかにジュエルシードは集めなくちゃいけないけど、今、あの子からあのジュエルシードを横取りするのは無理かな・・なんて」

会話しているうちに少女は消えてしまって、気がつけば目の前には猫が一匹いるだけだった。


Side Out


~~~フェイト帰り道~~~



(アルフ迷子になったの?)すぐ近くにいるのに念話で呼び掛ける
(だって、フェイトが置いていっちゃうんだもん)アルフはすねている

そっか、ごめんね。とアルフの上にフェイトは手を載せる。
すると、アルフは気づいた。
「フェイト!!なんでフェイトからほかの子(獣)の匂いがするのだぃ?」
「友達になったんだ。ビットっていうんだよ。象より大きかった猫だよ。」
「??」たまに、フェイトはわけのわからないことをいうなぁと思うアルフだった。



~~~少し日がたった連休~~~



基本的にここ最近はフェイトは同じような日常だった。
起きる→顔を洗う→観葉植物にお水をあげる→柱頭を染める朝日にウインクする→朝食にメープルシロップをかけたワッフルを食べて
翠屋でケーキを食べてから探索魔法なしでまったり探索だった。成果はゼロ。でも、きれいなお花はいっぱい見つけた。最近結構種も集まってきて、
庭園お花計画にも現実味が出てきた。

そんな毎日を過ごし、翠屋の常連になりつつあるフェイトは「みどりやさん(士郎さん)」に話を聞いた。
みどりやさんはこの連休に温泉に行くといっていた。

みどりやさんが行くところなので、きっと素晴らしい所なんだろうということで、フェイトはアルフとともに、温泉に行くこととなった。
行く道でフェイトは思った。
【温泉ってなんだろう??】

そんなこんなで温泉行きのバスに乗り込むフェイトだった。



~~~温泉~~~


「飛んでいった方が早かったねぇ。」
「木もいいな。でも、針葉樹よりも広葉樹のほうが季節感も・・いいね。」

フェイトの庭園花屋敷計画を着々と組みあがっている。

「ところでアルフ?温泉って何?」
「まさか・・・知らないで来たのかぃ?」
「そうだよ」
「お風呂だよ。美肌、健康にもいいんだってさ」
「楽しみだねっ!!」

「たのもー!!」
フェイトとアルフは温泉に殴りこむ。
あっという間に全裸になったフェイトはソニックムーブで温泉に入る。
「あつぃ!!駄目!とける!!」
フェイトはソニックムーブで帰ってきた

「アルフ・・・温泉って手ごわいね。でも、平気、わたし強いから。」
再びソニックムーブで温泉へと舞い戻った。
「ふひゃああああ!!!」
お湯の熱さに悲鳴を上げるフェイトだった。

こんな感じでフェイトは温泉を満喫しました。


~~~お宿~~~


着替えなど持ってきていないフェイトは備え付けの寝巻(着物みたいなの)を着て、縁側で涼んでいた。
すると、正面に『みどりやさん』がいました。

フェイトは、あいさつにいくことにしました。
「みどりやさん。ごきげんよう」
「おや、フェイトちゃんじゃないか?こんにちわ」
「今日、みどりやさんが温泉にいくって行ってたので、私も気になったので来てみました。
でも、温泉っていうのは、手ごわいですね?」
「・・?手ごわい??まぁいいや。フェイトちゃん。実は今家族と友人の家族でここに来ていてね、以前話をしていた
フェイトちゃんと同い年の娘がいるんだが、一度あってみないか?」
「あたらしい『みどりやさん』ですか?楽しみです。」
とフェイトはワクワクしている。

「おーい、なのは、なのは、以前話していたよく、喫茶店に来てくれる女の子がいるからーー」
という声が聞こえ、ちょこちょこと女の子が3人フェイトの目の前にやってきた。

なぜか、そのうちの一人、栗色の少女はフェイトを見るや否や、挙動がおかしくなっている。

~念話タイム
(ユーノ君)
(間違いない。猫の子だ)
(どうしよう??)
(うーーーん)~

「なのは?なにしてるのよ。挨拶しなさい」リーダー格っぽい女の子がいう。

栗色の髪の少女が自己紹介する。
「わわわ・・わたし、高町なのは。私立せーしょー大ふぞく小学校に通う高町なのは小学三年生」
つづいて、きつめの感じのブロンド色?の髪の少女があいさつする
「アリサ・バニングスよ。よろしくね」
最後に地味にかわいい少女があいさつをする。
「月村すずか えっと、すずかでいいよ。」

三人の自己紹介が終わり、フェイトも自己紹介する。

「わたし、フェイト、フェイト・テスタロッサ!!
よろしくね、なのは、アリバニ、すずか!!で、だれがみどりやさん??」

「「「・・」」」三人のうち、二人は笑いを、一人は怒りをこらえる。

「多分、なのはちゃんじゃないかな?」とすずかがファインプレーで切り返す。
「そっか。よろしくね。みどりやさん!!」
三人はなんだかもうよくわからない。というより、作者もわからない。

「アリバニ!!」
「なに?それと、わたしはアリサよ。なんで、他の二人は名前で呼ぶのに私だけ、変な名前で呼ぶのよ!」
「アリバニ、温泉の近くって地面もあったかいんだね。」
フェイトは地面に手をあて、自然を感じている。

庭園にも温泉があれば、母さんもやさしい気持ちにされるかもしれない・・とかフェイトは考える。
また、アリサは、性格的にもうフェイトには勝てないことを悟った。

~~そのころのアルフさん~~

『極楽だねぇ』
一人、まだ温泉にいた。

~~フェイト視点~~

私は新みどりやさん(なのは)に呼び出された。
新みどりやさん。ながいね、しん、み、どり や よし、決めた

「どうしたのシンドリー??」
「えっと……わたしのことだよね。」
(多分)なんか念話が聞こえる。
「えっとね、フェイトちゃん、フェイトちゃんはどうしてジュエルシードを集めてるの?」
単刀直入にシンドリーに聞かれた。
「きれいなお花を咲かせたいんだ。たった一輪の花なんだけど、全然咲いてくれなくて。
でもね、ジュエルシードを集めたら、そのお花は咲くらしいんだ。」

~~戻ります~~

(ユーノ君?わかった?)
(ごめん、さっぱりわからない。)
(よねーー)

「フェイトちゃん、ジュエルシードはユーノ君の落としたもので、もともとはユーノ君のものだから、帰してくれたらうれしいの」
(なのは、それはちょっと強引じゃないか?)

「ごめん、シンドリー。それはできない。だって、母さんはジュエルシードを楽しみにしているんだから。」

(お花?母さん?わかったぞ、なのは!!ユーノはひらめいた。)
(フェイトは、お母さんのためにジュエルシードを集めて、お母さんの笑顔を咲かせたいんだ。)
(ユーノ君この話きかなければよかったね)
(・・・・・ごめん)
(ユーノ君が謝ることはないよ。)
(でも、どうしよう??)






~~~夜~~~


ジュエルシードが発動する。
なのはとユーノは現地へ向かう。しかし、一足遅かったようでフェイトはすでに封印を完了し、よもぎを集めていた。

「フェイトちゃん!ジュエルシードは危ないものだから、私たちに渡して!」
「それはさっきお断りしたはずだよ」とフェイトは食べられるキノコを集める。

「話し合ってもわからないようだから、悪魔らしいやり方で聞いてもらうから。
レイジングハート セーットアップ!!」
≪Set Up≫
フェイトは両手に山菜など採ったものを持って、バルディッシュを口ではさむ。
「ふぉにっふ・ふーふ」
≪Sonic Move≫
<フェイトは逃げ出した>。

「ま、まって!!」
「だめだ、なのは、フェイトは僕たちの中でも最速だ。追いつけないよ。」

「広域探索魔法で洗い出す。」
「なのは落ち着いて!!」
「レイジングハート」
≪All Right≫

なんと、フェイトは3M先にいた。しかし、なぜか、とても慎重に動いている
突然フェイトがすばやく動いた。

フェイトの手には見慣れないものがあった。
そう、蜂の巣だ。
「ふぉにっふ・ふーふ」
≪Sonic Move≫
<再びフェイトは逃げ出した。>
なのはとユーノは蜂に見つかった。
<なのはたちは逃げ出した。だが回り込まれてしまった>
ユーノが結界をはってやりすごす。

こんな感じでなのは達と、フェイトのいたちごっこは朝まで続いた。


~~~翌朝~~~


フェイトは朝食にワッフル(持参)にはちみつ(採れたて)をかけて食べていた。

「はちさん、ありがとう」どんなときにでも、自然への感謝は忘れてはいけないというのが
リニスの教えの一つだった。
これを機に、朝食にはちみつワッフルもレギュラー入りすることになった。

「フェイトちゃん!」
「あ、シンドリー。どうしたの?ワッフル食べる?」
「ありがとう・・おいしぃ。。。ってちがうよ!ジュエルシード!!」
「ちゃんと封印したよ」
「ふぅ・・・なら安心したの・・・ってちがうよ!」
「これ、新作のはちみつ味。太陽の味がするよ。」
「本当だ!!ってコノはちみつワ!?」
「昨日シンドリー。と別れてからとったんだ。」
「もう・・・いやーーー!!!」

