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【社会】横浜松坂屋の美を保存 テラコッタ、INAX博物館へ2010年7月10日 14時07分
二〇〇八年十月に閉店し、現在解体中の百貨店「横浜松坂屋」(横浜市中区)の外壁を彩るテラコッタ(装飾陶器)が、住宅設備メーカー「INAX」(愛知県常滑市)の運営する博物館「INAXライブミュージアム」(同市)で、保存されることになった。テラコッタは同社製で、愛知県内で活躍した建築家がデザインしたことから、寄贈が決まった。 (横浜支局・荒井六貴) INAXミュージアム活動推進室によると、横浜松坂屋の外壁のテラコッタは一九三三年、INAXの前身伊奈製陶が材料を納め、明治から昭和初期にかけて活躍した建築家鈴木禎次(一八七〇〜一九四一年)がデザインした。 鈴木は、静岡市出身で、名古屋高等工業学校(現・名古屋工業大)で教授を務めた。名古屋市内の松坂屋本店や旧名古屋銀行本店(旧三菱東京UFJ銀行貨幣資料館)、鶴舞公園の奏楽堂や噴水塔、愛知県岡崎市の旧岡崎銀行本店(岡崎信用金庫資料館)などを設計した。夏目漱石の義弟としても知られる。 横浜松坂屋を所有する持ち株会社の「J・フロントリテイリング」(東京)が昨年、建物の解体を明らかにしたことから、INAX側がテラコッタを譲ってくれるよう申し出た。 寄贈されるのは、幾何学模様のアールデコ装飾が特徴的な六階付近。解体工事はすでに始まっており、今月末から来月にかけて、高さ約五メートル、幅約二メートルのテラコッタが切り取られる計画だ。柱も含まれ、重さは推計約二十トン。早くて年末ごろ、INAXライブミュージアムで屋外展示される見込み。INAXミュージアム活動推進室の後藤泰男室長は「建築物のテラコッタが最盛期で華やかだった時代に、愛知を代表する建築家が造った作品を後世に伝えていきたい」と話している。 <横浜松坂屋> 前身の野沢屋呉服店が1864年に創業し、建物のうち本館は1921(大正10)年に完成した。地上7階、地下1階で、フォークデュオ「ゆず」が店の前で、ストリートライブをしていたことでも知られる。横浜市が2004年に歴史的建造物に認定したが、解体で認定解除に。敷地は今後、商業施設になる予定。 (東京新聞)
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