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議事録

2007年9月12日(水)
総理所信表明に対する代表質問(案)

二〇〇七年十月三日
第百六十八回臨時国会
衆議院本会議

総理所信表明に対する代表質問(案)

民主党・無所属クラブ
鳩山由紀夫

民主党の鳩山由紀夫です。私は、民主党・無所属クラブを代表し、福田総理の所信表明演説に対し質問します。

【災害被害に対する支援】
まず、相次ぐ自然災害被害に対する支援について申し上げます。能登そして中越沖地震では、今なお多くの被災者が困難な日常生活を強いられています。また台風や豪雨で各地に大きな被害が出ています。官邸が開店休業中でも災害は待ったなしです。亡くなられた方のご冥福を祈り、被災者のみなさまにお見舞いを申し上げます。
民主党は、住宅本体の再建に対して応援ができるように被災者生活再建支援法の改正をかねてから訴え続けてきました。与党案よりもやはり民主党案の方が被災者の気持ちに応える内容となっています。今国会での改正案成立のため、与党が民主党案に賛同するよう求めます。

【責任の明確化=衆議院解散】
福田総理、第九十一代内閣総理大臣ご就任おめでとうございます。
安倍内閣を継承した福田総理が、まず最初に取り組むべき仕事は、この二カ月間、政治空白によって国民と国会を放置し、政府の信頼を失墜させた自公政権の責任を明確にすることです。
多くは申し上げませんが、無理に無理を重ねたあげく、突然に政権を投げ出した安倍前総理の責任は重大です。しかし、この責任は自民党全体、そしてこれを容認した連立与党・公明党の責任であることは改めて指摘するまでもありません。
この間、内政でも外交でも政治のリーダーシップはまったく発揮されませんでした。また安倍総理入院後も臨時代理すらおかず、危機管理も無視されました。この一連の経過そのものが大政治スキャンダルです。自民党は憲政に大きな汚点を残したと言わざるをえません。しかし、総理の所信には、通り一遍の謝罪のみで、安倍政治への本質的な反省も路線転換も見えません。
今回、首班指名においては、衆議院は福田氏を、参議院は小沢氏を首相に指名し、衆参の意思が分かれました。私たちは直近の民意は参議院側にあると確信しています。即ち、福田新内閣は安倍内閣と同様に、民意を受けたものではないのです。福田総理、あなたの最初の仕事は、衆議院を解散し、総選挙において、自民党福田内閣か、民主党小沢内閣か、国民の審判を仰ぐことです。総理の決断を求めます。

【福田総理の政治理念と政策基調】
福田総理は、政治家が曖昧な考えしか持っていなければ、若者や国民は将来に不安を持つとおっしゃいました。しかし、所信表明を伺った今も、私に言わせれば総理の理念や政策基調こそ曖昧そのものです。総理が即席と自認するだけのことはありますが、これではあなたの言うとおり、国民の不安は増すばかりです。
総理はご自身が支えた小泉内閣の路線は正しく、「改革と成長」を車の両輪として「方向性は変えずに、生じた諸問題に処方箋を講じていく」とおっしゃいました。これは「改革の影の部分に光を当てる」とした安倍総理となんら変わりません。
しかし他方では、福田総理は、「自立と共生」を基本に「希望と安心」の国にするともおっしゃいます。総理は、小泉路線を基調としたまま、諸問題に対応すれば「自立と共生」の社会が実現すると本気でお考えなのでしょうか。小泉・安倍政権のニセ「改革」は、弱肉強食の競争至上主義で弱者を切り捨て、様々な格差を拡げ、国民生活を厳しくし、まさに社会の「希望と安心」を壊してきたではありませんか。
郵政民営化で利用者に不便はかけないとしながら地域の郵便局を減らし、高齢者やサラリーマンの税金と社会保険料負担を増やし、分権改革と称して地方財政の切り捨てや地場産業の荒廃を進め、障害者自立支援と称して障がい者の自立を妨げました。また百年安心と吹聴し実態は崩壊寸前の年金制度、患者やお年寄りを切り捨てる医療改革、現場を顧みず負担増と混乱を招いている介護保険制度など、国民の安心・安全を奪ってきたのは小泉・安倍路線ではありませんか。
総理は、路線は変えず、小手先の修正をすればこれらは解決できる問題とご認識なのですか。これは基本路線そのものが間違っていたからではありませんか。総理から明快な説明を求めます。