≪Put Out≫レイジングハートからジュエルシードがひとつポンっと出る。
≪Capture Mode≫バルディッシュはそれを収集する。

「なんでレイジングハート??」
≪You lose≫
「負けてないもん。まだ戦ってないもん。」
「きっと、主人思いのいい子なんだ。」
「わけわかんないのーーー!!!でも、今度はしっかり勝負して貰うから。」
「いいよ。でも場所とルールは私が決める。それでいい?」
「わかった。どんな勝負でも絶対まけないからね」



~~~森~~~


勝負をするために移動し、フェイトは説明を始める。
「決闘は1対2、私は、ルールまで決めたから一人。制限時間は10分。10分でより多くポイントを取れたほうが勝ち。負けた方が勝った方にジュエルシードを一個渡す。いいね?」
「なんか、釈然としないけど、いいよ。わたしはユーノ君と出る。ユーノ君サポートよろしくね。」

ということで、アルフが審判をつとめ勝負は始まった。
ユーノは探索魔法を展開し、なのはに的確に指示を出す。スクライアの一族に探し物においてはトップクラスである。

一方フェイトはというと、串のようなものを一心不乱に地面に投げ、撃ちつけていた。

「5分経過」アルフは告げる。

ユーノとなのはは、場所を移動し、先ほどと同じく的確な指示の元なのはが目的を探しだした。
一方フェイトは飽きたのか、きれいなちょうちょを追いかけていた。

「終了ーー!!」アルフが号令をかける

「すごいよ!ユーノ君。これは絶対わたしたちの勝ちだよ!!」
なのははすごくよろこんでいるが、それも2秒ももたなかった。

「うんにゃぁ、余裕でフェイトの勝ちだね。さて、なのはとやら、ジュエルシードを渡しな」
「嘘!!しっかり確認してみて!こんなに集めたのに私たちが負けるはずないよ!!」
なのはは何か吠えているが、アルフは冷静に言い返した。
「その言葉、そっくりそのまま返すよん。」
「本当だ。この針の真下、全部四つ葉のクローバーだ。フェイトは飽きたから遊んでたんじゃなくて、やることがなくなったから遊んでたんだ!」
ユーノの声に従い、なのははフェイトのほうをみると、そこは針山と化していた。
しかも、その一つ一つのしたには四つ葉のクローバーがあり、優になのは達を上回っていた。

「フェイト、どんな探索魔法使ったの?」とユーノが聞く。
「使ってないよ。普通に探したら、四つばのクローバーは見つかるよ」
フェイトはごく当たり前のように答える
「「「????」」」
これにはさすがに、なのは、ユーノ、アルフの三人とも首をかしげるのであった。

≪Put Out≫
≪Capture Mode≫バルディッシュは収集する。

だれも何も言っていないのにレイジングハートは勝手にジュエルシードを一個出す。
実にレイハさんは硬派である。

こうして、おにごっこ、と四つばのクローバー探しによって、
ジュエルシードは。なのは4。フェイト5となりました。



~~~それから数日後~~~


顔を洗い、観葉植物にお水をあげる。
上る朝日を5秒みつめ、朝食にはちみつをかけたワッフルを食べる。
いったて普通のフェイトの日常である。

いつもと違うとすれば、このあとフェイトは翠屋に行かなかった。
家の中で、バルディッシュの手入れをしている。
今日は何か大きなことを起こすのだろうと、アルフは一人考えていた。



~~~夜中~~~



フェイトは町中に行き、ジュエルシードの強制発動をかけることにした。
「フェイト!?突然やる気になってどうしたんだぃ?」
「もう、普通にやっていたら、ジュエルシードは出てこない…そんな気がするんだ。早く終わらせて、お花畑作らないと、母さんを笑顔にできないから・・」
フェイトはめずらしく大まじめに言う。

「行くよ」

この強制発動に、近くにいたユーノがいち早く気づき、全域に結界を張った。
「あそこだ。いくよアルフ。」
近づいていくと、そこには白色の服をきた少女がいた。

「待っていたよ!フェイトちゃん。さぁ、今度は、どんな形で決着をつけようか?」
なのはが、ジュエルシードの目の前で待ち受ける。
勝負したくてうずうずしているようだ。よっぽど前回の敗北がゆるせなかったのだろう。

しかし、フェイトは考えることがなのはろはちがったようだ。
「先に取られちゃった、どうしよう?」
「決まってるじゃないか!この子から奪うんだよ!!」

アルフがなのはに飛びかかる。
なのはが、それをガードで防いだところで、天から雷が落ちる。

「アルフ!人のものはとったらだめなんだよ、覚えておいて」
フェイトは本気で怒った。

「だから、今日は引くよ。またね。シンドリー!」
フェイトは転送呪文で帰って行った。

なのは「フェイトちゃん・・・よくわからないの。。」
誰もいなくなった町でつぶやくなのはだった


ジュエルシードは。なのは5。フェイト5となりました。



~~~翌日~~~


ジュエルシードの保管が不安になってきたフェイトは
一度、プレシアに預けることにした。

「じゃあ、わたし、庭園行ってくるから、アルフは、この家でお留守番しててね」
「けど、それじゃぁ、フェイトが不安だよぉ」心配ではなく不安らしい。
「大丈夫、母さんああ見えても、本当は優しいから。わたし、わかるんだ。」

フェイトは、いままで育てていた、植物から出来るだけたくさんのお花をとり、花束にし、、
いつものワッフルなど、かばんを持って、転送魔法を唱えた。

「じゃあ、行ってきます。ご飯しっかり食べるんだよ!」



~~~時の庭園~~~


「やっぱり、ここの雰囲気は暗い。お花を植えるべきだ。」
着くや否や、フェイトはかばんから種をとりだした。
それを入口付近にたくさんまいていく。

「ここの土はあんまり栄養なくて大変だけど頑張るんだよ。ビスケ!」
花に名前を付けたらしく、ビスケというらしい。

「母さんは、いつものところかな」
フェイトは前植えたタンポポのことも気になったが、早めにプレシアのところへ行くことにした。

「母さん、フェイトです。入ります」
「待っていたわ、フェイト。」
扉を閉めていたフェイトは手足をバインドで縛られる。

「っつ!!」

「あなたが悪いのよ。フェイト。」

「ごめんなさい。母さんがお気に入りだった服を雑巾にしたことですね」

「ちがうわ。」

「この前母さんに作ったスクランブルエッグの卵、消費期限が1カ月まえのだったことですか?」

「それもちがうわ」

「リニスに毎朝ご飯を食べろっていわれていたのに、ワッフルを食べていることですか?」

「もういいわ、フェイト!あなたは本当に馬鹿で使えない。」

「ごめんなさい。でも、わたしのかばんの中見てもらってもいいですか?」
プレシアはフェイトからかばんを乱暴に受け取る。

「たったの5つ。あなたがプレシアテスタロッサの娘ならば、全部集めてから私に意見しなさい!」
プレシアはフェイトは鞭で叩く。

「ごめんなさ、ぅ・・」
謝りながら、鞭で叩かれるフェイト。

しかし、一発で終わった。

「もういいわ。下がりなさい。そして、早くジュエルシードを集めてきなさい」
「わかりました。でも、次はしっかりやってみせますから。」
こんな状況でも、笑顔を満開にして帰っていくフェイトだった。


フェイトが去った直後
「くだらない・・・わ・・。」
かばんの中にあった、包装された花束を投げ捨てる、紫色の魔女であった。。


~~~ところ戻って海鳴~~~



「ただいまー。アルフかえったよー」
「フェイト、なにもされなかったかぃ?」
「ちょっと鞭で叩かれたけど、バリアジャケット着てたし、痛くなかったよ。」
「あの女次会ったら、ぶんなぐってやるよ!」
「ぶんなぐっちゃ、駄目。話したらわかってくれるよ。」

などとだいたいいつも通りの、会話をしていたとき、ジュエルシードが発動した、

「海の方だ。先に行く。全部とるって母さんと約束したから。」
≪Sonic Move≫
バルディッシュが一言発すると、フェイトはもう見えなくなってしまった。


~~~海沿い~~~


フェイトが到着すると同時になのはも到着した。

「ごめん。今日からはなにがなんでもジュエルシードを全部集めなくちゃいけないんだ。」
「それはこっちも同じなの。勝負に勝った方がジュエルシードを取る。それでいいよね?」
「うん。そうだね」

フェイトはなのはに切りかかろうと、全速力で突進する。

そこに黒髪の少年が割り込む

「そこまdぶぎゅす!!」

フェイトとなのはの間に少年が入り込んできたが、フェイトは突進していたので、止まり切れず、少年も止め切れず、フェイトは少年に突撃した。
それだけでは、止まらず、フェイトと少年はなのはにも突撃し、3人は地面に落ちた。

今、なのはが一番下であおむけに、少年が真ん中に挟まれ、フェイトが少年の上に馬乗りになっている。

*イメージ




少年クロノ
なのは
=============地面
     
なのはは、2人に乗られ動けないし、少年クロノは女の子に挟まれ、口をパクパクしている。
こんな状況であるが、
「あ、!!」
とフェイトは地面にアリの行列を発見したらしく、もっと近づいてみようとする。

フェイトが地面に近づこうとモゾモゾと動き、顔が、クロノと接近する。
フェイトのバリアジャケットの生地は薄く、体温が直に伝わる。

クロノ少年は気を失った。
気を失った人間の体重というのはめちゃくちゃ重い。
なのはは、うごけないまま何やら叫んでいたが、フェイトには聞こえないらしく、そのまま5分が過ぎた。

「あんまし、何も変化しない。合体でもするかと思ったのに」
フェイトはアリがいっぱいいるので、劇的なことが起きると思っていたらしく、残念そうだ。

フェイトはようやく、2人の上から下り、ジュエルシードのほうに一直線で向かった。
途中よく見覚えのある犬と、見たことあるようなフェレットが対戦していたような気もするが、フェイトはあんまり興味がなかったのでスルーした。

「ジュエルシード、封印」

少し遅れてなのはが来る。
「ったくもう!!苦しかったんだから!!。フェイトちゃんは何してたの?」
「合体すると思ってたんだ。」
【合体!?わたしとあの男の子が・・?やっぱりフェイトちゃんはよく意味がわかんないよ!!】心の中でなのはがさけぶ。
変な言葉に聞こえないこともないが、なのはもまだ、その辺は子供だったらしく、誤解せずに済んだ。


「時空管理局 クロノ・ハラノウンだ。これ以上、ここでの戦闘行為はきけんすぎr・・・ってあれ?」
いつの間にか金髪の少女が視界から消えている。
「またなの。フェイトちゃんは一瞬目を離したらいなくなっちゃうの。。」
「なんで?いつ?僕が目の前にいたのにあの子はなにか幻影とか特別な魔法でも使えるのか?」
「わかんないけど、多分、違うと思う。」
「まぁ、とりあえず、君と、そこのフェレットにはアースラに来てもらおうか。」
「あ、はい、わかりました。」と3人はアースラに向かった。


