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【続】【平成の表現狩り】検証サイト問題

検証サイト問題を考えるに際しての私の立場

① 作品について検証し、公表する行為自体は表現の自由により保障される表現活動です。
   山口貴士は検証行為そのものを否定する立場ではありません
   しかしながら、検証行為を行う以上、表現行為そのもの、並びに、著作権に関する十分な知識が必要です。
   表現の自由は最大限度に尊重されるべきですが、それでも、作家の名誉権や出版の自由に影響を及ぼしかねない以上、表現の自由 vs 名誉権  表現の自由 vs 出版の自由 などの場面において、表現の自由と対立する権利の間の調整が必要なことも当然です。不十分な根拠と知識に基づいて検証を行い、ある作品を「パクリ」、「盗作」呼ばわりし、その結果として、重大な損害を及ぼした場合には、名誉毀損行為あるいは業務妨害行為としてその責任を問われることは当然です
これに対し、例えば、実在の児童を被写体としない「児童ポルノ」の場合には、「絵」を規制することと児童の人権という対立する権利を保護することとの間に、そもそも、結びつきがなく、規制自体が不合理と言わざるを得ません。
   実際に、「被害者」が発生しうる検証サイトの場合、無制限な検証行為が認められるということは出来ないと思います。

② 憲法が表現の自由を保障している以上、発表された表現物は誰でも自由に利用してもよいのが法の大原則です。著作権はあくまでも例外的な制約事由にしか過ぎず、著作権に抵触しないよう先人の著作を利用する行為は原則的に法的な問題はないものと考えます。
  例えば、アイデアの利用です。アイデアは著作権法では保護されませんので、他人のアイデアを使用することは自由です。アイデアまで保護してしまうと、表現の自由に対する過度の制約になりかねないので、著作権法はアイデアを保護の対象から外しています。他に、著作権上保護されないものとしては、「文体」があげられます。

③ 表現の歴史は「パクリ」、すなわち、模倣や真似に代表される先人の作品の利用の歴史であることを忘れてはならないし、先人や先人の作品から影響を受けない表現者は存在しないということを踏まえた議論がなされるべきです。「俺のアイデア!」、「大好きな**先生の作品!」に代表される表現者あるいはファンの既得権意識ないし独占意識は自由な表現活動を阻害すると考えます。
  したがって、著作権に抵触しない形で先人の著作をうまく利用するのは、表現者の「技」であり、原則的に、倫理的、道徳的にも問題はないというべきであり、著作権を侵害しない作品について「パクリ」、「盗作」呼ばわりする姿勢には疑問を感じます。

④ 模倣行為や真似などの著作物の利用行為に対する姿勢は表現者ごとに異なります。基本的には、表現者本人の姿勢を尊重すべきであると考えます。
 
以上が山口の基本的なスタンスです。

【続々】【平成の表現狩り】検証サイト問題 を鋭意準備中です。今しばらくお待ち下さい。

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Comments

>③ 表現の歴史は「パクリ」、すなわち、模倣や真似に代表される先人の作品の利用の歴史であることを忘れてはならないし、・・・(失礼ながら以下略)

このことに関しては、否定するものでもありませんし、かえって「自分がオリジナル!!」と言い切るほうが傲慢だと思います。

それを踏まえた上で、今回の件に関しては

>著作権に抵触しない形で先人の著作をうまく利用するのは、表現者の「技」であり、原則的に、倫理的、道徳的にも問題はない

まさに、この部分をファンは問題にしています。
「表現者の技」が全く感じられないから・・・。
同人作家なら許される範囲でも、卑しくもプロの作家である以上、気取られるようならそれは「技」ではないと思うのです。
(多くの同人誌はパロディという前提ではあっても、理を入れるのは暗黙の了解です。)

