「孔子はどの国の人なのか」(下)

 趙教授は、中国・韓国・日本・ベトナムなどを「東アジア文明圏」と規定した。ヨーロッパがラテン語・キリスト教文明であるように、東アジアは漢文・儒教・仏教文明圏だ。趙教授は、「東アジア文明はこれを作るのに参加した国々や民族の共有財産。土地を分け与えたら大変なことになると認識していながら、韓国も所有権を持っている文明をまるごと他国に渡してしまっても差し支えないと考えるのは問題」と語った。

 趙教授は、東アジア文明における韓国の役割に注目した。趙教授は、「中心部である中国は自己中心的で、東アジア全体を把握できず、周辺部の日本は、固有文化に執着しながらも西洋化に乗り出した“中退者”だった。しかし、中間部の韓国は、東アジアの共有財産を民族文化の私有財産と合わせ、東アジア文明を離陸させるのに積極的に寄与した。東アジア文明をさらに発展させる役割を担うこと自体が、韓国の民族文化の力量」と評価した。

 とはいえ、歴史や領土問題をめぐり対立を続けている現在の韓中日の状況から見ると、「東アジア文明」はまだまだ遠い先の話ではないか。これについて趙教授は、「それは政治・経済的利害関係のせいだが、民族優越論を捨てて大学の課程を共にするなど、人的交流を通じて、まずは東アジアの学問共同体を築くことはできる」と主張した。

李漢洙(イ・ハンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る