~~~フェイトの家~~~


「やったねぇーーフェイト。これでジュエルシード6つじゃないか?」
アルフは舞い上がっているが、その主は若干落ち込んでいる。

「絶対、合体すると思ってたのに・・・・・・・。」
「合体?何のことだかわからないけど、フェイト元気だしなよ」

「そうだね、世の中には不思議がいっぱいだから、また面白いこともあるかな」

普段どおり、フェイトとアルフの時間は流れるのであった。



~~~数日後~~~


ここ最近数日間ジュエルシードを探したが、見つからなかったので、海にあるんじゃないだろうかと
思い、海を探すことにした。

この前町で強制発動させた時は、なのはにとられてしまったので、強制発動はさせずに、自力で探すことにした。
というわけで、今のフェイトはダイバースーツに身を包んで足にはひれのようなものが付いている。

ちなみにダイバースーツはバリアジャケットの応用らしい。

そうして、フェイトは意気揚々と海に飛び込んだ。

しかし、5秒でおぼれた。

アルフは助けたいが、水は苦手なので、ご主人様の危機とはいえ飛びこむのに躊躇している。


~~~フェイト視点~~~


苦しい。海って行き出来ないんだ。そうか、水の中では息できないのと一緒なんだね。
どうしよう。息できなきゃしんじゃうかもしれない。って、そうか。一回海の外に顔を出せばいいんだ。

そうとわかれば、って動きにくい。こんなに水の中って動くにくいんだ。知らなかった。
息したいな。そろそろやばい。

なんで、動きにくいんだろう?波?波だ。波がどっちに行けばさえわかれば・・・
心を研ぎすまそう。

右、右、左、斜め右、左、ストレート。ここだ!!


~~~視点アウト~~~


フェイトは海面に顔をだした。


「はぁはぁ、海は手ごわいね。」
「ごめん。フェイト、あたし、水はだめなんだ。」
「大丈夫、アルフ、もう慣れたから。」

フェイト、は波を完全に掴み、海底に向かってまっすぐ進む。
30年海女さんをやってる人くらいの速さでグングンと進み、

あっという間にフェイトは海底までいって思った。
「きれい。海の中ってこんな世界が広がっていたんだね。でも、海のお花は地味だね、基本的に緑色なんだ。」

地面に手をつけ、海底に魔力を注ぎ込み、ジュエルシードは発動させないように、魔力で探査する。

「6個かな??
とりあえず、ここのは封印しておこう。」
一つ目を封印し、息継ぎをしに一度、海面まで行く。

「どうだい?フェイト?」
「ふぅ・・ひとつ封印した。残りは5つ。」
「さっすがあたしのご主人様さ。」

アルフと少し会話し、また海底しにフェイトは向かった。

繰り返すこと3回。
残り海底にあるジュエルシードは2つになった。

フェイトは肉体的に相当疲れてきた。
でも、あと二つなので、もう今日中にやってしまうことにした。

「あった、あった、これを封印して、残りはラストひとつ。頑張ろう」
と、ラストスパートをかけようとしたが、そこに、アルフから通信が入った。
【管理局に気づかれた。相手は、昨日の黒いこと、白い子と、フェレットの3人。ちょっとこの相手はつらいかなぁ】
フェイトは全速力で海から出て、バリアジャケットを変形しながら空へ上がる

「アルフ、まだ引けない。あとひとつ封印できていない。」
「フェイト!だめなんだよぉー、相手は3人だし、フェイトは疲れてるし、いったんひいて、回復しよう。」

「すまないが、それは許さない。」
黒色の少年がアルフに向かって早い魔法弾を放つ。

アルフはシールドをはり、なんとかそれを防ぐが、そこに、緑色のバインドがかけられた。

「ごめんね。こんなやり方になっちゃったけど、一度フェイトちゃんとはお話をしなくちゃいけないよね。レイジングハート≪ディバインバスター≫行くよ。」
≪All Right≫

レイジングハートが答え、アルフに向かって、一直線に砲撃が放たれる。

そこにフェイトが割り込み、片手でシールドを張る。
フェイトの防御している右腕のバリアジャケットはぼろぼろにやぶけるが、なんとか防ぎ切り、左手で作っていた転送魔法で、アルフを庭園までぶっ飛ばす。

フェイトはいつものように逃げようとはせず、格上の魔導師を含む3人と向かいあう。

「今ならば、弁論の余地はある。いますぐに投降しろ。フェイト・テスタロッサ」
「そうだよ。フェイトちゃん。時空管理局の人は悪い人たちばっかりじゃないから今なら、まだ・・・なんとかなるよ」
「君にどんな理由があるのかは知らないけど、君が悪いひとにはみえない。だから、ちゃんと話をしよう」

目の前の3人は、フェイトに従うように言う。

「お断りします。わたしは、守らなくちゃいけないものがあるから。」
フェイトはバルディッシュに魔力を込めていく。

「そうか、なら仕方ない。手荒い方法になるが、ってヘブシっ!!」
クロノの話の途中にフェイトは切りかかる。

情けない声をあげながら、クロノが防ぎ、なのはが横から、魔法弾を撃つ。
フェイトは紙一重でそれをかわし、なのはに接近する。
しかし、そこにフェレットもどきが入り込み、シールドを張る。

体制を立て直したクロノの速い魔法弾がフェイトを襲う。
フェイトはよけきれず、足から血が出るが、それでもフェイトは次々と相手を変えては切りかかっていく。

攻め続けることによって、フェイトは決定打を浴びないようにしていたが、相手を変えて切りかかるごとに、傷が増えていく。
「このままじゃ駄目だ。一発では仕留められない。・・・強い技じゃないと」
フェイトは、ひたすら攻めて、かわしながら、大技を撃つ機会を待つ。

しかし、相手は三人。しかも格上の魔導師までいる。詠唱の時間なんて、与えてくれるはずもない。
ひたすら、その隙を待ち、フェイトは傷を増やしていく。
そのたびにフェイトは、あとひとつその海のジュエルシードを集めるだけ母さんは笑ってくれると自分を励ます。。

一向に相手には隙を見せない。
すでにフェイトのバリアジャケットはほとんど破けていて、破けていない部分は赤く血に染まっている。
全身に力がうまくはいらず、バルディッシュを持つ手が緩む。

「あっ!!」フェイトの手からバルディッシュが一瞬離れる。

執務官はそのすきを見逃さない。バルディッシュを空中に弾き、フェイトをデバイスで叩きつける。
「ぐっ!!」
フェイトは意識を失い、海に自由落下していった

一度手放した意識も、海に落ちたことで回復した。
「っつ、ってこの感触海・・バリアジャケットチェンジ!!」
ほとんど破けてしまっているバリアジャケットの形状をダイバースーツモードに変え、高速で泳ぎ、その勢いのまま空高くまで上昇する。
空高くに弾き飛ばされていたバルディッシュをキャッチし、フェイトは構える。

フェイトは言った。
「ここで、引くわけにもいかない。逃げればいいってわけじゃもっとない。
そうだよね?バルディッシュ。ずっと私のそばにいてくれたんだもんね。お前もこのまま終わるのなんていやだよね?」

≪Yes Sir≫

「広域魔法、サンダーレイジいける?」

≪Of Corse Sir≫

「いい子。」

≪Thunder Rage≫
バルディッシュが言う。
今、フェイトの足は完全に止まっている。
フェイトが復活したことに気付き、撃ってきたクロノの魔法弾にあたり、ユーノのバインド縛られるが、耐え、バルディッシュを振りおろすだけ。

「サンダーレイジー!!」
暗雲が立ち込め、無数の雷が落ちる。

しかし、その下から、極太の魔砲が襲来する。
「受けてみて、これが私の全力全開!スターライトブレイカー!!」

お願い。母さんの笑顔が見たいだけなんだ。絶対に負けられない!!
フェイトは思いを魔力に乗せる

しかし、それもむなしく、サンダーレイジは霧散し、完全に撃ち負ける。
フェイトの目の前には桜色の魔力の塊が迫っている


瞬間、なのはのスターライトブレイカーよりさらに極太の砲撃が空よりさらに上から訪れる。
スターライトブレイカーを一瞬で打ち負かし、なのは、ユーノ、クロノに直撃する。

「母さん!?」
いち早く気づいたフェイトが叫ぶ。

すると、転送してきたアルフがフェイトに抱きついた。
「フェイト!!こんなに傷だらけではやく治療しないと!」

しかし、フェイトはアルフに目もくれずに
ここにいるはずもないのに、今目の前にいる、紫の魔女、プレシアテスタロッサを見つめていた。

「フェイト。やっぱりあなたは使えないわ。サンダーレイジは本来これくらいの威力がないといけないのよ」
「えと、母さん。ごめんなさい」

「いえ、フェイト、謝るのは私の方だわ。引くわけにもいかない。逃げればいいってわけじゃもっとない。
いい言葉ね、フェイト。」
「??」
「わたしも逃げるのはもうやめにするわ。現実逃避にはもう疲れたもの。こんなくだらない世界でも救いというものはあるものよね?フェイト。」
といいながら、プレシアが笑った。
フェイトは笑うプレシアに抱きついた。
「あら、血まみれじゃないの。フェイト。それに泣くのはまだ早いわよ。」
プレシアはフェイトを引き離し、2人、時の庭園へと転送した。


~~~時の庭園~~~


「さぁ、ここだわ。」
プレシアが中庭への扉を開く。

そこは一面の菜の花畑が広がっていた。
「どう?きれいでしょう、フェイト。」
「・・・・・・・・・・」
フェイトは涙のあまり、声が出ない。
「せっかくだから、真ん中へ行きましょうか。」
泣いていて前の見えないフェイトは、何度も転びながらも、プレシアの後を追う。

中庭の真ん中には、石の建物が建った。
石にはアリシア・テスタロッサと名前が書いてある。

「フェイト。お前には姉がいたのよ。けれども、その姉は、5歳の時に事故で亡くなってしまったわ。
その子はとても、やさしく笑ってくれた。わたしは、その子が何よりも大切だったわ。だから、生き返らそうと考えたわ。
でもね、全然駄目だった。あの子は生き返らないし、方法もよくわからない。
だから、あなたと、ジュエルシードを利用してでも、あの子をよみがえらせたかったわ。
でも、フェイトはいい子に育つし、あなたがいなくなると思ったら、不思議と助けていたわ。
だから、もう終わりにするわ。

だって、私は、今も菜の花のほうが好きだけど、これからはタンポポも好きになれる気がするわ。」

と、プレシアが墓の手前を指さす。
指の先は、初めて庭園に咲いたタンポポがあった。
よく見れば、墓に供えられている花は、フェイトがプレシアに持っていたもので、供えられている食べ物は、いつものワッフルである。