【民主党の基本姿勢−「国民の生活が第一」】
民主党は、今回の参議院選挙で、「国民の生活が第一」を基本に、「消えた年金」対策と年金制度の抜本改革、子育て支援、農業再生といった「三つの約束・七つの提言」を柱とした「小沢マニフェスト」で、理念と具体的な政策を国民のみなさまに明確に示し、大きな共感とご支持をいただき、参議院で第一党となりました。
自民党のトップが誰に代わろうとも、国民のみなさまにお約束した「小沢マニフェスト」を着実に実行していく民主党の姿勢は揺るぎません。今国会で具体的な法案として提出し、実現に向けて取り組んでいくことをあらためて国民のみなさまにお誓いいたします。
まず民主党は、「小沢マニフェスト」にある年金制度の改革、子ども手当て、高校無償化や奨学金の充実、農業の戸別所得補償制度、最低賃金引き上げを含めた中小企業対策などを予算の抜本改革により実現します。
そもそも「自立と共生」は、民主党が「政権政策の基本方針」に明示し、「小沢マニフェスト」の政策はすべてその原点から発しているものです。福田総理が唐突に「自立と共生」を言われ、自助、助け合いなどと言葉だけ並べても、小泉・安倍路線の若干の修正では理念にはほど遠いものと言わざるをえません。
福田総理、もしあなたが上辺でなく、民主党の理念を本気で採用されるのなら、予算全体を抜本的に組み替えてください。もし、小手先の帳尻あわせで間に合わせようとされるのなら、今後一切「自立と共生」の言葉を使わないでいただきたい。如何ですか。
福田総理は、そもそも参議院選挙で自民党が政権与党の責任で示した「安倍マニフェスト」はどうされるのですか。総理の理念や政策に合致するのですか。あれは安倍自民党のもので福田自民党の約束ではないと言うのであれば、あらためて「福田マニフェスト」を国民に示すべきではありませんか。責任ある答弁を求めます。

【国会機能の回復】
総理は衆参で議決が異なると、国として新しい政策を進めることが困難になると言われますが、これは民意をないがしろにする権力者の暴言ではありませんか。
先の通常国会で安倍自公政権は、数におごり強行採決を繰り返して、議会制民主政治を危うくしました。福田総理は口先では野党との協議を言われますが、困難な場合どうするのか、強行採決はせず民意に問うのか、国民に明確にお示しください。
総理は、協議、協議と言われますが、民主党は、談合のような密室協議にはおつきあいしかねます。民主党は政策をマニフェストで明快にお示ししています。まずは政府の考え方を、具体方針を示してください。その上で表舞台、即ち国会の場で大いに議論し協議しようではありませんか。党首会談を求める前に、党首討論を十分にやろうではありませんか。総理の決意を伺います。
これまでは国会論戦で必要不可欠な事実の公表、情報の提供を求めても、政府・与党はこれを隠して出しませんでした。福田総理、こうした隠蔽体質は改めると明確に約束してください。
また、疑惑に対してなぜ証人喚問や参考人招致ができないのかという国民からの批判にどう答えますか。例えば、先の国会で偽装請負に関連して民主党が求めた御手洗経済財政諮問会議議員の参考人招致などについて、総理のご見解を伺います。

【政治の信頼回復=政治とカネ】
安倍内閣は相次ぐ閣僚の「政治とカネ」にまつわる疑惑で、政治への信頼をどん底に落とし、政権を崩壊させました。
これほど国民が重視しているにもかかわらず、福田総理、あなたご自身が代表を務める自民党群馬県第四選挙区支部および関係政治団体の政治資金収支報告書、そして、あなた自身の選挙会計報告で、二〇〇三年以降、添付されている領収書コピーの宛名が百三枚も書き換えられていると報じられています。そして、〇三年と〇五年には国と請負契約を結んでいる清掃業者から違法な二百万円の寄付を受けています。これは明確な政治資金規正法違反、公職選挙法違反ではないですか。総理は、特に自らを厳しく戒めると言われましたが、まずご自身の疑惑について国民にきちんと説明し、全容を明らかにしてください。
総理は、問題を指摘された新任の石破、渡海両大臣に、「国民にきちんと説明するように」と指示されたと聞きますが、疑惑を指摘された閣僚が資料を提示し説明責任を果たすのは最低限の務めです。それが出来ない閣僚は自ら職を辞すか罷免すべきことも当然です。総理がどのように任命責任を果たされるのか、伺います。
さらに自民党役員や自民党支部の問題も次々と指摘されています。自民党総裁としてどう対応されるのか、国民にお示しください。
そして政治資金の公開を進めることです。民主党は政治資金規正法を改正し、「全ての政治団体が一円から領収書を添付する」ことを訴えています。自公両党は、前通常国会でザル法を強行採決したことを厳しく反省すべきですが、今回の政権合意でも領収書は添付するが、公開については自民党は反対とされています。それは総理や閣僚の政治資金に問題があるからですか。福田総理、もっと指導力を発揮してください。野党との協議を言う前に、国民にどのような提案をされるのか、まずこの場で具体的に示してください。

