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[16290] タイトル未定(現実→ACfa 転生・憑依)
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/02/08 02:33
初めて投稿させていただきます。
誤字、脱字、表現の指摘がありましたら、感想掲示板までおねがいします。


注意 
主人公が少女です。
こんなのACじゃねぇ!!などあるかもしれません
ACの独自解釈なども含まれるかもしれません



[16290] 一話 出会い
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/02/08 02:32
――――ゴポゴポ――――



ココは?

私…、いや、俺は確か
『今の自分』より『前の自分』を思い出す。



『俺』は一般的な大学生だったはずだ、軍オタ、フロム信者だった事を除けば一般的な大学生

しかし、今、『私』は…
ゴミ捨て場にいる、コレは正直どうでもいい
シリンダーの中に居て、中は緑色の不明な液体が私をぷかぷか浮かばせている
コレも百歩くらい譲ってどうでもいい

私の一番の問題は、『俺』が少女になっていたと言うことだった
歳は…恐らく、8~10歳といったところ
髪、白く腰までとどくロングヘアー、顔は…、鏡がないので判断し難いが触った感じはバランスが整っていて美少女なのだろう、しかも全裸だった。
胸?喧嘩を売っているのか?ペッタンコで悪かったな!

良く、SSで観掛ける転生・憑依ってヤツだな

だとしたら前の自分は死んでいるのだろう
前の俺はACfA(アーマードコア・フォーアンサー)をプレイしていたら、突然テレビが此方に倒れ掛かってきてそのまま視界がブラックアウト!!
などと言う、アホな死に方をしてしまったのかと思うと笑えてくる

「さて、どうしたものか…」
溜息混じりにそう言うと今後の事を考える

「まぁ、外に出ても汚染されるだけか」

ゴミ捨て場とは以外に良い情報源だ、なんせここがどんな『世界』なのかさえ解る、私の目の前には破棄された人型ロボット
頭と胴体は半分に切り裂かれているが、肩には良く知っている『企業』のエンブレムがあった、重装甲、堅実な実弾武装、目の前には廃棄されたGAのノーマルACがあるのだ

しかしGA領内ではないらしい、複数の企業のノーマルACが廃棄されている
そして遥か彼方には企業連の旗が揺らめいている

「時代はfa(フォーアンサー)で間違ない」

『企業連』表向きはリンクス戦争後生き残った企業が無駄な争いを避けるために結成した組織

「外に出てみたいが」

外にはコジマ汚染により汚れた空気と大地があった、枯れた草木がとてもこんな少女が探索できる環境ではないことを告げている
しかし、ココでジッとしていてもシリンダーに入っている酸素と栄養がどれほど有るかも解らない

「せめて人が来てくれたらなぁ」

人が来てくれればなんとかなるか、五分五分だ
Faのオペレーターである『セレン・ヘイズ』が来てくれるのが一番好ましい
彼女なら多少は安全にココから出してくれるだろう
他は考えるだけでおぞましい
人売りに連れ出されてアレ系の人に売られる
アスピナで変な化学実験のモルモットにされる
――――などなど不安な未来もあるのだ

「…ハァ」
考えれば考えるほど鬱になる
なんでACの世界で少女なのかと今頃になって不服に思えてきた
せめて、男 欲を言えばムキムキの
そうすればこの体よりはずっと多くの選択ができた筈なのだ

そんな事を考えていると、足音が聞えてきた

ザッザッザッ

確実にこちらに近づいてくる――気配――

希望と絶望が交わったなんともいえない気持ちだ

(頼む!セレンさんであってくれ!!)

そんな望みをあざ笑うかのように太い男の声がする

絶望――

だが、現れた男は 予想を遥かに上回った存在だった

               興



[16290] ジャックじゃないよ、ホントだよ!
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/02/12 04:39
現状況を簡単に説明するとしよう
すごく…ピンチです…



少女になっていた
ゲイヴン(?)に遭遇した←new!!