フェイトは再び、プレシアに抱きつき、泣いた。
今度は、プレシアも笑顔で抱きしめ返した。

「母さん、ひとつわかったことがあるんだ」
「なにかしら?」
「母さんが笑うと、わたしもうれしいんだ。」
「それはわたしもよ。フェイト。あなたはずっと私をまっすぐ見てくれてたのに。」
「ううん。いい・・・。母さん。その・・・大好きですから」
「ええ。愛してるわ。フェイト」

血まみれの、まっすぐに立ち向かった娘と、
いびつに曲がりくねっていながらも、愛の形を思い出した母の二人は抱きしめ、笑い合うのだった。




















アルフ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なのは「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
クロノ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ユーノ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
リンディ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


アルフはプレシアの命令により、雷に打たれ、意識を失った。なのは、クロノ、ユーノを助けたあと、
艦の責任者であった、リンディを時の庭園に連れてきたが、5人は出れる雰囲気ではないため、非常に困っていた。


リンディ「あの人たちに害はないでしょうから、ここは一旦ひきあげましょうか??」
と、アルフは一応人質として、5人とも一時アースラに引き上げることとなった。




~~~その後~~~


翌日、プレシアテスタロッサと、フェイトテスタロッサは自首した。。
法にかかったのはロストロギアの不法所持ということだけで、事情が事情だから仕方がないだどということで、
その他もろもろはアースラ局員が全力でもみ消した。

プレシアは、魔法を使えないように制限され、監視を厳重につけられ、時の庭園に長期軟禁、
フェイトは、嘱託魔導師になることを条件として、特におとがめなしで終わった。



その後、フェイトは、執務官として、色々な意味で有名になる。




魔導師のくせに、魔法は移動にしか使わないとか。
事件解決後、いつの間にかいなくなるところから、クールビューティだとか。
エース・オブ・エースを口先一つで倒すとか。
ワッフルが主食であるとか。
人魚のように海を泳ぐとか。



そして、なにより、彼女のいったところにはお花畑があるらしい。

その中には、必ず一輪のタンポポが咲いているのだとか・・。




~魔法少女メルヘンフェイト 完~













~~~後書き~~~


ハートフルなストーリーを描きたかった。
それだけです。

続きません。

読んでくれたかた、ありがとうございました。

長いですが、あえて一話にまとめました。

ちなみに、もう一本の方は、まだ、続き一文字もできてないです。
今週から忙しくなるので、待っているひとがおられたら、申し訳ありません。遅くなります。
頑張って書きますのでよろしくお願いします。




[19410] 始まりと終わり1話 『呼び出し』
Name: アドバーグ◆bdfba43b ID:07ba40b5
Date: 2010/07/11 14:57

「今日も暑いな。いつも、太陽は俺様を見つめすぎなんだよ。さすがの俺様も緊張して汗かいちまうじゃねえか。」
せっかくの休暇を楽しんでいるというのに、朝から気持ち悪い発言が聞こえる。

