巨額損失うまく回避、欧州混乱前に社債売却 (読売新聞)
2010年7月11日(日)11時55分
静岡県国際交流協会(会長=鈴木与平・鈴与社長)が昨年12月、保有するヨーロッパの金融機関の社債3億円分を売却していたことがわかった。 その後、今年に入りギリシャの財政危機をきっかけにヨーロッパの経済が混乱し、協会は結果として社債の下落で巨額の損失を被る事態を避けられたことになる。 同協会は県、市町と民間でつくる財団法人。基本財産約9億2000万円を国債や県債などで運用している。2008年度に運用先を大幅に見直し、09年1月にヨーロッパの各国が出資する金融機関「欧州投資銀行」(本部・ルクセンブルク)の社債(円建て、償還期間20年)を3億円購入した。平均年利は2・0%と有利な運用先だった。 だが、購入後の09年5月末の理事会で、民間企業経営者の理事らから「ヨーロッパの先行きは不安定になる」との意見が出された。ヨーロッパの社債の運用はこれが初めてで確たる自信を持てないとして、協会は指摘に従って09年12月に社債を売却した。 売却で50万円の損失が発生したが、所有する日本国債を一緒に売却して益出しすることで損失を相殺し、代わりに安定している日本国債と電力会社の社債を購入。資産運用の安定化に努めた。 ギリシャの財政危機が深刻化し、ヨーロッパ経済に不安が高まったのはその後。協会の杉山滋敏専務によると、欧州投資銀行の社債は「現在、市場で売却すると、購入時よりかなり低い価格になる状況」という。 杉山専務は「経営者は視野が広い。ギリシャの影響を受けず、運用に穴をあけずに済んだ」と話している。
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