これからの九州大学
九州大学は,教育憲章や学術憲章に示されているように,教育においては,世界の人々から支持される高等教育を推進し,広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し,世界の発展に貢献することを目指しています。また,研究においては,人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び,これを将来に伝えてゆくとともに,諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き,世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。そのためには,自由闊達な発想と洞察でもって,常に高みを目指し,新しい地平を切り開いてゆく絶えざる挑戦が求められます。
九州大学は,こうした世界第一級の教育・研究と診療活動を展開し,アジアを重視した知の世界的拠点大学として,多くの留学生を引き寄せ,また,日本を代表する基幹総合大学として,都市と共に栄え,市民の誇りと頼りになる大学として,発展し続けることが期待され,宿命づけられています。
九州大学は,平成7年に独自に「改革の大綱案」を策定し,学府・研究院制度を始めとする構造的な改革に取り組んできました。平成16年度の法人化以降は,明確な目標・計画を掲げ,総長のリーダーシップの下で,様々な大事業や大改革を進めてきました。これからは,こうした改革の方向を継承し,さらに部局等の現場からの考えや力が十分に反映され,発揮できるような仕組みをつくり,ボトムアップとトップダウンの繰り返しによって大学を遍く活性化することが重要だと考えます。
九州大学は,すべての学生・教職員が自信と誇りをもって,勉学に勤しみ,職務に精励できるような環境を整備する必要があります。そのもとで,学生・教職員が,より高みを目指して努力し,立派に育ち巣立った学生達がより優秀な学生を引き寄せ,高度な研究業績や診療業績等をあげた教職員がより優秀な教職員を引き寄せる,といった正のスパイラルに乗せることによって,大学は活性化し,持続的に発展するものと考えます。
九州大学は,来年,平成23年(2011年)に総合大学として創立百周年を迎えます。その百年の伝統を基盤とし,知の新世紀を拓くために,飛躍することが期待されています。現在推進中の百周年記念事業を成功させ,これから百年後の九州大学像を明確に描き,そこへ向かってゆく道筋を定め,必要な事業を着実に推進しなければなりません。そのためにも伊都新キャンパスへの統合移転は急がれます。この移転事業が,各方面のご理解とご支援を得て早期に完了できるよう,全学をあげて最大限の努力をいたします。 |