【政策を問う】
(年金)
年金記録問題もしかりです。問題の早期の解決と救済は政治の責任です。
自公政権は、来年三月末までの名寄せの完了を、選挙中に政府広報まで使って国民に公約しました。しかし、総理の所信ではそれを曖昧にしています。総理は、政府公約を果たしますか、それともこれは前政権の公約と逃げるのですか。ご答弁を願います。
さらに、社会保険庁、市町村などでの年金保険料の横領が指摘され、また多額のムダづかいが報告されています。民主党は保険料のムダづかいをなくすために、今国会にも「年金流用禁止法案」を提出していますが、賛成されるのか否か、お答えください。
民主党は、年金制度を一元化して、全ての国民が等しく平等に加入する透明で公平な仕組みに改め、その基礎部分の財源を全額税で賄う確実で安定した制度を提唱しています。与党は現行制度を百年安心として民主党の一元化案を否定してこられましたが、所信では長期的な制度設計が必要と言われています。百年どころか二、三年ももたなかったことを認めたものと受け止めます。総理は与野党協議を言う前に、まず責任ある与党案を国民に示すべきです。お答えください。

(天下り、談合、税金のムダづかい)
行政のムダを一掃して「生活が第一」の財源を確保するには、補助金や特別会計、そして天下りで政治家、官僚、業界団体が癒着して支えあう「馴れ合いともたれ合い」の不公正な構造そのものを正さなくてはなりません。
自公政権の下では、現実には天下りや談合で税金や保険料をムダづかいしピンハネする族議員や官僚、一部業界など強者の利権は巧みに守られてきたのです。
民主党は、先の国会でも、天下り根絶法案、官製談合防止法案などを提出し天下り根絶をめざしています。しかし福田総理の所信では、与党合意したはずの天下りや官製談合の根絶という言葉が既に消えました。福田内閣は官僚復権内閣とも言われていますが、与党が強行採決した「政府公認天下りバンク法」に象徴されるように天下りや官製談合を放置するのか、明確な方針を問います。
 
(地方の再生−農業)
さて小泉・安倍路線で壊された地方を再生しなくてはなりません。私は地方を回るたびに、シャッターが閉まったままの商店街、荒れ放題の耕作放棄地や山林、閉鎖された工場や学校など、疲弊した地方の姿に愕然とします。
とりわけ農林業は地域社会を支える柱です。自公政権は効率ばかり追求して大規模集約化を進め、小規模農家は切り捨ててきました。また安易な輸入自由化を推進し林業も衰退させました。
民主党は、国民の食の安全と地域社会を支える農林業と森林の再生のために「戸別所得補償制度の導入」と「森と里の再生プラン」という具体策をマニフェストで示しました。福田総理は小規模農家に安心をとおっしゃいますが、具体策がありません。それどころか、現実には自公政権は逆のことをやっています。総理は、これまでの政策路線の失敗を率直に認め、民主党案を採用すべきではありませんか。ご答弁ください。

(地方の再生―中小企業)
地方経済を担う中小零細企業、そしてそこで働く従業員、家族も泣いています。民主党は「中小企業憲章」を制定し、研究開発支援などで中小企業対策予算を三倍に引き上げるとともに、「下請けいじめ」を法律で禁止し、中小企業金融の円滑化や税制面での支援をお約束しました。総理は中小零細企業の苦悩をどうやって救うのですか。具体的な政策を、官僚言葉ではなく、生身の政治家としてお答えください。

(地方の再生―地域主権)
そもそも地方の再生には行政の仕組みを根本から変える必要があります。民主党は、中央集権のひも付き補助金で地方や業界を縛る「支配と依存」の自民党型の仕組みを改め、中央政府の役割を限定し、地方に権限と財源を大胆に移譲し、地方のことは地方が自立して決められる地域主権の国づくりをめざしています。総理も地方再生に力を入れるとおっしゃいます。所信では交付税改革の言葉が消えましたが、地方税財政の改革とは国から地方への大胆な財源移譲と考えてよいのですか。それとも小手先の改革ですか、具体的な方針を示してください。

