独特なかすれ声から繰り出され、代名詞ともなったラッシャーさんのマイクパフォーマンス。今、DVDとなってよみがえる。
「明るく、楽しく、激しいプロレス」をうたい文句にした全日本マットで、ラッシャーさんは「明るく、楽しく」の部分を担当。「兄貴」と慕った故ジャイアント馬場さん(享年61)や、ライバルだった永源遥(64)らとの掛け合いは一躍、名物に。
「馬場ぁ〜、コノヤロ。なんか元気だと思ったら、やっぱりジャイアントコーン食べてるな」「オレはこの正月はずっと、餅ばかり食べてるんだよ。おかげでモチ肌になっちゃったよ」など名調子を連発。時事ネタやジョークを交えた語り口が、爆笑の渦を巻き起こした。
2000年からはプロレスリング・ノアに活躍の場を移したが、04年に体調不良を理由に引退し、今年5月24日に永眠。その雄姿を惜しむ声が広がり、今回のDVD発売につながった。
約15分間に編集されたマイクパフォーマンスは映像特典として収録。本編では、国際プロレスのエースとして全日本に参戦した76年に故ジャンボ鶴田さん(享年49)とシングル対決した伝説の一戦、88年の馬場さんとの最後のシングルマッチ、03年の現役最後の試合など、ラッシャーさんの出場した11試合が初DVD化される。
制作サイドは「ファンに親しまれ、絶大な人気を誇ったラッシャーさんの映像を残そうとDVD化が決まりました」と説明。6月26日に行われた「お別れ会」の模様も収録される。
【ラッシャー木村さん名言迷言】
〔1〕「馬場、馬場、お前な、ハワイでグアバジュース飲んで鍛えているかもしれんけど、コノヤロー。オレだってなコノヤロー、日本でポカリスエット飲んで鍛えてるんだ」(年末年始をハワイで過ごす馬場さんを挑発)〔2〕「オレはな、昨晩、焼肉を15人前食って戦ったけど失敗したよ。だからな、今晩は20人前食って戦ってやるぞ」(試合で敗れた直後に)〔3〕「幸せだなぁ。オレは兄貴といるときが一番幸せなんだ。オレは死ぬまで兄貴を離さないぞ、いいだろ」(負傷から復帰したジャイアント馬場さんを祝い、加山雄三の名曲「君といつまでも」のフレーズに乗せ)〔4〕「最後に一句詠ませてくれ。『永源ちゃん あんたはいつも いい男』『渕選手 お前は早く 嫁もらえ』。仲人はいるか? いなかったら、オレが兄貴に頼んでやるぞ」(独身の渕正信への“口撃”は恒例に)
ラッシャー木村
(らっしゃー・きむら、本名・木村政雄)1941年6月30日、北海道・中川町生まれ。中学時代からプロレスラー志望だったが、高校卒業後に大相撲の宮城野部屋にスカウトされて入門。58年初土俵、幕下上位まで昇進したが、64年に廃業して日本プロレス入り。国際プロレスに移籍後はエースとして君臨し、同団体崩壊後は「はぐれ国際軍団」を率いて新日本プロレスにフリー参戦。全日本プロレスに入団後はマイクパフォーマンスで注目を集め、TBS系「三宅裕司のいかすバンド天国」にもレギュラー出演した。現役時代の体格は1メートル85、125キロ。