比女性の重婚無効認めず 「身分失う」子どもを考慮フィリピン人の妻(43)が既に同国人男性と結婚しており重婚状態にあるとして、熊本市の日本人の夫が婚姻の無効確認を求めた訴訟の判決で、熊本家裁は9日までに、重婚を理由に婚姻を無効とすれば夫婦の間に生まれた長女(12)と次女(3)が嫡出子の身分を失うことを考慮して、請求を棄却した。 妻を支援する市民団体「コムスタカ―外国人と共に生きる会」(熊本市)の中島真一郎代表は「カトリックの影響でフィリピンでは離婚が禁止されており、結果として重婚となるケースも多い」と指摘。その上で「日本人の嫡出子でなくなれば、日本国籍も失うことになる子どもの人権に配慮した珍しい判断だ」としている。 判決理由で古市朋子裁判官は、国際間のトラブルをどちらの国の法律で解決するかを定めた「法の適用に関する通則法」などに照らし「フィリピン法に基づいて重婚を無効とするのが原則」と指摘。一方で「婚姻が無効になれば長女と次女が嫡出子の身分を失うことを考慮すると、フィリピン法を適用するのは、通則法が定める公序良俗に反する」と判断、同国の法律を適用しなかった。 【共同通信】
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