「・・・そうだね~。ウザスイケメンだもんね~」海辺で寝転がりながら俺は気のない返事を返す。

「とわーーーー」ロンゲの少年ウザスは一人元気に海に飛び込んでいる。飛び込み方が、少しダサいのだが、それは本人には言えない。

「元気だね~」銀色の髪の少年コロナ、つまり俺は浜辺のヤドカニと戯れている。

久々に休暇をとれたので、隊の友であるウザスとともに年中夏であるこの世界に遊びに来ている。

目の前には、視界いっぱいに広がるエメラルド色の海、きれいに並ぶフェニックスの木、この楽園のような世界は、とある無人世界である。

今この世界にいるのは、俺コロナ・スエード14歳と、ちょっと離れたところで太陽にウインクをしているイケメンのウザス14歳しかいない。

本来は、カップルが二人だけの世界を楽しむための場所かもしれない。なんて、ここまでいい天気だと俺までキザなことを考えてしまう。

一緒にいるとお互いが似てくるっていうのを聞いたことがある。ここ2日間ずっとウザスと一緒にいるので、少し不安になる。絶対あいつみたいにはなりたくない。

だって、ウザスはたしかにいい奴で、イケメンだけど、一言でいえば・・・うざい。

だんだん悪口になってきたので、考えるのもやめて、休暇を謳歌するため、俺は、ぼーーーっと海をみつめることにした。


~~~~~~~~~~


しばらくぼーっとヤドカニと戯れていたら、ウザスが話しかけてきた。

「勝負しないか!?」

唐突ではあるが、俺達の間ではよくあることだ。一日に数回は何らかの勝負をする。その内容は料理対決からガチンコの模擬戦まで幅広い。

今回の勝負の内容はまだ聞いていないが、何にしろ答えることは一つだけだ。この暇な状況で断る理由など何一つない。

「望むところだ!!」

せっかく海があるので、個人的にどちらが大きなヤドカニを集められるかという勝負を押したのだが、地味だから却下と断られて、結局、【競走】をすることになった。

コースとルールは、最初に浜、そして、海を泳いで、その先の岩場に先にタッチ出来た方が勝ちということになった。

コロナとウザスは、スタート地点にまっすぐに並ぶ。そしてウザスが高々と上空に石を投げる。

石は太陽を反射し、キラキラと光り、放物線を描く。そして、次第に高度を下げて、着水する。これがスタートの合図だ。

その瞬間二人は、浜を駆ける。陸上でリードするのは銀髪の少年コロナだ。運動神経は、コロナの方が断然優れている。

じわじわと間を開けて、10メートルほどウザスを離し、コロナが先に海の中に入り、クロールでまっすぐに岩場を目指す。

その数秒遅れて長髪をなびかしてウザスが海に飛び込む。泳法は同様にクロールだ。

コロナは、フォームもきれいで、規則正しく泳いでいる。

一方、ウザスは少し不器用な泳ぎ方だ。

泳ぎ方だけを見れば、コロナの方が早く見えるだろう。だが、コロナとウザスの間は、確実に縮まっている。

完全にこれは体格差だ。単純に泳ぐだけなら、身長が30センチほど高く、手もコロナよりもはるかに大きいウザスの方が速くなる。

もし、ここが海でなくターンや飛び込みのあるプールであったなら、技術力で勝るコロナの方が速いのかもしれないが、ここは海だ。

遮蔽物も、障害物も何もない。ただただ、美しいエメラルドの海が広がるだけだ。完全に力と力の戦い、つまり体格のいいウザスのほうが速い。

ウザスはみるみるうちにコロナに追いつき、追い越す。まだ、岩場までは半分ほどしか泳いでいない。

この勝負はウザスの勝ちだ・・・・・コロナが半ばあきらめかけたとき、残り4分の1くらいのところでウザスが急激に減速した。

妙に思いながらも、これは勝負だ。勝った方が正義。コロナはラストスパートをかける。

コロナがあと数十センチの距離まで近づいてもウザスはいまだにゆっくりなままだ。

そのまま、コロナは思い切り手を伸ばす。

ラストギリギリ、コロナとウザスはほぼ同時に、岩場にタッチした。

どちらが勝ったのかはお互い必死だったのでわからない。

ここは、コロナが常時身に着けている星型のデバイスに審議を任せた。

デバイスによると、最終的に勝ったのはコロナだった。しかし、コロナは納得がいかなかった。

「はぁ、どうして・・・減速したんだ?・・・いったい・・・何があったんだ?」コロナは息を整えながらなんとか疑問を言葉にする。

それに対し、ウザスは平然と一息で答えた。「水からあがった時、息が整っているほうが、イケメンだろ?」

そうだ。こいつはこういう奴だった。勝敗よりも自分の信念を優先する奴だった。勝ったのになんだかわからんがむしゃくしゃする。

「返りも勝負だ。」意地になったコロナが提案する。

「フフッ、わかった。だが、次に勝つのは華麗な俺様だ。」自信満々に勝負に応じた。

結局、帰り道の勝負は、ウザスの圧勝だった。彼いわく、「浜辺は息を切らしてゴールする方がかっこいい。」ということらしい。

長い間彼とはともにいるが、彼のことは全然理解できない。

その後も、何回勝負をしても、コロナはもうウザスには勝てなかった。

意地になって何度も勝負し、10往復くらいしたので、めちゃくちゃ疲れた。時間的にもちょうどいいので、そろそろお昼にしようと二人が海から上がろうとした。

すると、少し遠くでコロナとウザスの端末の着信音が同時に鳴った。おそらく次の任務の通達だ。

この二人は14歳だが、時空管理局の、とある武装隊に所属している。

いまは、長期任務が終わったので、代休で3日休暇をもらっているのだった。

コロナ達は急いで、端末のところへと向かった。

コロナ達の武装隊は、どこの部隊にも属していない。普段の部隊編成では人員が足りないときに呼ばれる、いわゆる予備部隊だ。

それゆえに緊急で呼ばれることはほとんどなく、毎回あらかじめ任務の日程を知らされるのだ。

銀髪の少年コロナは、端末を手にとり、映像で送られてきた指令をみる。

【FROM 武装隊長、イイ・モデンナ

緊急の任務要請だ。

戦艦アースラに協力し、オーバーSランクの魔導師、プレシア・テスタロッサの捕縛を行う。至急、会議を行うので帰還せよ。



なぜか、もやもやしたコロナは映像をもう一度聞きなおす。

プレシア・テスタロッサ・・・・?その単語がいやに引っ掛かる。そんな人は、知らない。・・・・でも、なぜだろう?知ってる気がする。

「おい、コロナ、どうした?珍しく急な任務だが、そんなに驚くことはないだろ。たまにあることだろ。早く着がえろ。帰還するぞ。」ウザスはロンゲをタオルで拭きながら言う。

ウザスの言葉で思考の中から帰った俺はすぐに支度をし、転送魔法を準備する。

なぜか先に準備をしていたはずのウザスの方が準備が遅い。髪が乾かないらしい。そんなロンゲ切ればいいのに。

数分後、ようやく準備の出来たウザスを連れ、転送魔法を唱えた。

ここの世界から武装隊の拠点のある世界までは個人転送で10分くらいだ。

転送中は退屈だが、まっすぐ飛ばないと変な所に着くので、割と集中しておかないといけないので疲れる。

10分ほど耐えて、武装隊の拠点に着く。

先ほどの世界とは違い、常夏の世界ではないので、一枚上着をはおる。

ここは拠点といっても、コロナ達の武装隊は色々な世界を飛び回るので、すぐにこの施設も取り払えるようになっている。

テントを張って、床に毛布を敷いてあるだけの簡易なものだ。冷暖房や、電気などそんな便利なもんはない。

俺たちは、拠点に到着後、すぐにミーティングの場所へと向かった。

そこではすでに8人の武装隊員がいて、コロナとウザスが最後だった。二人がついたらすぐに会議が始まった。

任務の大まかな内容は前述の通り、プレシア・テスタロッサの確保。ただし、相手はオーバーSランクなので念のためにここの小隊だけでなく、もうひとつ小隊を用意するとのことだ。

また、場所、任務決行の日時は未定だが、おそらく数日の間には行われるだろうと推測されるので、艦船アースラで待機ということになった。

ピリピリとしたムードの中、意外にも10分ほどで会議は終わり、荷物をまとめ、拠点をたたみ、アースラへ移動した。

ちなみに、移動するアースラに正確に転送するのは難しいので、アースラの補助を借りた。

その日俺とウザスは、初めて艦船に乗った。なんとなくイメージとして、艦船というのはゴツゴツして、居心地の悪そうなイメージがあったのだが、

どこをどう見ても、普段自分たちの過ごしている拠点よりもきれいだし、清潔感がある。通り過ぎる制服姿の隊員も礼儀正しく気品がある。

逆に自分達は武装隊とはいえ、武骨なそろいのバリアジャケットで歩いている自分達の方が、この艦には似つかわしいような気もする。

先頭を歩く隊長は、今回の依頼主である、ここの艦長に挨拶に行くらしく、コロナ達、その他の隊員は待機用にあてがわれた部屋へと向かった。

なかなか、広くて冷暖房完備のいい部屋だ。ああ、どうして、うちの武装隊にはまともな拠点すらないのだろう?

そうして、待機すること1時間。この間は自由行動であったが、やはり今は任務中。各々、デバイスのメンテナンスをしたり、いつでも出動出来るように準備をしている。コロナも、デバイスと医療用具の点検を行っていた。

そんな中、ウザスだけが、自分の顔のメンテナンスをしていたが、彼もやるときはやる男なので、特に誰も注意はしない。

コロナは少し疲れていたので、仮眠をとることにする。

その2時間後、隊長が帰ってきて、もう一度任務を説明する。

プレシア・テスタロッサの居場所がまだわからないので、わかり次第突入し、プレシアを捕縛する。内容は前に会議で話したものとほぼ同じ。

簡潔に任務だけを伝えられた。事情や、状況というのは、ごく一部しか伝えられない。

末端の臨時部隊であるこの武装隊にあまり多くの情報は必要ないと判断されるのか、必要以上の情報を与えて下手に感情移入をさせないようにするためなのか、それとも、教えられないことが多いのか。

詳しいことはよくわからないが、毎回、そのうちのどれかであるのは体感的には知っている。

武装隊は、再び、待機を命じられたので、コロナはもう一度、仮眠をとることにした。



・・・・・・・・・・・夢・・・・・・・・・・・


なんだ?これ、俺は浮いてるのか?魔法も使っていないのに宙に浮いた感じだ。それに、ここはどこだ?玄関がある。

家の中のようだが、知らない場所だ。でも、なんだか・・・懐かしい匂いがする。

不意に玄関の扉が開き、銀色の髪の女性が飛び込んできた。

「ただいまコロナ!!長い間家を開けてごめんね。さみしかったでしょ?」
家に帰ってきた銀色の髪の女性が、俺には目もくれず、奥の部屋まで走って行って同じ色の髪の少年を抱きしめる。

コロナ?その少年の名前もコロナっていうのか・・・って、俺は今どうなってるんだ?状況がさっぱりわからない。

「大丈夫だよ。だって、アリシアとリニスがいるから。」かわいい顔をした銀髪の男の子は、満面の笑顔で答えると、男の子の後ろから金髪の少女が現れる。その5歳くらいの少女がアリシアという名前らしい。そのそばにいる猫がリニスのようだ。

「こんにちは、アリシアちゃん、リニス。元気にしてた?わたしも、父さんも、プレシアさんも最近は、新しい駆動炉が完成しそうだから、仕事が忙しくてあまり会えなくてごめんね。」

「全然!!コロナちゃんがいるから平気だよ!!」少女も満面の笑顔で答える。

どうやら、この子達は、両親が家にあまりいなくても割と楽しく暮らせているし、家族関係にも問題はないようだ。

「よかったわ。本当にあなた達は仲がいいのね?今日はお父さんも帰ってくるから、みんなでご飯食べれるからね。」

「プレシアおばさんも一緒?」コロナと呼ばれる少年が不安そうな表情で聞く。

プレシアだと・・?いや、さっき俺の名前も出てきたし、きっとこれは夢なんだろう。俺浮いてるし。

「もちろんよ。もう少ししたら、父さんと一緒に帰ってくるわ。」

「「いやったーーー!!!」」少年と少女は歓喜する。

その数十分後、またこの家に男性と女性が急いで駆け込んできた。先ほどの女性と同じようなやり取りをしていた。なんとも暖かいんだ。

そして少年と、その父さんと母さん、アリシアとプレシアおばさんとリニスの6人でテーブルを囲んでいた。それは、本当に幸せそうな光景だった。


【コロナ!!コロナ!!】どこかから自分を呼ぶ声が聞こえる。うるさいな、せっかくいい夢を・・って、夢だこれは。起きなくちゃ。そういえば今任務中のはずだ。



・・・・・・・・・・・現実・・・・・・・・・・・・


「コロナ!!」目の前ではロンゲのイケメンが叫んでいた。

「すまない、寝てた。」俺は自分の銀色の髪をくしゃくしゃしながら、手元にある飲み物を飲む。

「そんなの見ればわかる。とにかく、出動だ。」急に告げられた事態に驚いたコロナは飲み物をのどに詰まらせて、むせる。

周りを見渡すと、すでにほとんどの武装局員が転送ポートへと向かっているようで数人しか部屋に残っていなかった。

「40秒で支度する。」大急ぎで、顔を洗って、武装隊で支給されるデバイスと、自前の医療用具を手に取り、ウザスとともに転送ポートへと向かった。

転送ポートへ向かう途中、ウザスから相手の本拠地を見つけたことを聞いた。これまた簡潔だったがいちおう伝えられた。まぁ、いつもそんなもんだ。

転送ポートへ着き、小隊2つ合わせた、全体でのフォーメーションの最終確認を行った、

コロナのポジションはフルバックだ。今回も前線へは出ずに、出来るだけ相手から距離をとった最後尾に位置する。

ウザスが得意とするのは中距離なので、中衛に配置される。

しかし、今回は2小隊の混成部隊で、連携はさほど期待できない。だから作戦としてはいわゆる電撃戦。一瞬でカタをつける方向のようだ。

よって、前線15人、中衛3人、後衛は2人という超攻撃型の配置になった。

配置と役割の確認が終わり、コロナはもうひとりの他の中隊の後衛の人物と自己紹介しておいた。治療と転送がメインの魔導師らしい。

それからすぐに、アースラの艦長の出動命令により、20人は、プレシア・テスタロッサの居城≪時の庭園≫へと転送された。



[19410] 始まりと終わり2話 『任務』
Name: アドバーグ◆bdfba43b ID:07ba40b5
Date: 2010/07/11 14:58
時の庭園に着いて、周囲を見ると不気味なオーラが尋常ではなく出ている。

庭園というと、緑とか、草木のあるようなイメージなんだが、まったくの逆で生命の気配のしない廃墟のような城だった。

なんだか、すごく冷たいところだ。本当にここに人がいるのだろうか?とさえ思ってしまう。

周囲を警戒しながら前衛、中衛、に続き、後衛のコロナも城の内部に入る。

建物の中も、ところどころひびが入っているし、柱には植物というには毒々しい何かのツルがまきついている。とても人の住める環境ではない。

プレシア・テスタロッサという人物が狂っているだろうことは容易に想像できる。

どうしてか、さっきから感傷にひたることが多い気がする。

さっきの夢のせいだろうか?なんの夢だったか全然覚えてなかったが、とても、暖かくて、懐かしかった。

今は危険度の高い任務中なんだから。とコロナは不要な思考をやめて、気を引き締め直して、中衛の後ろについていった。

いくつかの廊下や部屋を通り過ぎ、ホールのような開けた場所、玉座の間に出た。

その中央に目的の人物プレシア・テスタロッサがいたようだ。

後衛のコロナの位置からではまだ見えないので確認できていないが、前線の映像と会話はすべてデバイスを通して伝わってくる。

「目標を発見、プレシア・テスタロッサ、時空管理法違反、および、管理局艦船への攻撃容疑であなたを逮捕します。武装を解除してこちらへ。」

隊長の声だ。このまま包囲して、抵抗するようなら何かする前に全員で攻撃を仕掛ければいい。さすがにオーバーSランクといっても、実戦経験の豊富な15人の全力の一斉攻撃に耐えれるはずがない。

抵抗しようが、投降しようが、これで終わりだ。後衛でコロナはそう思っていた。

だが、そんなに簡単には終わらなかった。

他の小隊のほうの隊員が扉の向こうに何かを発見したらしく、隊員の数人とともにそちらへと向かう。それに便乗した他の小隊の全員が扉の方へ向かう。

「馬鹿が!!止まれ!我々の任務とは関係ないだろ!!」

隊長の制止はむなしく、陣形は崩れた。そして、先ほどの隊員は扉を開いた。扉の先には光るものがあった。

大きな生体ポッドだった。中にいたのは、金髪の少女だ。生きているのか死んでいるのかもわからないが、こんなものに人間をいれる時点で普通じゃない。狂ってる。

コロナはその少女を見た瞬間脳にノイズが走った。

【次元航行エネルギー駆動炉ヒュウドラ、プレシア、アリシア、母さん、父さん、リニス】

「なんだ・・・これ?」見覚えも聞き覚えのないものが次々と脳内で再生される。激しい頭痛に耐えながらも、武装隊の映像を見る。

扉を開いた隊員が少女のいるポッドに近づく。

「わたしのアリシアに近づかないで!!!」

プレシアが片手をなぎ払うだけで、その隊員がやられた。さすがは、Sランクオーバー。桁が違う。

しかし、馬鹿だろ。どうしてプレシアの確保を優先しなかった。

「落ち着け!体制を整えなおすぞ。陣形を組め!!」

隊長が命令するが、他の小隊の方の隊員は聞く耳を持たず、やられた小隊の6人の前衛メンバーが全員でプレシアに砲撃を斉射する。

だが、威力不足でやすやすとシールドで防がれる。たったの6名でぶち抜けるわけがない。

「うるさいわ。」今度はプレシアが魔法を放とうとしている。この状況から推測するに・・・広域型だ。

コロナは自分の周りにシールドを張る。いち早く危機に気付いた中衛のウザスも全速力でコロナのシールドの中に入る。

「総員、回避!!」隊長の声が聞こえるとほぼ同時に、多数の雷が落ちてきた。

コロナは結界魔導師だ。この程度の魔法ならなんとか防ぎきれる。しかし、他の隊員ではそうはいかないだろう。

多数の叫び声が聞こえ、そして一瞬で聞こえなくなった。かなりの人数がやられたのだろう。現に、隣にいた後衛のもう一人の隊員も倒れている。

映像もシャットアウトされたようで状況がよくわからないが、玉座の間にいる前衛の武装隊員は数人立っていればいいほうだろう。

ウザスは急いで玉座の間へと向かうとするが、俺はウザスを引きとめる。普通にやり合っても二人で勝てるはずもない。ウザスに耳打ちをし、二手に分かれる。

ウザスは一直線に玉座の間に向かった。

