2010年5月13日 11時9分 更新:5月13日 12時30分
【ワシントン古本陽荘】米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関する日米の外務・防衛当局による審議官級協議が12日、米国防総省で行われた。日本側は、移設先を米軍キャンプ・シュワブ沿岸部のある「名護市辺野古周辺」とし、工法を埋め立てから、くい打ち桟橋方式に変更する政府原案を提示したが、米側は環境面、安全面から難色を示した。一方、両政府は、合意の取りまとめに向け協議を継続する方針で一致した。
協議では、日本側から、現行案のV字形の代替施設をくい打ち方式で、滑走路1600メートル(オーバーランを含め1800メートル)1本とする案を軸に検討していることを説明。米側は、シュワブ沿岸部を埋め立てる「現行案がベスト」との姿勢を崩しておらず、くい打ち方式について▽水中から滑走路を狙うテロの攻撃対象となる可能性が高まる▽工期が長くなる▽海洋環境への影響は軽減できない--ことを指摘し、受け入れは困難との姿勢を示した。
また、日本側は普天間の基地機能を鹿児島県・徳之島に移転する案について調整状況を説明。米側は海兵隊の陸上部隊とヘリ部隊の一体的な運用を確保する必要性から、「部隊移転は不可能」と主張。訓練の移設についても、徳之島でどのような訓練を想定しているのか日本側に具体的な説明を求め、結論を持ち越した。
このほか、沖縄県内の嘉手納基地など別の基地の県外への訓練移転についても協議。さらに日本側から、在日米軍基地の土壌汚染などに関し、環境問題に関する特別協定締結を検討したいとの提案がなされた。
日本側からは冨田浩司・外務省北米局参事官、黒江哲郎・防衛省防衛政策局次長、須川清司・内閣官房専門調査員らが出席。米側はドノバン筆頭国務次官補代理、シファー国防次官補代理らが参加した。