(障害者自立支援、高齢者)
小泉・安倍路線の被害者を救済しなくてはいけません。総理は、急激な負担増で障がい者の方の自立を妨げた「障害者自立支援法」について抜本的見直しの検討と発言されたやに聞きますが、所信にはありません。民主党は一割負担を廃止する法案をすでに提出し、障がい者の方が真に自立できる道を提案しています。総理は民主党案に賛成されるのかどうか、明確に答えてください。
公的年金控除や老年者控除の廃止・縮小で、高齢者の生活を厳しくしたのも自公政権です。福田総理は総裁選で高齢者医療負担の「凍結の検討」を言われましたが、所信では「あり方の検討」と早くも後退しています。そもそも負担増は、与党が昨年、強行採決したもので、民主党は反対してきました。凍結ではなくまずは中止し、これまでの過ちを認め、医療や介護、税制、雇用など高齢者の生活全体を改善し、再生する観点で抜本的に見直すべきと考えますが、総理のご認識を伺います。

(景気と雇用)
与党は、小泉・安倍路線で「いざなぎ超え」の景気拡大と吹聴しますが、デフレが続く中、九兆円近くの国民負担増を強制され、多くの国民が厳しい暮らしを余儀なくされています。一九九四年に一位だった一人当たりの名目GDPは十八位にまで凋落しました。これまでの経済政策は根本から検証すべきではありませんか。お考えを伺います。
福田総理は若者が将来に希望が持てるようにすると言われます。雇用政策はどうするのですか。景気が良いというのに非正規雇用が拡大し生活できない低賃金が定着しようとしています。パート労働者の社会保険加入も雇用の安定と賃金の適切な引き上げがなければ絵に描いた餅です。残業代不払い法案は完全にあきらめたのですか。最低賃金引き上げについても所信には一切触れられていません。雇用の安定と勤労者の所得の向上に向けての具体策を福田総理に伺います。

(消費税)
さて総理は、政策も曖昧ですが財源も示していません。その一方で総理は「消費税を含む税体系の抜本的な改革を実現する」と明言しておられます。民主党は、厳しい国民生活の現実をみれば、消費税を当面上げるべきではないと考えますし、上げる必要はないとの試算結果も得ています。この民主党の主張は、参議院選挙で示された民意です。福田総理は、消費税を今、引き上げるべきと考えているのですか。それは何のために、何パーセント必要なのですか。逃げずに具体的にお答えください。

【外交路線を問う】
(外交の基本路線)
次に外交姿勢について伺います。福田総理は、外交でも「自立と共生」の理念を言っておられます。一方、安倍前政権は「主張する外交」を掲げ、麻生前外務大臣は「自由と繁栄の弧」と称して「価値の外交」を唱えました。「価値の外交」とは、同じ価値観の国同士が仲良くしようというもので、その外にある国々を排除することになりかねず、「自立と共生」の理念とは両立しません。価値観の違いで相手を叩くのではなく、互いに違いを認め尊重しあって協調し、共生の関係を築き、相互利益を求めることこそ「自立と共生」の「主体的な外交」であり、民主党がマニフェストで示した外交です。総理の「自立と共生」の外交とは何なのか、「自由と繁栄の弧」の「価値の外交」はやめたのかも含めて、具体的にお示しください。

(歴史認識、「靖国」問題、沖縄)
総理の外交姿勢を問うときに、歴史認識は基本です。福田総理はアジア近隣諸国との関係から靖国参拝はしない意向と聞いていますが、総理がこれまで積極的に関わってこられた新たな追悼施設について、どうされるのか、具体的な方針を伺います。
さらに最近、沖縄戦における「集団自決」に関する日本軍の関与についての教科書記述が削除される問題が大きな議論になっています。四日前の沖縄県民大会には、十一万人の沖縄県民が参加しました。福田総理は歴史を歪曲させるような検定意見に対して、沖縄県民にどうお答えになるのか、検定制度のあり方を含め、この場でお示しください。