~~~~~side ウザス~~~~~

俺様の視界に入ってきたのは、プレシア・テスタロッサだけだった。武装隊員は全員地面にキスしている。全滅・・・最悪の状況だ。

「まだ生きていたの?しぶといわね」プレシアの口元には血がにじみ、床に小さな血だまりがある。

「ああ、体は丈夫な方だからな。これが最後の問いだ。投降する気はありませんか?」ウザスが杖をプレシアに向ける。

「フハハ、ハハハ!!面白い子ね。あなた1人でいったい何が出来るって言うの?」

「確かに俺様1人で出来ることはたかが知れてるな。だけどな、こんな何もないちっぽけな俺様にだって一つくらい取り柄はあるんだよーーーー!!」

ウザスは、めちゃくちゃな量の茶色の魔法弾を空からプレシアに浴びせる。

一発一発の威力は小さく、精度もデタラメだが、それでも直撃すれば意識を狩りとることくらいは出来る。ウザスは一心不乱に茶色の弾丸の雨を降らす。

「くだらないわね。」プレシアは全方位型のシールドを展開し、防ぐ。

「フフッ。さすがは優秀な魔導師だ。その行動は正しい。威力の無い魔法なんて、シールドで防げばいいんだ。だがな、俺様の弾幕は一味違うぜ!」

プレシアの視界が茶色一色になり視界が遮られる。また、足元がネバつき、動きがとりにくくなった。

そう、ウザスの魔法弾は、ネバネバするし色が残る。一発やニ発シールドで受けたくらいどうもならないが、これだけ多数の弾を浴びせれば、視界が遮られるし、固まって、動きは止められる。

