両親が結婚しているかどうかで子どもが相続できる遺産の配分に差を設けている民法の規定が法の下の平等を定めた憲法に違反するかどうかについて、最高裁判所は、15年ぶりに大法廷で審理することを決めました。大法廷では過去の判例を変更することも可能で、最高裁の判断が注目されます。
民法では、結婚していない男女の子どもは結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。これについて、和歌山市の男性が母親などの遺産の相続をめぐり、法の下の平等を定めた憲法に違反すると主張して争ってきました。この裁判で最高裁判所は、15人の裁判官全員による大法廷で審理することを決めました。相続する遺産の配分に格差を設けている民法の規定をめぐっては、平成7年に最高裁大法廷が「法律上の結婚を保護するためのもので、不当な差別とはいえない」と指摘して憲法に違反しないという判断を初めて示しました。その後、この15年間に最高裁の小法廷で判決や決定が少なくとも5件出され、結論はいずれも合憲でしたが、「親が結婚していないことについて子どもに責任はない」などとして憲法違反だという反対意見を述べる裁判官も多く、最高裁の中でも見解が大きく分かれていました。大法廷では過去の判例を変更することも可能で、最高裁の判断が注目されます。