布川事件再審 2人無実訴える
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布川事件再審 2人無実訴える

7月9日 18時30分

43年前に茨城県で起きた強盗殺人事件、いわゆる布川事件で、無実を訴えながら無期懲役が確定した男性2人の再審=やり直しの裁判が、水戸地方裁判所土浦支部で始まり、2人は、あらためて無実を訴えました。裁判は、検察が有罪を示す新たな証拠を出さないかぎり、無罪になる公算が大きくなっています。

布川事件は、昭和42年に茨城県の利根町布川で独り暮らしの62歳の男性が殺害され、現金10万円余りが奪われたもので、近くに住んでいた桜井昌司さん(63)と杉山卓男さん(63)が強盗殺人などの罪に問われました。2人は、裁判で無罪を主張しましたが、昭和53年に無期懲役が確定し、逮捕から29年後に仮釈放されたあと、再審を求め、去年、最高裁判所が有罪の証拠とされた捜査段階の自白や目撃証言には疑問があるとして裁判のやり直しを決めました。やり直しの裁判は9日午後、水戸地方裁判所土浦支部で始まりました。桜井さんは「わたしは事件とは関係ありません。検察官が、これまで私たちの無実の証拠を隠していたことは納得できません」と厳しい口調で訴えました。また、杉山さんは「わたしはやっていません。『認めなければ死刑にするぞ』などと自白を強要され、厳しい取り調べに屈したことをこの43年、悔やんでも悔やみ切れません」と訴えました。これに対して、検察は、あらためて2人の有罪を主張し、被害者が縛られていたタオルなどに犯人の汗などが付いていないか調べるため、DNA鑑定を行うよう求めました。これについて、弁護団は、タオルなどは保存状態が悪いうえ、取り調べのときに2人の汗などが付いた可能性があるとして、鑑定は行うべきではないと主張しました。今回の裁判は、最高裁が再審を決めたときとほぼ同じ証拠に基づいて行われていて、検察が有罪を示す新たな証拠を出さないかぎり、無罪になる公算が大きく、今後、裁判所がDNA鑑定を行うことを認めるかどうかが最大の焦点になります。