取組前に11本の懸賞に囲まれる白鵬=愛知県体育館で
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一人横綱の白鵬(25)=宮城野部屋=は新小結栃ノ心を左上手投げで下し、3連覇へ向けて好スタート。初場所から続く連勝は33に伸びた。
場所前に元大関琴光喜(34)が野球賭博問題で解雇され、4人となった大関陣は、琴光喜と兄弟弟子の琴欧洲(27)=佐渡ケ嶽部屋=が朝赤龍を寄り切り、把瑠都、魁皇とともに白星発進。
野球賭博問題に絡んで幕内は豪栄道ら6人、十両は4人が謹慎処分で休場。取組数は幕内が18番、十両が11番と先場所初日より3番ずつ減った。
集中は研ぎ澄まされていた。白鵬は立つと同時に左四つに組み、即座に上手投げ。新小結栃ノ心に全く相撲を取らせなかった。自身タイ記録となる33連勝。それ以上に横綱らしい相撲を取れたことに胸を張った。
「自分の流れで取りきった。タイミングも流れも良かった。(連勝も)意識はあるんですけど、それより今場所は大事な場所。大事な場所の大事な初日でいい相撲を取りきった」
18人の力士らが休場し、NHKの生中継も中止された異例ずくめの場所。8日には天皇賜杯の表彰辞退を決めた協会の対応に「やり過ぎじゃないか」と苦言を呈し、波紋を広げた。
所属する宮城野部屋は報道陣と一般見物客をシャットアウト。この日の朝げいこはこれまで以上に土俵を厚いシートで覆ったため、地域住民から不満の声が上がったほど。その中で黙々と立ち合いの動きを確認した。
会場入りしてからも重圧は感じ取っていた。「『頑張れ』という声援がいつも以上に多かった。その分プレッシャーもありましたけどね」。土俵入り、協会あいさつ、天皇賜杯の返還。いつも以上に緊張感が漂った。
それでも重圧を力に変えるのが横綱たる宿命でもある。「今場所楽しみです。逆にね。こんな場所、これからも2度とないでしょう。この場所で経験したことで自分自身も大きくなるだろうし。4、5年後ふり返って、あの場所はああだったなと。そういう意味で頑張りたい」。相撲史に残る場所をさらなる成長の糧に。大横綱へ白鵬が突き進む。
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