日本相撲協会の友綱理事(元関脇魁輝)は9日、野球賭博問題に対する協会の一連の対応に「国技をつぶす気か」と発言した横綱白鵬(25)=宮城野=について、「それだけ国技に対する気持ちが熱いのだろう」と不問に付す考えを示した。白鵬は一夜明け、名古屋市緑区の宮城野部屋宿舎でけいこを行ったが、終始ピリピリムード。鉄のカーテンならぬ“ブルーシートのカーテン”で、報道陣を完全に閉め出した。
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協会批判とも取れる発言をした白鵬に対し、同じ立浪一門の友綱理事が寛容な姿勢を見せた。「それだけ国技に対する気持ちが熱いのだろう」と擁護し、「モンゴル出身ではあるが、日ごろの白鵬を見ていると横綱とか相撲に対して強い気持ちを抱いているようにみえる。相撲は国技なんだという思いが感じられる」と発言。横綱に理解を示した。
野球賭博問題などに対する協会の対応に、白鵬が“不満”を口にしたのは8日の出げいこ後だった。名古屋場所で幕内優勝力士への天皇賜杯授与など、外部からの表彰をすべて辞退したことに、「日本の横綱としてはあまりにもやりすぎだという考えもあります」と反発。「自分たちの手で国技をつぶす気だなと思う」とまで言い切った。現役力士を代表し、思いの丈をぶちまけた。
白鵬は一夜明け、一転してだんまりを決め込んだ。宮城野部屋宿舎での朝げいこでは、入り口に「報道関係及び一般の稽古見学お断りします」との立て看板が置かれていた。けいこ場はブルーシートで覆った。けいこ中にも、若い衆が新たなブルーシートをけいこ場周囲の金網に張り付ける念の入れようで、報道陣を完全にシャットアウトした。
前日の発言が新聞やテレビで大々的に報じられたことで、かなり神経が過敏になっている様子。けいこ後は無言で宿舎に引き揚げたが、けいこ後も多数の報道陣が部屋の前に待機しているのを見て、付け人を通じて「あとはとにかく場所に向けて頑張るだけです」とコメントを出しただけ。初日は新小結栃ノ心の挑戦を受ける。賭博問題で揺らぐ角界と同様に、横綱の心も大きく揺れたまま、11日に初日を迎える。