「フハハハハ!!面白い能力を持っているわね。けど、動けないからと言って何か、変わるのかしら?」プレシアは先ほどの広域魔法のバリエーションだろう雷を一人分放つ。

「ははは。俺様の役目はここで終わりだな。後は任せたぜ相棒!!」

ウザスは高々と笑いながら、無抵抗に雷撃を食らった。


~~~~~~~~~~


コロナの目の前には、金髪の少女の眠る謎の入れ物があった。

さっきの弾幕にまぎれて、玉座の間を通り、生体ポッドの部屋に侵入したのだ。

コロナはポッドをぶち壊し、中の少女を連れだす。

中にいる少女は、触れると冷たかった。持参した医療道具で少し調べて見るが、医学的にも、すでに蘇生は無理だ。

蘇生が無理だとわかった瞬間どうしてだろうか?今は自然と涙があふれ出す。この子なんて知らないはずだ。でも、なんだか無性に悲しい。

それに、いままで知らない人の死など今まで何度も見てきたのに。どうして?

そこで、ドゴーンと地面が揺れ、雷鳴が轟く。それと合わせて、ウザスとの念話が途切れたことで状況を理解する。

コロナは涙をふき、冷たくなっている少女を抱いて玉座の間へと戻る。

「プレシア・テスタロッサ、これが見えますか?」5歳くらいの少女を抱いた銀髪の少年は問いかける。

「アリシア!!それにあなたは・・・」

武装隊20人に囲まれても動じなかったプレシアが感情にあらわにしている。それほどまでに、プレシアにとってアリシアは大切なのだろう。

「コロナ・スエード。時空管理局の武装隊員だ。この子が今ここで処分されたくなかったら、今すぐ投降しろ。」デバイスをアリシアの頭につきつける。

「フハ、あはははは!!何を自分が人間のようなことをいっているのかしら?あなたは私が作ったモルモットじゃない。ここにいるのも厚かましいわ。いますぐわたしの前から消えなさい。」

「何を言っているんだ?俺はお前のことなど知ら・・・痛い」プレシアの言葉を否定しようとすると先ほどの頭痛がまたやってくる。

【駆動炉の暴発。父さんと母さんが目の前で倒れる。そしてアリシアまでもが動かなくなり泣き叫ぶ自分、そして、その数分後に動けなくなった自分・・・・そのあとは・・】

ああ、思い出した。さっきまでの夢と、フラッシュバックの光景が全て繋がった。

俺はヒュウドラの駆動炉の実験で・・・・・死んだんだ。コロナはアリシアを見つめて、そのぬくもりをもう一度確かめる。・・・冷たい。

「あら、思い出したのかしら?あなたの記憶はきっかけがあれば戻るはずよ。少し細工はしてあるけれども、全て入れといてあげたから。まだ思い出せないようならじっくりわたしが説明してあげてもいいわ。」

「ははは・・・嘘だ。だって、俺は、俺は生きてる。」わかってる。俺は・・死んだ。でも、それって、そんなの、そうでしたか?って受け入れられるほど、俺は強くない。

「そう、生きているわ。でもその前に一度死んだ、そして私がよみがえらせてあげた。死ぬ以前のあなたは確かに人だったわ。でも今のあなたは、人ではなく、私が、アリシアをよみがえらせようとした時に生み出したモルモットなのよ。」

プレシアは、コロナに近づきながらさらに言葉を続ける。

「けがらわしいモルモット風情がわたしのアリシアに触れないでくれる。」

プレシアとコロナの距離があと3メートルまで狭まる。

「やめろーーーーーーーー!!!!!」

コロナは乱暴にデバイスを振り回し、魔法弾をプレシアにぶちまける。

しかし、全ての魔法弾がプレシアの目の前で霧散する。

もともと攻撃系の魔法が得意でないコロナの魔法弾ではプレシアに触れる前に消滅してしまう。

だがここで攻撃をやめるわけにはいかない。もし、ここで攻撃をやめたら、自分が自分でいられなくなるような気がする。

絶対に目の前の敵から逃げてはいけない。こんなところで、自分の存在を否定されてたまるかよ。

デバイスに魔力を収束させて、いびつで不細工な砲撃を放つ。

「フハハハ、無様ね。」

渾身の一撃も片手で防がれる。

距離がほぼなくなり、プレシアがアリシアに手を伸ばした

その時、

「耳を貸すなコロナ!!お前はコロナ・スエードだろ。それに、お前の、いや、俺様達の魔導はそんなんじゃねえだろ!!」

親友の怒声が聞こえた。

そうだ、その通りだ。何を血迷っているんだ。俺は。

その言葉で俺は正気に戻る。アリシアに迫るプレシアの手を弾く。

声の主ウザスは、地面にキスをしながらも、すでに意識は回復しているようだ。相変わらず、タフな奴だ。

「そうか。そうだな。モルモットだろうが、なんだろうが、俺が・・俺がコロナだ。俺がコロナ・スエードだ。俺は俺の道を行く。それを俺の魔導で証明してやる。」

俺のすべては、あの時から始まっているんだ。今ここで、それを証明しなくていつするんだ。コロナはアリシアを抱えたまま、プレシアから距離をとり、足元に大規模な魔方陣を形成する。

「みんな、寝てるところ悪いけど、少し魔力を借りるよ。」

普段使用する治療魔術の反用で、倒れている武装隊員の魔力を吸い上げ、自分の魔力に変換していく。

「夢が叶わないと願いへと変わり、願いが届かないと希望へと変わり、希望がなくなれば祈りへと変わる。でも、絶対に起こり得ない祈りは、呪いへと変わる。今のあんたにとってアリシアは呪いなんだよ。プレシアおばさん。」

「アリシアが呪い!?違うわ。あの子は光なのよ。あの子だけが私の未来を照らしてくれる。」頭に血の上ったプレシアが今までの数倍の魔力を込めた魔法を準備する。

もうなりふりかまわず、アリシアごとこの場にいる全員を魔力ダメージでダウンさせる気だ。

「このわからず屋が!!広域防御結界、『オーバー・ストライク』」この結界は本来単独で張るようなものではないが、魔力の貯蔵もある状況ならば、結界魔導師であるコロナならば、張れる。

「もう一度・・・死になさい。」

プレシアの台詞の直後、先ほどの数倍の威力の雷が落ちてくる。それと同時にプレシアが吐血する。

コロナはそれを結界ですべて受け止める・・・がすぐに結界にひびが入る。

やはり、コロナとプレシアではランクが違いすぎる。

「多重詠唱、広域防御結界『オーバー・ストライク』、もう一枚!!お願い。≪エトワール≫」

コロナの胸元で結界専用の星型のデバイス≪エトワール≫が銀色に輝き、主の声に応え、同じ結界をもう一枚元の結界の内側に張る。

プレシアの雷を全て受け止められる結界なんて、俺一人では作れない。だから、出来る限り最強の結界を作る。一枚で駄目なら、二枚張ればいい。二枚で駄目なら三枚張ればいい。何枚でも張って見せる。幸い魔力の貯蔵十分だ。

たとえ、プレシアの雷が100の威力の攻撃力だとしても、10の防御力の結界を10枚重ねれば防げる。

「ふん・・いくら結界を張ったところで・・全て叩きつぶしてあげるわ・・ゴホッ。」さらに多くの血を吐きながらプレシアはより強い雷を降らせる。

「三枚目!!」今度はデバイスでなく、コロナ自身の力で結界を張るが、これも一瞬で砕かれる。「四枚目!!お願い!!!」体がちぎれそうだ。そろそろ、体に異常が出てきている。

「コロナ!!負けるんじゃねえぞ。」倒れて動けないウザスに励まされる。

「フハハ・・悪あがきを・・・ゴホッ・・ゴホッ。」

先にコロナに限界が来るか、それともプレシアの体に限界が来るかだ。

「五枚目!!」俺は自分で結界を張る。右足が動きにくい。こんなに多くの魔力の放出は初めてなので、体が拒否反応を起こしている。

「・・・・ゴホッ、ゴホッ・・・モルモットの・・・分際で・・・・アリシアに・・・触らないで!!!」すさまじい吐血をしながらプレシアがこれまでにない規模の雷を落とす。

「うっせーな。何がアリシアだ。何がモルモットだ。そんなの関係ねえ!!俺の魔導はなぁ、人を守る魔導だーー!!!」コロナと、星型のデバイスが同時に2枚の結界を張る。

そして、コロナの想いのこもった結界に、ただ、絶対的な力を叩きつける雷がぶち当たる。

轟音とともに、あたり一帯は、煙に包まれた・・・・・・・・

少しずつ煙が晴れていき、玉座の間の状況が把握できるようになる。

そこに立っていたのはプレシア・テスタロッサだった。

口からあり得ないほどの、吐血をしながらも、ジュエルシードを起動させようと彼女は両手を広げる。

「やめ・・・ろ。」雷は防ぎきったがコロナは立ち上がるが、足元の魔方陣が消えてしまい、魔力が足りなくて何もできない。

「行く・・・のよ・・ゴホッ。アリ・・シア・・。私たち・・・ゴホッはアル・・ハザーーーー「ガシン」!!」

ジュエルシードを起動させようとしたプレシアの両手、両足に茶色のリングが付いた。

「フフッ、俺様ファインプレイだろ。」倒れながらも、バインドを決める自分に酔いしれているのはいうまでもなくウザスだ。

プレシアはそのバインドを壊そうとするが、すでにさっき魔法を連続で酷使し続けたため、うまく体が動いていない。

それを見たコロナは、手の届く範囲の隊員の魔力を強制的に自分のものにして、全身に魔力を流し、体の異常を回復させる。

そして、一目散にプレシアの方へ駆け寄る。

全力で走り、バインドを振り払えないプレシアの目の前までやってきた。

「俺は、モルモットなのかもしれないです。人間じゃないのかもしれないです。でも、俺の魔導は、人を守るもので、俺の医療は、人を救う医療なんだ。たとえ、モルモットでも、俺のやることは何も変わらない。プレシア・テスタロッサあなたを逮捕します。」

コロナはまっすぐにプレシアを見据えて、持ってきた医療道具の中から注射器を取り出す。

「わたしは・・・ゴホっ・・アリシアと・・・」最後までプレシアは抵抗するが、すでに虫の息だ。

「おやすみなさい。」

コロナはプレシアに注射器を刺す。

すると、数秒もしないうちにプレシアは、地に伏せた。宙に浮いているジュエルシードも全て地に落ちた。

「こんなになるまでプレシアはアリシアを大切に思ってたんだ。家族ってちょっとうらやましいな。」

落ちたジュエルシードを全て回収したコロナはそう呟いていた。

「フフッ、俺様達にとっては、この武装隊が家族みたいなもんだろ。」

たしかに・・・そうだ。俺達は家族だ。苦しい時は助け合って、笑いあえる。

ウザスの言葉に精神的に少し元気になった俺は医療道具をプレシアの近くで広げ、緊急オペの準備に入る。

目の前の人物プレシア・テスタロッサの吐血量はすでに危険なレベルだ。

ここで応急処置をしておかないと、とてもアースラまでの転送の間は持たないだろう。

コロナは思考を巡らせる。

少なくとも、コロナの記憶(このコロナは昔死んだ方)ではプレシアは健康だった。

プレシアの病気は、おそらくだが、ヒュウドラ事件の時の魔力素が関係しているか、もしくは、単純な病気かどちらかだ。

もし、魔法で解決できる問題ならとうの昔にプレシアが自分で治しているだろう。

どちらにせよ、一度調べる必要がある。

コロナはプレシアの体内に自分の魔力を流し込み、体内を調査する。

これは・・・・明らかに異常だ。体中に毒がまわっている。やっぱり、ヒュウドラ事件の魔力素が原因だろう。こんなんでよくいままでよく生きてこられたと思う。

毒は完全に体内に取り込まれている。普通ならば、絶対に治せない。一部だけ毒に冒されているならば、そこを切り開いて、魔力素を取り除けばいい。しかし、全身となると不可能だ。

そう、【普通】ならば不可能だ。

だが、コロナには、レアスキル『形状変換』がある。

さっき魔力の使い過ぎでいかれた体を治したのも『形状変換』のおかげだ。

コロナは自分の知っている構造のものならば、魔力を通して形状を変えることが出来る。

方針の決まったコロナはメスを持ち、縦に動かす。切り開かれたプレシアの体内に直接触れる。

今、コロナの触れている場所は腎臓だ。ここに全てのプレシアを蝕んでいる魔力素を集める。

集中する、魔力素というのは、難しい構造だが、時間をかければ確実に解析できる。

数分間、解析し続ける。その間に、武装隊の局員たちが次々とアースラに転送されていく。

「解析終了。さて・・・次は・・」

プレシアの全身に無理やりコロナは魔力を流す。形状変換によって、全身の魔力素を片方の腎臓に集める。

簡単に出来る。そう、そのはずだった。ただし、コロナの計算には自分の体調が入っていなかった。さっきの結界の連発によってコロナのリンカーコアは消耗している。

プレシアに流す魔力が安定せずに乱れる。乱れた魔力がコロナの体内に逆流する。

「うっ、、があ・・」激痛に耐えながらもコロナは続ける。どうせ、魔力はしばらくは安定しない。今ここでやりきらないと目の前の患者は死ぬ。何があってもやり遂げる。

決意で激痛を押しのけ不安定な魔力でなんとかプレシアの体内の魔力素をすべて片方の腎臓に集める。

とてつもなく疲れた。それでも、まだ手術は続く。次は腎臓の摘出だ。ここからは完全に外科手術だ。助手の一人でも欲しくなる。

一人での外科手術は、スムーズに進む。今のコロナは魔法は不安定だが、肉体的には健康そのものだからだ。

コロナが執刀してから、4時間が経過した。コロナの周囲には肩にドリルのついた少年など、見知らぬ人が多数いる。アースラスタッフなのだろうか?

「・・・・・あとは縫合だけだ。」コロナは針で縫合していく。

最後の一針が縫い終わる。手術の途中、血液が足りなくて、たまたま血液型があったので自分の血液を輸血したりと、それなりの困難はあったが・・・無事、成功した。

そして、手術が終わった途端、血まみれの医療道具を投げ捨てて、コロナは血の滴る床に倒れこむ。

何人かのアースラスタッフが慌てて駆け寄ってくる。その中にアリシアが成長したような少女がいたような気がするが・・・きっと・・・・気のせいだろう。



[19410] 始まりと終わり3話 『始まりと終わり』
Name: アドバーグ◆bdfba43b ID:07ba40b5
Date: 2010/07/11 15:27
~~~side ウザス~~~

「フフッ。やり遂げたか・・・それでこそコロナ・スエードだ。」

今、ウザスがいるのはアースラ内の真っ白な部屋。いわゆる病室だ。

転送されてからは病室のモニターで最初から最後までずっと見守っていた友はそう呟いた。モニターの中では、コロナがアースラに転送されていた。

それから5分ほど経つが、コロナは一向に艦内に戻ってこない。あの様子から真っ先に病室に直行してくるはずなのだ。

不審に思ったウザスは、まともに動かない体を引きずり、なんとか廊下にでる。

タイミングが良かったらしく、廊下にでたウザスの目の前にはコロナがいた。

「コロナ!!お疲れ様だ。」色々あったが、出来るだけ、いつも通り声をかける。

「・・・・・・・・・・・」

返事がない。よく見ればコロナの周りには、数人のアースラスタッフがいる。

気を失っているので、運んできてくれたのだろうと最初は思った。

しかし、よく見て見れば明らかに様子がおかしい。コロナの周りにいる人間の一人は執務官だ。その少年はデバイスを片手にしている。そして、なによりコロナの手には水色のバインドがかかっている。

それを見たウザスは、状況を理解し執務官に飛びかかる・・・・はずだったが、体が動かない。無様にそのまま、きれいに掃除された床に顔をぶつける。

「おい!!コロナが何したっていうんだ!それに、そいつはすっげぇ疲れてるんだ。病室に行くべきだろ!?おい、その手を離せよ!!」

今のウザスがしっかりと動かせるのは口だけだ。コロナが連行される理由は・・・わかる。この事件の貴重な・・・情報源だからだ。でも、それは、コロナが人でないことを肯定するのと同じだ。家族として、認めたくなかった。

「気にするな、行くぞ。」小さな執務官は冷酷にそう告げ、コロナを連れて角を曲がって行った。

「ッ、クソ・・畜生・・・畜生ォオオ!!!!」一人の少年の咆哮が、艦内の中にむなしく響いた。




~~~side ???~~~

ウザスの叫びから3時間後。。。。。。



「やきそば!!!!!!」

突然の大声にビクッっと驚く。私は大声をだした少年を見つめる。銀色の髪をしていて、今はかわいらしい表情で眠っているけど、この人は母さんを救ってくれた人。

なんだか、見ているだけで少し心が暖かくなる。

私たち3人は今、アースラ艦内の牢獄というには少し整っているけれど、そういうところにいる。

3人が牢獄にいるんだけど、銀髪の子は起きないし、アルフはしばらく前に寝てしまったので、ちょっと退屈だったりする。

「う・・うん・・むにゃむにゃ、もんじゃ・・・」

さっきから、この人はすごく寝言を言ってる。それも、食べ物ばっかり。もしかしたら、起きているんじゃないかとさえ思う。

ちょっと勇気を出して近くまで行って話しかけて見る。

「あの・・・起きていますか?」

「う・・うん?」質問に対して疑問形で帰ってくる。寝てるんか起きてるのかよくわからない。

「あの・・・わたし、フェイト・テスタロッサって言います。」

「うん。」起きたのかな?ちょっとだけ体が動いた。

そしてそのまま、腕だけがゆっくりと布団から出てきて、私に向かって伸びてきた。

「はうっ・・・はわわ」私はめちゃくちゃ動揺するけど、お構いなしに抱きかかえられる。

「むにゃ、むにゃ、はるまき・・・」・・・・絶対寝てる。でも、あっ・・あったかい。ちょっと気持ちいいかも。

でも、私はどうしたらいいのだろうか?この腕を振り払えば、コロナちゃんを起こしてしまうかもしれない。それに暖かくて気持ちいいからあんまし離れたくない。

色々と考えていたら、私も眠くなってきた。今日は色々あったし、襲ってきた睡魔にはもう逆らえなかった。


