全力士、土俵に謝罪…それでもKY発言
「大相撲名古屋場所」(11日初日、愛知県体育館)
大相撲名古屋場所の土俵祭りが10日、愛知県体育館で行われた。野球賭博問題を受け、通常なら出席しない関取衆や審判部以外の親方衆ら協会員約200人が、約1000人の観衆の前で頭を下げた。謝意がファンに伝わったのか、直後から入場券の窓口販売分が好調な売れ行きをみせた。気を良くした二所ノ関名古屋場所担当部長(元関脇金剛)からは「毎日、土俵祭りをすればいいな」というKY発言も。角界再生をかけた15日間が始まる。
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親方衆、横綱白鵬ら十両以上の力士が、一斉に土俵に向かって頭を下げた。二度と不祥事は起こさない‐。土俵祭りに参加した約200人の協会員が、愛知県体育館に集まったファン約1000人に固い決意を誓った。
角界再生アピールの効果はすぐに表れた。土俵祭り終了直後、名古屋場所チケットを求めるファンが、体育館の販売窓口に列をなした。この日は窓口だけで95万円分が売れ、同場所の昨年同日比で70万円の売り上げ増。今場所の最高金額を記録した。電話での購入を合わせると、1日で総額115万円分を売り上げた。
名古屋場所担当部長の二所ノ関親方(元関脇金剛)は、「バカ売れだよ、バカ売れ」と笑いが止まらない。「涙が出るよね。人情があるよ、やっぱり」とファンに感謝。ここ数日はダンマリを貫いていたが、「毎日土俵祭りをやろうかな」と軽口も飛び出す上機嫌ぶりだ。ただ厳しい状況はまったく変わっていない。
名古屋場所チケットの売り上げは、昨年同時期比で1割減。完売は千秋楽のみで、まだ3割5分が売れ残っている。初日は8割以上が売れているが、升席にはすべて残席がある。名古屋場所のチケット担当者は「こんなこと(野球賭博問題)がなければもうちょっと入ったんでしょうけど…」と暗い顔。この日も23件の払い戻し申請があり、合計では435件に上った。
二所ノ関親方は「あしたようやく初日。後はお相撲さんがいい相撲を取ってくれれば」とお気楽な展望を語ったが、手放しで喜ぶのは早過ぎる。十両以上の力士10人が謹慎し休場、NHKが生中継を中止し、天皇賜杯授与などの表彰もない、異例ずくめの15日間が幕を開ける。無事に千秋楽を迎えることができるか、まだまだ予断を許さない状況だ。