(テロ特措法)
次にテロ特措法、イラク特措法について伺います。
インド洋であれ、イラクであれ、自衛隊がいったい何をやっているのか、その活動ぶりは国民にはほとんど知らされてきませんでした。
その中で先月二十一日、防衛省は二〇〇三年二月にインド洋上で海上自衛隊が米補給艦に給油したのは約二十万ガロンではなく、実際はその四倍の約八十万ガロンだったと訂正しました。この油が米空母キティホークに再給油されイラク作戦に使われたのではないかとの国会質問に対し、当時官房長官だった福田総理は、二十万ガロンはキティホーク一日分の消費量でイラク作戦への転用は「現実的にありえない」と述べ、国会でも同様の答弁をしています。
総理、自衛隊の海外活動という極めて重大な事案にもかかわらず、なぜこんな偽りの報告がなされたのですか。結果的に時の官房長官や防衛庁長官が国民を騙したことになりませんか。
先日のテレビ番組で、町村官房長官は、「一船一船確認し問題はなかった。そこをあらためて照会中」との発言をしています。証拠はあるのですね。ところが先週の防衛省の発表では、海上自衛隊の給油実績の実に五十五パーセント、半分以上が主に米英の補給艦への間接給油で、その大半がイラクでの大規模戦闘が実施された〇二年度までというではありませんか。しかも、直接、間接に給油された艦船がどこに向かったか政府は把握していなかったと言うではありませんか。
国民に知らせない、政府も知らない。事実と異なったことを知らせる。ばれたら訂正する。これでは政府を信用しろというほうが無理ではないですか。給油活動を含め、海外での自衛隊活動の実態を隠さず明確にお答えください。

民主党は、この法律の延長であれ、新法であれ、今の海上自衛隊の活動の継続には反対です。
その理由の第一は国連決議の欠如です。民主党は、国際社会の共通の意思を反映した国連安保理決議に規定された国連の活動には、わが国の憲法の定めるところに従い、主体的判断と民主的統制の下に参加する可能性があると考えますが、そうでない場合には参加すべきではない、という明確な判断基準を有しています。
現在、自衛隊が参加している「不朽の自由作戦」は、米軍中心の軍事行動であり、国連の活動として直接的に規定する安保理決議はありません。米国のシーファー大使が引き合いに出された安保理決議一七四六も「不朽の自由作戦」に言及しているにすぎません。また今回、アフガンで展開する国際治安部隊(ISAF)の活動延長に関する新たな決議文の前文に、「不朽の自由作戦」の参加国への「謝意」が示されましたが、これによっても国連の活動として規定されたわけではなく、本質的な状況は変わっていません。これに関して、もし総理にご異論があれば、お答えください。

アフガニスタンの状況がまったく好転しない中で、政府が展望も出口戦略さえ持たないことも反対の理由です。「うまくいっている」と言われてきたアフガニスタンも、状況はイラクに似てきました。
対テロ戦争は、時間的に既に太平洋戦争を超えました。この間、テロの撲滅を目的に軍事行動が続いてきましたが、テロは撲滅されるどころか急増しているのです。私も二度アフガニスタンを訪れましたが、治安が悪化しSPなしでは首都カブールですら歩けない状態でした。かつては日本の国旗を立てていれば安全であったのに、最近は旗を掲げること自体が危険になったとも言われました。治安状況が極めて悪化していること自体、作戦全体が失敗している証左ではないですか。総理の現状認識と出口戦略についての考えを伺います。

言うまでもなく、民主党はいかなるテロ行為も容認するものではありません。テロをなくすために、日米関係を重視しながら、国際社会と連帯し協力して取り組むのは当然です。
しかし、肝心なのはその方法です。戦争でテロがなくなるわけはないのです。テロの根本には、貧困や差別、抑圧といった社会の病巣があると言われています。民主党は、まさにこの社会の病巣そのものを取り除き、民生を安定させることこそテロ対策の重要な柱であり平和の礎になると考えます。例えば、政治・行政分野でのさまざまな支援、医療・教育などの人道援助、農業や経済産業の育成といった非軍事的な民生分野での協力や地方復興活動など、NGOなどとも連携して、アフガニスタンが望む民主化や国家建設を支援する外交こそ展開するべきではありませんか。

(イラク特措法)
イラクについても同様です。イラク特措法に基づいて派遣されている航空自衛隊の任務は人道支援ではなく、主にクウェート・バグダッド間などでの米兵や貨物の輸送ですが、この区間はすでにたくさんの商業便が飛んでいます。商業便が飛んでいる以上、航空自衛隊の活動は意味を失っています。
米国内でさえイラク撤退論が強まっています。民主党は、イラク特措法廃止法案を出します。政府も片意地を張らず、意味を失った自衛隊を撤退させようではありませんか。

