――――ゴポゴポ――――
ココは?
私…、いや、俺は確か
『今の自分』より『前の自分』を思い出す。
『俺』は一般的な大学生だったはずだ、軍オタ、フロム信者だった事を除けば一般的な大学生
しかし、今、『私』は…
ゴミ捨て場にいる、コレは正直どうでもいい
シリンダーの中に居て、中は緑色の不明な液体が私をぷかぷか浮かばせている
コレも百歩くらい譲ってどうでもいい
私の一番の問題は、『俺』が少女になっていたと言うことだった
歳は…恐らく、8~10歳といったところ
髪、白く腰までとどくロングヘアー、顔は…、鏡がないので判断し難いが触った感じはバランスが整っていて美少女なのだろう、しかも全裸だった。
胸?喧嘩を売っているのか?ペッタンコで悪かったな!
良く、SSで観掛ける転生・憑依ってヤツだな
だとしたら前の自分は死んでいるのだろう
前の俺はACfA(アーマードコア・フォーアンサー)をプレイしていたら、突然テレビが此方に倒れ掛かってきてそのまま視界がブラックアウト!!
などと言う、アホな死に方をしてしまったのかと思うと笑えてくる
「さて、どうしたものか…」
溜息混じりにそう言うと今後の事を考える
「まぁ、外に出ても汚染されるだけか」
ゴミ捨て場とは以外に良い情報源だ、なんせここがどんな『世界』なのかさえ解る、私の目の前には破棄された人型ロボット
頭と胴体は半分に切り裂かれているが、肩には良く知っている『企業』のエンブレムがあった、重装甲、堅実な実弾武装、目の前には廃棄されたGAのノーマルACがあるのだ
しかしGA領内ではないらしい、複数の企業のノーマルACが廃棄されている
そして遥か彼方には企業連の旗が揺らめいている
「時代はfa(フォーアンサー)で間違ない」
『企業連』表向きはリンクス戦争後生き残った企業が無駄な争いを避けるために結成した組織
「外に出てみたいが」
外にはコジマ汚染により汚れた空気と大地があった、枯れた草木がとてもこんな少女が探索できる環境ではないことを告げている
しかし、ココでジッとしていてもシリンダーに入っている酸素と栄養がどれほど有るかも解らない
「せめて人が来てくれたらなぁ」
人が来てくれればなんとかなるか、五分五分だ
Faのオペレーターである『セレン・ヘイズ』が来てくれるのが一番好ましい
彼女なら多少は安全にココから出してくれるだろう
他は考えるだけでおぞましい
人売りに連れ出されてアレ系の人に売られる
アスピナで変な化学実験のモルモットにされる
――――などなど不安な未来もあるのだ
「…ハァ」
考えれば考えるほど鬱になる
なんでACの世界で少女なのかと今頃になって不服に思えてきた
せめて、男 欲を言えばムキムキの
そうすればこの体よりはずっと多くの選択ができた筈なのだ
そんな事を考えていると、足音が聞えてきた
ザッザッザッ
確実にこちらに近づいてくる――気配――
希望と絶望が交わったなんともいえない気持ちだ
(頼む!セレンさんであってくれ!!)
そんな望みをあざ笑うかのように太い男の声がする
絶望――
だが、現れた男は 予想を遥かに上回った存在だった
興