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2010参院選みやざき:松下さん、組織力で再選 自民“一枚岩”支援実る /宮崎

 第22回参院選は11日投開票され、宮崎選挙区(改選数1)は自民現職の松下新平さん(43)が、民主新人の渡辺創さん(32)=国民新推薦=▽共産新人の馬場洋光さん(41)を抑えて再選を果たした。口蹄疫(こうていえき)で各陣営とも十分な選挙活動ができないなか、被害を受けた畜産農家や疲弊した地域経済の復興が争点になった。

 当日有権者数は93万3881人(男43万2473人、女50万1408人)で、選挙区の投票率は56・77%と前回07年の56・79%と比べ微減した。【参院選取材班】

 自民現職の松下さんが自民県連の全面的な支援を受けて再選を果たした。ここ数年、非自民勢力に押され気味だった自民県連にとっても会心の結果となった。

 松下さんは04年に初当選し、民主党・新緑風会、改革クラブを経て今年1月、党本部主導の公認含みで自民に復党した。自民県連は09年の衆院選や07年の参院選で保守分裂に陥り議席を失った苦い教訓がある。

 さらに昨夏の政権交代で野党に転落した危機感から、県選出の江藤拓、古川禎久両衆院議員が支える挙党態勢で臨んだ。04年の参院選で対決し、松下さんの支援に難色を示していた上杉光弘・元参院議員、たちあがれ日本の比例代表で立候補した中山成彬・元国土交通相も支援に回った。

 公明党も、比例代表候補と松下さんの後援会が政策協定を結んだことから、多くの公明支持層が松下さんに流れた。

 長年、自民候補を推してきたJAの政治団体・県農民連盟が口蹄疫対策のため自主投票に回るなど、従来の支持組織も政権与党との関係から微妙な距離が生まれた。しかし、自民は徹底した組織戦で保守層を固めきった。

 民主新人の渡辺さんは、民主初の公認候補として戦った。宮崎市出身の元毎日新聞記者。県内を地道に回り、街頭演説は1200回を超えた。

 しかし、民主県連が一方的に公認候補擁立を決めたことに社民県連が反発。連合宮崎を核にここ数年「反自民」で無所属候補を推して共闘してきたCNP(クリエート・ニュー・ポリティクス)会議の調整が難航し、支援決定は今年4月までずれこんだ。

 米軍普天間飛行場や政治とカネの問題、そして口蹄疫による政府批判も渡辺さんにとっては逆風に。政権与党とは言え、民主の支持基盤のぜい弱さも浮き彫りになった。終盤に連合宮崎加盟の労組が動いたが、組織的な活動の出遅れは致命的で、知名度浸透は及ばなかった。

 共産新人の馬場さんは、政権への批判を追い風に、自民でも民主でもない有権者の支持獲得の受け皿となることを目指した。基地問題や消費税の増税反対を主張して一定の支持を集めたが、松下さんや渡辺さんには届かなかった。

 ◇「県民の怒り、受け止める」

 宮崎市橘通東1の選挙事務所では午後8時の開票開始とほぼ同時に、テレビに「当選確実」のテロップが流れた。支持者からは「早いなあ」などの歓声が上がった。

 口蹄疫の感染地での活動を自粛するなど異例の選挙戦を制した松下さんは「国は口蹄疫の現状を分かっていない。県民の怒りの声を受け止め、基金の設立など特措法を最大に生かす政策に明日からでも取り組みたい」と約束した。終息しない口蹄疫に配慮し、「万歳三唱」は自粛。「ありがとう三唱」で祝ったが、会心の笑顔は心の中にしまい込んだ。

 04年選挙では自民を離党し、無所属で当選。復党した今回は、江藤拓、古川禎久両衆院議員と「若さ」「自民刷新」をアピールした。米良政美事務総長は「一枚岩となった自民県連を信じてくれた県民のおかげ」と語った。

 ◇「力及ばず」頭下げ 初挑戦実らず--渡辺さん

 宮崎市宮脇町の渡辺さんの選挙事務所では、支持者の間に落胆が広がった。

 渡辺さんは「口蹄疫の窮状を国政に届けたかったが、力が及ばず申し訳ない。ご支援いただきありがとうございました」と頭を下げ、最後まで感謝の言葉を忘れなかった。

 毎日新聞記者を辞めて昨年帰郷し、草の根的な街頭演説や小集会を重ねた。教育や少子化問題を専門分野に、政治部時代に培った人脈もある即戦力だと訴えたが、出遅れと知名度不足を補うまでには至らなかった。

 横山節夫・総合選対本部総括責任者は「口蹄疫や菅首相の消費税に関する発言を跳ね返すことができなかった」と分析した。渡辺さんの国政初挑戦は、厳しい結果に終わった。

 ◇「消費増税反対、訴え及ばず」--馬場さん

 宮崎市清水の馬場さんの事務所では、テレビの開票速報に重苦しいムードに包まれた。馬場さんは「3人の候補の中で唯一、消費税増税反対を訴えたが、及ばずに大変残念」と述べた。津島忠勝・選対本部長も「消費税問題と党の得票を結果的に結び付けることができなかった」と敗戦の弁を語った。

 消費税増税反対を中心に、後期高齢者医療制度の廃止、米軍基地の無条件撤去などを訴えて「財界や米国にものが言える政党」をアピールしたが、支持拡大にはつながらなかった。口蹄疫問題については「党派を超えて被害者の救済をしたい」と語った。

 ◇期日前投票10万7233人

 県選管は11日、参院選期日前投票の最終結果を発表した。6月25日~7月10日の16日間で10万7233人が投票した。前回(07年)より7068人、7%増えた。

 前回より増加率が最も高かったのは、えびの市の32%で、以下、木城町27%、川南町21%--などの順。いずれも口蹄疫の被害市町だった。

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 ◇開票結果=選管最終発表

当  303,711 松下新平  43 自現

   178,854 渡辺創   32 民新

    35,632 馬場洋光  41 共新

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松下新平(まつした・しんぺい)43自現(2)

 党青年局次長・農林水産関係団体副委員長・国土建設関係団体副委員長・安全保障関係団体副委員長▽農林水産委員[歴]県職員・日向土木事務所主事▽参院議員秘書▽県議・総務企画常任委副委員長▽法大

毎日新聞 2010年7月12日 地方版

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