43年前に茨城県で起きた強盗殺人事件、いわゆる布川事件で無実を訴えながら無期懲役が確定した男性2人の再審、やり直しの裁判が、水戸地方裁判所土浦支部で始まりました。2人は無実を訴え、弁護団は一刻も早く無罪を言い渡すべきだと主張しました。
布川事件は、昭和42年に茨城県の利根町布川で独り暮らしの62歳の男性が殺害され、現金10万円余りが奪われたもので、近くに住んでいた桜井昌司さん(63)と杉山卓男さん(63)が強盗殺人などの罪に問われました。2人は、裁判で無罪を主張しましたが、昭和53年に無期懲役が確定し、逮捕から29年後に仮釈放されたあと、再審を求め、去年、最高裁判所が有罪の証拠とされた捜査段階の自白や目撃証言には疑問があるとして裁判のやり直しを決めました。再審裁判は、9日午後、水戸地方裁判所土浦支部で始まり、桜井さんは「わたしは事件とは関係ありません。検察官が、これまでわたしたちの無実の証拠を隠していたことは納得できません」と厳しい口調で訴えました。また、杉山さんは「わたしはやっていません。『認めなければ死刑にするぞ』などと自白を強要され、厳しい取り調べに屈したことをこの43年、悔やんでも悔やみ切れません」と訴えました。さらに弁護団は、2人のえん罪は明らかで、裁判所が一刻も早く無罪を言い渡し、2人を救済すべきだと訴えました。これに対して検察は、あらためて2人の有罪を主張しました。審理は夕方まで行われる予定です。