43年前に茨城県で起きた強盗殺人事件、いわゆる布川事件で、無実を訴えながら無期懲役が確定した男性2人の再審=やり直しの裁判が9日から水戸地方裁判所土浦支部で始まります。弁護団は一日も早く無罪判決を言い渡すよう求めることにしています。
布川事件は、昭和42年に茨城県の利根町布川で独り暮らしの62歳の男性が殺害され、現金10万円余りが奪われたものです。近くに住んでいた桜井昌司さん(63)と杉山卓男さん(63)が警察の取り調べに対して、犯行を認める供述をして逮捕され強盗殺人などの罪に問われました。2人は裁判では、自白は捜査員の誘導や脅しによるものだったとして一貫して無罪を主張しましたが、自白は信用できるとされ、無期懲役が確定しました。2人は、逮捕から29年後の平成8年に仮釈放されたあと、再審=裁判のやり直しを求め、弁護団が新たな証拠として、犯行の時間帯に2人とは違う特徴の人物を見たという目撃証言などを提出した結果、去年12月、最高裁判所は「無罪を言い渡すべきことが明らかな新証拠に該当する」と判断して裁判のやり直しを決めました。やり直しの裁判は、逮捕から42年以上がたった9日から水戸地方裁判所土浦支部で始まります。裁判では検察が被害者の足を縛るのに使われたタオルなどのDNA鑑定を新たに行うよう求めているのに対して、弁護団は、新たな鑑定の必要はなく、一日も早く無罪判決を言い渡すよう求めることにしています。裁判所が新たなDNA鑑定を認めなければ、審理は早期に終わり、無罪が言い渡される公算が大きくなります。