【ソウル=牧野愛博】韓国のソウル高裁は7日付で、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権時代にスパイ罪で逮捕、収監された京都市在住の在日韓国人、李宗樹さん(51)に対する再審の開始を決めた。同高裁が17日、明らかにした。現代史の見直しを進めている韓国政府の「真実・和解のための過去史整理委員会」は2008年9月、「同事件はでっちあげ」とする調査結果を発表しており、無罪判決が出る見通しだ。
同高裁などによれば、軍保安司令部が1982年11月、韓国留学中だった李さんを、令状なしに、北朝鮮のスパイだとして連行。拷問して自白させたとされる。情報機関の国家安全企画部(現・国家情報院)もこうした取り調べを黙認した。同高裁は不法逮捕・監禁にあたるとしている。
李さんは83年5月、同高裁で「反国家団体の構成員から指令を受けて、国家軍事機密を探ろうとした」とされ、懲役10年の刑を言い渡された。84年9月に刑が確定し、盧泰愚(ノ・テウ)政権時代の88年6月に釈放された。