宮崎県の口蹄(こうてい)疫問題で、約2カ月間にわたって中止されていた大分県内の牛の競り市場が11日から再開する。「高値での取引を」と畜産農家が懇願する中、価格はどう動くのか。九州で再開する市場の中では、宮崎県からの購買者に自粛を求めた以外は、来場者の地域を限定しない初の“オープン”開催でもあり、訪れる人数や値動きに注目が集まる。
2000年に宮崎県で口蹄疫が終息した後の大分県内の子牛価格はどうだったのか。殺処分頭数は35頭だったにもかかわらず、県畜産振興課によると、県内は平均で1頭38万6千円(同年3月)から34万8千円(4月)へと、約3万8千円下落した。全国平均も約1万9千円下がった。
今回、大分県より先に市場を再開した長崎県。6月27、28両日の平戸口中央市場は1頭40万円で、再開前に比べ7%下落。だが、7月1、2両日の壱岐市場は41万9千円と増減はなかった。長崎、佐賀両県の肥育農家のみが参加しており、「長崎県内の子牛を買い支える意味合いも感じる。県外の購買者が多い大分県で同じようになるかは何とも言えない」と畜産関係者。
県内では価格が下がるとの見方が強い。5、6月に出荷できなかった牛から優先的に出すが、出荷適齢を過ぎていることで商品価値が低下するなどの恐れがあるからだ。一方、肥育農家も子牛が欲しいため、「値段が競り上がることもあり得る」との声も。
県内市場の購買者は県外からが約7割を占め、1回当たり100~150人が訪れる。JA全農県本部が電話で意思確認をしたところ、「8~9割は来てもらえるだろう」との手応えを得たという。
玖珠市場に子牛5頭を出荷する玖珠町の宿利英治さん(63)は「5月より体重が50~60キロ増えた。どこまで値段が付くか心配。飼料代も余分に掛かっているし、何とか前回並みに落ち着いてほしい」と訴えた。
<メモ> 11日の玖珠市場(玖珠町)は子牛539頭、12日の豊肥市場(竹田市)は同658頭が出品される。県内の口蹄疫発生前(4月)の市況は全体平均で1頭35万8千円。去勢で同40万円、雌で30万3千円。
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