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虎に落とし穴…Gに0・5差のハズが

 7回、清水の打球を失策する平野(撮影・辰巳直之)
 7回、清水の打球を失策する平野(撮影・辰巳直之)

 「阪神3-4横浜」(10日、甲子園)

 阪神が勝って首位・巨人に0・5ゲーム差肉薄…今季最多4万6911人の観衆の思いは、まさかの展開に砕け散った。同点の七回1死三塁。記録上は清水の二ゴロの間の得点となったが、実質は平野の痛すぎるエラーでの失点。最終回の追い上げも、あと一歩届かず、巨人の背中をつかみ損ねた。

  ◇  ◇

 茫洋(ぼうよう)とした奇跡が、はっきりとした輪郭を帯びていた。2点劣勢の最終回。浅井の犠飛で1点差とし、なおも2死二、三塁。一打逆転サヨナラの好機に、スタンドのボルテージは最高潮に達していた。

 しかし、虎党の祈りは届かなかった。頼みの代打桧山が左飛に倒れて試合終了。今季最多の46911人分のため息が、巨大なマンモスを包み込んだ。

 勝ち越し点献上には、手痛い失策が絡んだ。2‐2で迎えた七回1死三塁。清水の打球は前進守備を敷いた二塁正面への当たり。そのまま本塁送球で3点目を阻止するかと思われたが、これを平野がはじき、中前へと転がった。スタンドを包む悲鳴の中、思わず天を仰いでその場に倒れ込んだ平野。記録上は打球間の生還、清水の出塁が失策とされたが、限りなく適時失策に近いプレーだった。

 捕球直前にバウンドが変わる不運こそあったが、平野の守備力からすればさばいて当然の当たり。「言い訳なし。全部俺が悪い。俺のミスです」と全責任をかぶった平野。久慈守備走塁コーチも「ちょっとイレギュラーした」としながらも「打球と自分の距離が中途半端だった」と悪夢の失点シーンを振り返った。

 ミスが絡んだ失点。しかし敗戦の最大の要因は、清水を打ちあぐねた攻撃陣に尽きる。ここまで7戦連続で2ケタ安打を記録してきた強力打線が、切れのあるスライダー、フォークに翻弄(ほんろう)され、凡打の山を築いた。二回に浅井の2ランで先制したが、三回から八回までの6イニングでわずか2安打。いかにリーグ最高打率を誇る猛虎打線とて、打てない日もある。しかし、今季の清水との対戦成績は3戦3敗。「苦手な部分はない」と否定した指揮官だが、同じ投手に3度続けて抑え込まれたことで、早急な対策を求められることは事実だ。

 勝ち続けることなどあり得ない。首位巨人とのゲーム差は1・5差のまま変わらず。しかし、デーゲームで巨人が敗れ、勝てば0・5差に肉迫できるという状況下での試合。勝てば一気の首位奪取も視界に入っただけに、無念さも募る。

 「明日取り返すしかない」

 自責の念と無念さを懸命に振り払いながら、平野が次を見据えた。悔やまれる1敗ではある。しかしこの敗戦を力に変えねばならない。ペナント再加速への、貴重な礎としなければならない。

(2010年7月10日)







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