くらし
幻のネーポン、キャンディーに 若者ファン開発
ネーポン風味のキャンディーを手にする上田安子さん(右)と田中晋也さん=神戸市兵庫区兵庫町2 |
神戸で生まれて約40年、根強い人気を集めたオレンジ味の瓶入りジュース「ネーポン」。2007年2月末で製造中止となったが、“ファン”の若者たちが風味を再現したキャンディーを開発し、5日から発売される。若い世代をひきつけたのは、レトロ感や下町の工場でこつこつ作られ続けた物語だ。ジュース自体の復活計画もあり、製造していた上田安子さん(72)は「わが子のようなネーポンを受け継いでくれて感激」と喜んでいる。(小林伸哉)
ネーポンは、神戸市兵庫区の「ツルヤ食料品研究所」を創業した上田さんの義父豊さんが1963年ごろ開発。無果汁が一般的な時代に、「フレッシュ感のあるジュースを」とネーブルとポンカンの果汁や果肉などを使って生み出した。
故中島らもさんのエッセーに登場し、94年ごろにはテレビ番組でも紹介され注目を浴びたが、阪神・淡路大震災で喫茶店など得意先が激減。96年に夫裕久さんを亡くした後は、上田さんが手作業で1日600本作ってきたが、体力的な限界などで製造をやめた。
しかし、「伝説のジュース」を愛する人は途絶えなかった。少年時代にテレビを見た大阪市の田中晋也さん(31)もその一人。工場を訪ね、上田さんと親しくなるうち、「もう一度この味を」と思うようになった。レシピと商標登録の権利を譲り受け、復刻版缶ジュース作りを目指している。
一足先に、キャンディーを作ったのは菓子メーカー「リボン」(愛知県小牧市)。田中さんの知人で、大阪出身の社員見方優子さん(26)が昨年8月、商品化を提案した。中部地方では知られていないため、当初社内の反応は薄かったが、ネーポンにひかれる人たちの話が面白がられ、商品化が決まった。
見方さんはわずかに残ったネーポンを取り寄せ、上田さんに何度も試作品を送ってアドバイスを受けた。「優しい甘さを再現できた。懐かしい味を届けたい」と意気込む。
上田さんは、キャンディーを義父らの仏前に供えた。「ネーポンがこんなに愛されてたなんて。きっと天国で喜んでくれてるわ」
ネーポンにちなんだ芸術展を開いた神戸市中央区の「トンカ書店」の頓花(とんか)恵店長(30)も「品質にこだわり、一筋に頑張ったおばちゃんがいることを知ってもらうきっかけになればうれしい」と語る。
「ネーポンキャンディ」は1袋155円、近畿のコンビニなどで販売。リボンTEL0568・73・4788
(2010/07/03 16:12)
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