「加賀友禅の職人の多くは、食べていけない状況なんです」。先日取材で出会った友禅職人が肩を落として言った。不況や若者の着物離れで、加賀友禅の出荷額は減少傾向が続いているという。
金沢市は昨年、ユネスコの創造都市ネットワークに、クラフトの分野で登録された。市は「手仕事のまち・金沢」をPRするが、職人いわく「仕事がない状況は変わらない」とも。
最近は、着物以外の小物商品も開発されている。しかし、加賀友禅作家がデザインしたTシャツは一万円、名刺入れは数千円−と、着物に比べれば格安かもしれないが、若者らが気軽に買える額ではない気も。ひときわ華やぐ存在の加賀友禅。継承発展へ、業界の模索は続く。 (奥野斐)
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