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就農決意変わらない 県立農大校生
(2010年7月11日)
飼育する牛が口蹄疫に感染して全頭殺処分された高鍋町の県立農業大学校(服部修一校長、124人)で、畜産を学ぶ生徒らが技術習得に汗を流している。牛がいなくなり実習はできないが、農業機械の操作など今できることを身に付けようと懸命。口蹄疫という過酷な経験を今後に生かし、畜産再興の担い手となる決意を新たにしている。
同校で感染疑いの牛が確認されたのは5月中旬。肉用牛や乳牛218頭とヤギ2頭が殺処分され、敷地内に埋められた。4月29日から臨時休校となり、生徒は5月31日まで自宅待機を強いられた。
その後、再開はしたものの、畜産を学ぶ39人は毎日の家畜の世話や実習ができなくなった。このため、農業機械の扱い方など技術習得に力を入れたり、実習の代わりにビデオ映像を用いたりしている。また、当初は8月の1カ月間予定していた夏休みを12日間に短縮したりして、遅れを取り戻そうとしている。
ただ実習の代わりに座学で工夫を凝らしても「実物でないと分からない部分がある」と岩切隆志農学部長。同校は2年制で卒業までにプロジェクト研究の論文をまとめなければならないが、飼料の研究でも家畜がいなければ成果は見えにくく、テーマの決定にも支障をきたしている。
生徒らはこうした事態にも前向きだ。「自分たちが世話して種付けした牛もいたので悲しかった」と言う2年鈴木裕登さん(19)は、肉用牛繁殖を営む川南町の実家も口蹄疫に感染。「みんな状況は一緒。一生懸命頑張る」と家業を継ぐ決意は変わらない。
ワクチン接種農家で殺処分時の手伝いも経験した。同校が牛を再導入するめどは立たないが、1年の京牟礼淳さん(18)は「牛を触るだけが畜産ではない。牛舎を清掃したり、石灰をまいたりして勉強になった」と振り返る。
同校には卒業生や他県の農業大学校から、寄せ書きしたつなぎや励ましのメッセージが届いた。服部校長は「就農したり指導者になったりしたら、口蹄疫が出ないような取り組みを考えてほしい。励ましや温かい心遣いを受け止めて、自分たちがそういう立場になった時に思いやる心を大事にしてもらいたい」と話している。
【写真】農業機械の扱い方を学ぶ県立農業大学校の生徒ら。牛はいないが技術習得に懸命だ=高鍋町持田の同校飼料畑