村山理事長代行異例ゲキ、相撲で見返せ…名古屋場所１１日初日

土俵祭りで力士、親方、関係者が土俵に向かって謝罪した

　野球賭博問題で未曽有の危機に襲われた大相撲名古屋場所が、１１日にようやく初日を迎える。１０日は恒例の土俵祭りが会場の愛知県体育館で行われたが、謹慎者以外の親方、横綱・白鵬（２５）＝宮城野＝ら十両以上の関取らが参加し、不祥事のけじめとして土俵に謝罪した。村山弘義理事長代行（７３）が３分間にわたり異例の訓示を敢行。白鵬ら力士にとって、賭博問題へのみそぎの土俵となる。

　異例の光景だった。場所前恒例の土俵祭り。普段であれば、理事長や審判部の親方ら一部しか出席しないが、この日は関取、親方、行司、床山ら約２００人が参加した。約１０００人の観客が見守る中、土俵祭り後には出席者全員が、神聖な土俵に対して約７秒間頭を下げて、今回の一連の賭博問題を謝罪した。横綱・白鵬も神妙な表情で一礼した。

　謝罪後には村山理事長代行が「力士としての誇りを持って、堂々と土俵に上がって立派な相撲を見せていただきたい。（協会員）全員が力士と一丸となって総力を挙げて取り組んで、立派な名古屋場所にしていただきたい」など観衆の見守る前で約３分間あいさつ。外部出身の人間が、参加者全員に異例の訓示を行った。

　村山代行の話を受け、現役力士たちも気を引き締めた。白鵬は無言で会場を後にしたが、大関・魁皇（３７）＝友綱＝は「いろいろ言われたけど、もっともなことだと思う。力士は一生懸命やるしかない」と厳しい表情。大関・日馬富士（２６）＝伊勢ケ浜＝も「土俵祭りは初めてだけど、気合が入った」。解雇になった元大関・琴光喜と日大で同期だった幕内・高見盛（３４）＝東関＝は「俺はあいつみたいな形で終わりたくない」と反面教師にする考えをみせた。

　いよいよ初日を迎えるが、衝撃の事実が発覚した。初日の懸賞本数が１９本、懸賞取組は１８番中わずか７番になることが判明。夏場所初日の９５本から激減した形となった。一日あたりの懸賞が２０本を割り込むのは、１７本だった０３年名古屋場所の６日目以来、７年ぶり。角界を取り巻く目が厳しいことが鮮明になった形だ。

　村山代行も「今や協会を取り巻く情勢は、非常に厳しい」と現実を受け止める。だが最後に「皆さんの奮励を、奮起をお願いする」と檄を飛ばした。野球賭博に関与していたが、謹慎処分を受けなかった関脇・琴奨菊（２６）＝佐渡ケ嶽＝は「頑張ります」。日本人力士期待の関脇・稀勢の里（２４）＝鳴戸＝は「みんな一丸となって頑張るだけ」と決意を語った。クリーンな角界に生まれ変わるため、協会が一枚岩となって、みそぎの名古屋場所に取り組む。

　◆土俵祭り　本場所初日の前日に、会場土俵で必ず執り行われる儀式。土俵上の祭壇で、斎主を務める立行司が脇行司２人を従え、五穀豊穣（ほうじょう）、国家平安、土俵の無事を祈願する。通常は理事長及び、審判部長以下の審判委員と行司が参加する。土俵中央には「鎮め物」として洗米や塩、昆布などが埋められる。最後には東花道から呼び出しによる太鼓２基の「触れ太鼓土俵３周」で終わる。