三役以上の力士と共に謝罪する日本相撲協会の村山弘義理事長代行(中)=午後3時44分愛知県体育館で(神代雅夫撮影)
|
 |
◇名古屋場所<初日>
(11日・愛知名古屋体育館)
力士らの野球賭博問題で開催自体も危ぶまれた大相撲名古屋場所が11日、開幕した。場内には暴力団を警戒する警察官。トロフィーなどが展示されるはずだった正面入り口のガラスケースは、賞辞退のためがっぽり空いていた。謹慎者続出のため、取組も減った。いつもと違う異様なムードでのスタート。そんな中、村山弘義理事長代行(73)が初日の「協会御挨拶」に登場、温かい声援も寄せられた中で名古屋場所を「再生に向けての改革の本場所とすべく確固たる決意をもって取り組む」と語った。
横綱白鵬らを従えて、村山理事長代行が西の花道から土俵へと歩を進める。十両の取組中に行われる、恒例行事の「協会御挨拶」に紋付きはかま姿で土俵に上がった。
最初はざわめく場内から「村山帰れ〜」と厳しいやじが飛ぶ。ただそれも最初のうちだけ。武蔵川理事長が体調不良のため、出席できなかったことを村山代行が説明。「理事長武蔵川に代わりわたしから、心からおわび申し上げます」と語り始めると、やじは消え、声援へと変わった。
「相撲協会、負けるな〜」「おれは応援しているぞ〜」。温かい声援の真ん中で、村山代行は大相撲の将来への決意を語った。「この場所を再生に向けての改革の本場所とすべく、確固たる決意をもって取り組む所存でございます」。拍手の中で深々と頭を下げる。先場所優勝の白鵬からは天皇賜杯を返還された。
「賜杯をこの手で、この腕で抱いて重さを実感した。物の重さより伝統の重さを実感した」
名古屋場所初日が満員御礼にならなかったのは記録が残る1985年以降では初めて。それでも、7200人(定員8100人)が詰めかけた。村山代行は「きょうは気迫のこもった素晴らしい相撲だった。千秋楽には満員御礼出せるようになっていくだろう」と期待を寄せた。 (岸本隆)
この記事を印刷する