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帰国スパイ、露が生活費確約…米と交換後

7月11日1時37分配信 読売新聞

 【ワシントン=黒瀬悦成】米露が9日行った、東西冷戦終結後最大規模のスパイ交換は、米国主導で描かれた綿密な筋書きに沿って進められていた内幕が明らかになった。

 米国によるスパイ団摘発が米露関係を損ねることを恐れたオバマ大統領の意向を強く反映した措置とされる。

 AP通信など米主要メディアによると、オバマ大統領が米国内で活動する露スパイ10人の存在について知らされたのは6月11日。司法省や連邦捜査局(FBI)は、一部が近く出国することを察知し、10年にわたったスパイ団への監視を急きょ切り上げ、一斉逮捕に踏み切る準備を進めていることを説明した。

 司法省やFBI高官は、米露関係への影響を最小限に抑えたい大統領の意向をくんで、スパイ団を米国に長期拘束せず、露国内で長期収監されている米国のスパイを釈放させる取引材料とする「スパイ交換」を提案した。欧米に重要な露機密情報を提供したとされるアレクサンドル・ザポロジスキー元露対外情報局(SVR)大佐らは監獄での健康悪化も伝えられ、救出を急務と見なしていた。

 大統領のゴーサインを得た司法省は6月27日に10人を逮捕。30日、中央情報局(CIA)はスパイ交換をSVRに打診し、SVRは2日後に交換に応じると回答した。パネッタCIA長官とフラトコフSVR長官との計3回の電話協議を経て、7月3日に交換の詳細が合意に至った。

 合意内容の一部は、スパイ団が8日に国外追放処分を言い渡されたニューヨーク連邦地裁の法廷でも明らかにされ、ロシア政府がスパイたちに帰国後、住宅や月額2000ドルの生活費を一生支給することを確約していたことも判明した。米国内に残されていた一部のスパイの子供も9日までにロシアに送り返された。

最終更新:7月11日1時37分

読売新聞

 

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