アフガンでもイラクでも、軍事行動に協力してテロを増幅させるより、生活再建を第一に民生面での協力をしてテロ撲滅を訴える先頭に日本が立とうではありませんか。イスラム諸国とも親しく接してきた日本だから出来ることもあるはずです。今こそ日本に相応しい支援活動とは何かを考え、実施することこそ「主体的な外交」ではありませんか。総理の所見を問います。
 
(北朝鮮問題)
さて北朝鮮問題を巡って、先月末に六者協議が再開され、米朝協議や昨日の南北首脳会談の開催など、様々な動きが急展開しています。
総理は所信で、北朝鮮の非核化をめざし、拉致問題を解決し、日朝国交正常化に最大限の努力を行うと言われました。対話の工夫が必要との認識も示しておられます。しかし、事態の急展開に対して、どのような戦略で、どのような工夫をされているのかさっぱり見えてきません。拉致問題の解決に向けて、どのような手だてを尽くされるのでしょうか。
米国が北朝鮮をテロ支援国家の指定からはずす時期まで合意案に明記されていると北朝鮮側が言う中で、総理は、事実関係も含め、具体的にどのような手だてをお考えなのか、お示しください。

(中東問題)
中東ではイランとイスラエル、欧米との関係が急速に悪化しています。イランのアハマディネジャド大統領は「イスラエルの抹消」を唱え、国連の制裁決議にも拘わらずウランの濃縮活動を続けています。イランがウラン濃縮活動を停止しなければ、ブッシュ大統領がイラン空爆に踏み切るとの懸念や、イスラエルが来年にもイランの核施設を攻撃する可能性も言われています。まさに一触即発で大規模な戦争に発展しかねません。
何としてもこの危機的な状況を外交努力で平和裏に解決しなければなりません。多くの国が一方に偏った外交をしている中で、両国と交流を持ち唯一の被爆国である日本こそ、中東の非核化のために全力を尽くすべきです。総理の中東外交の基本方針を伺います。

(ミャンマー)
 ミャンマーでは遂に恐れていたことが現実となってしまいました。軍政に対する反政府デモに治安部隊が発砲し、取材中だった日本人ジャーナリスト長井健司さんはじめ多くの死傷者が出てしまいました。犠牲となった方々のご冥福を心からお祈りいたしますとともに、ミャンマー軍事政権に強く抗議します。
私は「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」の一人として、日本こそ軍事政権側とアウン・サン・スー・チーさん側との橋渡しを出来る数少ない国だと信じていましたが、このような事態になり残念でなりません。
私は、日本政府の反応がとても鈍いと感じています。日本政府こそ、国際社会の先頭に立って、軍政側に厳しく自制を求め、スー・チーさんを始めとして拘束されている全ての人々を解放させ、ミャンマーの民主化が実現するようにあらゆる努力を行なうべきです。その覚悟はおありかお伺いします。

(先住民族)
人権は国際社会の普遍的課題です。この九月十三日、アイヌ民族のみなさんが二十年以上も国連で主張してきた悲願の「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されました。画期的なことです。しかし日本政府は未だにアイヌ民族を先住民族と認めておりません。来年は北海道洞爺湖サミットが開かれます。その環境サミットの時に、自然とともに生きる知恵を持ち、国連で先住民族と認められているアイヌ民族を日本政府が認めていないことを国際社会にどう説明するのでしょうか。国内と国外で対応を使い分けるという二枚舌はやめようではありませんか。総理のお考えを伺います。

【結び:民主党の決意】
総理がいくら自民党は変わると主張され、いくら民主党に擦り寄られても、安倍内閣と変わらない福田内閣の顔ぶれや曖昧な政策をみれば、急場凌ぎの暫定政権であることは明白です。総理は「背水の陣内閣」と自称されますが、この言葉自体、国民生活の視点ではなく、自民党政権の死守しか頭にないからではありませんか。自民党が政権に居座るために、連立政権や与野党協議を吹聴するのは、初手から国民を欺くことに他なりません。
多くの問題を積み残したまま郵政民営化もスタートしました。郵政選挙の結果である自民党の三百議席は役割を終えました。その意味からも、福田新総理がまず行うべきは、衆議院を解散して国民のみなさんの信を問うことです。
民主党は、一日も早く「国民の生活が第一」とする「小沢マニフェスト」を「まともな政治」で実現するために、政権交代を国民のみなさんとともにめざしていくことを表明し、私の質問を終わります。

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