~~~side コロナ~~~


どういうことだ?今、俺は起きたところなのだが、状況がサッパリサッパリだ。

今置かれている状況に自問自答してみる。

まず、場所。ここ、きれいだけど・・・・檻っぽいし、丈夫な壁で出来てるし、きっと牢屋だ。まぁ、これについてはわからんでもない。

俺は、この事件の重要参考人なのだろう。でもなんで同じ部屋に狼いるの?今、魔法使えないし、超怖いんだけど。

次に、みんな助かったのだろうか?ウザスでさえ、動けなくなるような雷をくらって、他の隊員は無事だったのだろうか・・・・?これはちょっとわからない。

守衛さんみたいな人を探してみるが・・・一向に見当たらない。いっそ、この牢屋抜け出してやろうかな?形状変換で一発だぜ!!・・・って絶対駄目だ。話がこじれる。

最後に、なんで俺の腕の中にアリシア(成長ver)がいるのか?ということだ。また、夢を見ているのだろうか?いや、違うぞ、これはきっと現実だ。リアルがリアルすぎるもの。

とりあえず、わからないので、少女を起こすことにした。

「おはよう。」肩をトントンと叩き、少女を起こす。

「あ、おはようございます。」少女はむくりと重たそうに瞼を開く。

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

二人の間に沈黙が流れる。非常に気まずい。

だって、初対面で起きたら突然一緒のベットで、かなり年の離れた異性で、しかも昔の友達と瓜二つだもの。でも、とりあえず自己紹介だ。

「俺は、コロナ・スエード、14歳。よろしく。」

「フェイト・テスタロッサ、9歳。よろしくお願いします。」

なるほど、フェイトっていうのか、かわいい名前だ・・・テスタロッサ?うん・・?って、え?じゃあ、こうなるのか?

「もしかして、フェイトはプレシアおばさんの子供?」

「うん・・・・そう・・・・でも・・私はコロナちゃんと同じです。」少女は言いにくそうにうつむきながらそう言った。

なるほど、俺と一緒ってことはクローンってことか・・。それなら、彼女がアリシアと似ているのも、同じ牢屋にいる意味も全て納得がいく。
あとなんで、俺は≪ちゃん≫付けで呼ばれるのかな?

「なんか複雑だね。あと、敬語じゃなくていいよ。俺そういうの気にしないし。」

≪ちゃん≫付けは気にするけども。

「私、年上の人とかいなかったから、どう話せばいいのかわからないんだ。そうだね。私もびっくりした。」

普通、年上の友達には、≪ちゃん≫付けをしない。なるほど、フェイトは箱入り娘というわけだな。と俺は推測を立てる。

しかし、その予想はまるで違った。彼女とそのあとしばらくおしゃべりしていると、色々なことが分かった。

彼女は、最近になって初めて、時の庭園以外の土地で、暮らした。

魔導師になったのはプレシアが望んだから。今まで生きてきた理由も、母さんを笑わせたかったから。

でも、今日の午前にとある女の子と戦闘して、何か思うところもあったらしい。

今の彼女はすごく危うい。それだけはひしひしと感じた。

別に頼んだわけではないが、彼女が自分のことを話してくれたので、何かのためになれば、と俺は自分の話をする。

「俺は、今の厳密な年齢とかは実はわからない。14歳くらいだと思う・・・。

というのも俺には、小さい時の記憶がほとんどない。どこで生まれたのかも、どうやって育ったのかもわからない。

俺の記憶が鮮明なのは、ある男の人が、俺を拾ってくれた時からだ。その時の記憶はないけど、男の人によると、無人世界に裸のまま倒れていたらしい。

その頃の年齢は推定、5歳だった。拾われた時に覚えていたのは、『コロナ』っていう自分の名前だけ。苗字の『スエード』は、その男の人からもらったんだ。

男の人っていうのが、今俺が所属する武装隊の当時の隊長だった人だ。あの人は、優しくて、それでいて、魔力量や体つきも普通だったけど、強い人だった。

その人は、身寄りのない俺を引き取ってくれた。それからは、俺にとってはその人が父親だった。

俺は、まだ幼かったけど、親父の助けになりたかった。だから、いろんな武装隊の人に魔法を教えてもらった。幸い、もともとある程度の資質はあったようだ。

それから一年間ほど、平和に時が流れた。

魔法もそれなりに使えるようになった6歳のとある夜、親父が任務から帰ってきた。でも、どういうことか、腕には一人同い年くらいの少年が抱えられていた。

俺の友達にウザスっていうのがいるんだけど、そいつだ。親父が任務で行った戦場にいた戦争孤児らしい。

突然で驚いたけど、ウザスとは年も近かったし、なによりお互い頼りがいなかったのですぐに仲良くなった。俺の初めての友達だった。

ウザスも俺と同じように少しでも親父のためになるために魔法を習い始めた。

それから一年、俺達は魔法の練習をひたすら行った。この時はやみくもに色々な魔法を覚えていた。

俺達は人を救ったり助けたり出来る親父に憧れていた。いつか、絶対親父みたいになりたい一心でウザスとともに鍛錬に励んだ。

そんな幸福な時間が終わって、全てが始まるのがそのさらに一年後。俺が8歳の時、武装隊の拠点が突然何者かに襲われた。

深夜に襲われたので、俺とウザスと親父の3人、同じテントで寝ていた。

いち早く危機を察知した親父は俺達の眠っているテントに結界を張り、一人戦いに出て行ったみたいだ。

その何分後なのか何時間後なのかはわからないが、嫌な予感がして、目を覚ました俺は、親父がテント内にいないのに気づき、ウザスを起こしテントの外にでた。

外の世界は赤かった。自分たち以外の他の武装隊員の寝ているはずのテントは全て燃え上っていた。武装隊員も、あちこちに血を流して倒れていた。

俺達は膝がすくみ、立てなかった。親父が目の間で数人の敵に囲まれているのに、こんな時のために魔法を練習してきたはずなのに、俺達は、見ていることしかできなかった。

親父はかなりの人数を一人で倒したが・・・・最終的に俺達の見つめる中・・・・胸を貫かれ、殺された。

幸い、そのあと俺達は敵には見つからなかった。

敵が去ったあと、足が動くようになったのでもうスピードで親父のところへと駆け付けた。

まだ親父は息をしていた。ただ、瞳に力はなかった。俺は、いままで練習してきた治療魔法をかけ、親父を助けようとした。

でも、そんな、甘っちょろい魔法で人を救えるほど、世界は優しくなかった。

俺とウザスが見つめる中で、親父は、息を引き取る前に、こういった。

「よかった。お前達が生きていてくれて・・・・」

と。

俺達の憧れた親父は、最後までカッコよかった。

親父がいなくなって、俺の中で何かが終わった。

でも、それと同時に始まったこともあった。

俺の魔導は、人を守るものになり、人を救う医術を身につけるようになった。この日から、俺は結界魔導師になった。

ウザスは、中衛からの人を助ける魔導を身につけた。

それが、今の俺達なんだ。

もう、俺は親父に憧れるのもやめた。

人を守る魔導が、俺の生きる道なんだ。それを導いてくれたのは間違いなく親父だから・・・」


一人語り続けたコロナの回想が終わり、すぐ隣にいるフェイトが口を開く。

「強いんだね。コロナちゃんは・・・」

「強くなんかないよ。だから、モルモットだって、言われたぐらいで迷ったりもするし。今回は、ウザスのおかげだよ。」

コロナは正直に思ったことを口にする。

「ねえ、コロナちゃん、友達ってどうやって作るの?」

少し、困ったことを聞かれる。でも、なんとなくこの子の聞きたいことはわかる。だって、俺もウザスと友達になるまでは、友達なんていなかったから。

「・・・・お互い友達になりたいって思ったら、その時点で友達だと思うよ。でも、きっと言葉にしないと伝わらないね。」

「言葉・・・でもどんな言葉をかければいいのかわからないんだ。」

「それは、自分で考えなくちゃ駄目だ。」

少し厳しいかと思いながらもそういうと、フェイトは黙りこくってしまった。

きっと、フェイトも今自分と真剣に向き合っているんだ。彼女も前に向かって歩こうとしている。この子は少し危ういけどきっと、大丈夫だ。そんな気がする。

ただ、気がかりなのは、プレシア・テスタロッサのことだ。彼女は、もう一度前を向けるのだろうか?

もう一度、夢の中で見たような笑顔で笑える日が来るのだろうか?

そんなことを考えていたら、フェイトはすでに隣で眠ってしまったようだ。よく見れば、体に小さな傷がたくさんある。おそらくは今日の戦闘で出来たのだろう。疲れていても無理はない。

コロナは、同じ布団で寝るのも、よくないのかもと思ったけど、動くとフェイトを起こしてしまうかもしれないので、出るに出られなくなって、結局、その日はそのまま寝ることなった。





あとがき

大幅な変更があったものですので前に書いていたのはひとまず消しました。
とりあえず、無印編を書き直してみました。
前のは無かったことにして、前作の意見や感想を参考に書き直したこちらの続きを書いていきたいと思っています。


書き直す前のおもな変更点

・ウザスを前面に押し出し、クロノが空気化。
・回想追加
・アリシア死亡、プレシア生存

です

はじめましての方も以前から読んでいただいていた方もよんでくださってありがとうございました。何か気になる点があれば、感想板へお願いいたします。


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