そして昨日、(もう一昨日になりますが)飛鳥部氏は再び、謝罪コメントをUPされました。
これを、三原ファンから脅されたとか、出版社が指示したとかいう思いで受止めたくないです。
以前、一度原書房のほうで3日間だけUPされていた氏のコメントと違い、今回の自サイト(なのかな?)での文章は、この事件を真摯に受止め、誠意をもって陳謝されていると感じました。(↓は飛鳥部氏の謝罪コメントのURLです。)

http://www.max.hi-ho.ne.jp/s3 k1/a/

氏が謝罪コメントを書かれている以上、これは検証サイトによる「平成の表現狩り」たり得ないと思うのですが・・・。

Posted by: 更紗 | November 13, 2005 at 12:35 AM

判断の基礎に限界を感じる

Posted by: 詩的日記-ブログ | November 13, 2005 at 05:56 AM

所詮漫画は二次文化(さぶかるちゃー)。

Posted by: 飛鳥部先生大信者 | November 13, 2005 at 12:41 PM

>表現の歴史は「パクリ」、すなわち、模倣や真似に代表される先人の作品の利用の歴史であることを忘れてはならないし

 こんにちは。
 「盗作とは何か」http://www.horikawanarumi.jp/pakuri/pakuri.htmというホームページをもっておるものです。
 ところで、上記の認識は誤りですよ。模倣や真似を、イコール「パクリ」としてしまう創作認識が間違えています。
 パクリというのは盗作のことですよね。模倣というのは創作上の一つの技法のことですよね。真似というのは意味が広くこれは判断がつきかねます。
 また歴史の中の創作の状況と、著作権ができ、出版などの形式をとる現在の状況とは、別物として考えるのは当然のことです。

 とりあえず、盗作について何かおっしゃる前に、盗作とか、表現活動についてちょっとでも勉強してから、何かおっしゃってはいかがでしょうか。
 それから三原順の「はみだしっ子」を一度でも読まれてから発言されてはいかがでしょうか。あの盗作された言葉やエピソードの中には、三原の「はみだしっ子」という作品を語る上で欠くことのできない重要なものもいくつか含まれています。

 名誉毀損ととなりあわせとか、そんな危険ととなりあわせであるということは検証サイトを作る側の人間はみんなわかっていて、私が知る限りは非常に慎重に、時として物足りないくらいの感じで作成されています。
 それで行き過ぎて訴訟自体になるのは個々の責任であり、またそれが行き過ぎている、誤解であるというのも、掲載されたそれを見る側が判断できることです。

 それよりも、「はみだしっ子」を読みもしない、盗作とは何か、創作とは何か、著作と著作権の歴史をわかっていない人が、「検証行為を行う以上、表現行為そのもの、並びに、著作権に関する十分な知識が必要です。」といったところで何も説得力はありません。かえって、盗作を野放しにするため検証サイトを作るなと言っているのかと、いぶかりたくもなります。

Posted by: 堀川成美 | November 13, 2005 at 07:39 PM

 はじめまして。ときおりブログの方を拝見させていただいております。

 ぼくは検証サイトや、積極的に類似点を公にするということには、いい感情を持ちません。悲観的過ぎるものの見方かもしれませんが、あまり嬉しくない未来を想像してしまうからです。

 例えば音楽業界では、無断利用などを権利を持っているレコード会社が大変厳しく追及しますし、非常に細かく模倣であるかどうかを確認しているように見えます。

 ところで、その音楽業界でアーティストは、いつも幸せに作品を自分の手の中においているでしょうか。残念ながら、不幸なケースも多く聞きます。レーベルやレコード会社とのライセンス争いに疲れて、活動をやめてしまうアーティストも少なくありません。

 小説や漫画に対しても音楽のような厳しい模チェック機構が働くようになったら、どうなるでしょう。出版社は訴訟合戦から、作家を守るために、権利を出版社に渡すよう契約させるかもしれません。そうなれば、レコード会社とアーティスト達との関係と同じようなことになるかもしれません。それは作家達にとって明らかに不幸な未来だと思います。

 また、ある作品の権利が欲しければ、その権利を持った出版社が上場さえしていれば、買収すればいいということになってしまいます。

 ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、最近の小説や漫画に対する模倣か否かの寛容性のなさは、そんな未来を想像させて、あまり快く思いません。

 作家達のフィールドが、音楽業界のような訴訟とマネーゲームの舞台になってしまうリスクよりも、模倣作品も沢山あるけれど、権利闘争やマネーゲームの対象にもなっていないという未来の方が、クリエイターにとって幸せな未来だと思います。
 

Posted by: じゅん | November 24, 2005 at 08:10 PM

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