男の服は作業員用の服を頭にはなぜかレイブンACの頭部パーツ、HAD-MM/003に酷似したものを被っている
男の視線が少しずつこちらにくる、そして俺に気付いたのか、歩をこちらに進めて来たのだ。

(ヤバッ!何とか逃げないとヤラレル!!)

俺はそう判断しみずからを外界と隔離しているシリンダーのガラスを割ろうとするが
所詮は非力な少女のパンチ、ガラスは割れず痛さと絶望が残る
だが、希望を見つけ出した

俺、今少女なんだ!!

ヤツはゲイヴンそうゲイヴンなのだ、ショタならともかく俺は完璧な幼女
最高助けてくれるか最悪でも無視だ、自分の純ケツが守れることに安堵している最中に
男が俺のシリンダーの前まで近づいてきた一言

「美しい…」

は?えっと、ゲイヴン?
そうか!ジャックはジナも誘っていた、二刀流(レイヴン的な意味で)だった…

ココまで近くに来られては逃げる術もない

絶望の中、俺は考える事を止めた



Bad end







「うわぁぁぁぁぁぁ!」

ベッドの中で俺は勢い良く目を覚ました。
状況を確認する、近くにジャック(?)は居ない
窓のない、保健室的な部屋に俺は居た、幸いなことに、服を着させて頂いたらしく患者が良く着ている服を羽織っていたし尻も痛くない

安堵の息をつこうとした時、ウイィンっとした音がして扉が開いた

「ツッ…」
同時に息を呑む、ジャック仮面をしてないが同じ服、間違えなくあの、ゲイヴンだ

「気が付いたね、良かったよ」
やさしい笑顔でそう言って俺の寝ているベッドの横に椅子を用意し、男はそこに座る

「早速だけど、君の名前を…、おっと、自分から名のるのが礼儀だったね」
俺の警戒に気付いてまたはそういう性格なのかやたらとフレンドリーに話しかけてきた。

「私の名前はアブ・マーシュ、アーキテクトをしているんだ」

「アーキテクト、アブ・マーシュ…」

俺はあまりに唐突に驚きで脳が完全にフリーズした


『アーキテクト』
ネクストのアセンブルを生業としている技術者、リンクスが副業ですることも珍しくない
それほどパーツを知り尽くしていないとできない、ある種の芸術家、職人
そのなかでもアブ・マーシュ、彼はリンクスではないが名機『ホワイト・グリント』を作った天才と呼ばれるほどのアーキテクト


「今度は君の事を教えてくれないかな?」

そう問いかけるアブ・マーシュに私は戸惑った
名前などこの体にあるのだろうか?解らない

「…」

沈黙を保つ私に彼は優しく、「話したくないんだったら良いよ、今日はゆっくりお休み」
と言い部屋から出て行ってしまった。

恩人(?)に無礼を働いてしまったと、反省しつつ

「名前か…」

この体の名前、考えてなかったなぁ、と思考
しかし、脳が睡眠を求めて働かない

「明日、考えよう…」

そのまま純白のベッドに身を任せた





――――アブ・マーシュ

彼女と会ったのは全くの偶然だった
私は仕事の依頼を受け、機体アセンブルを考えてた、良いアイディアがでない…


こういう時はどんなアセンブルが外にあるのか調べて参考にするに限る
身体のコジマ汚染を避けるため、ゴミの中から拾ったのを改造した空気浄化装置つきの仮面を付けると、車で外へと飛び出す、目的地は企業が不要になったゴミを捨てる処理場だ
メカの残骸をみていると発想力が湧き上がる、芸術は爆発なのだ
私は新しく廃棄されたGA社のノーマルに近づこうとして

――閉じ込められた『天使』――を見た
髪の毛は純白、眼は澄んだ青空のような青、歳は8~10といったところ

彼女を見ていると頭の中で機体のアイディアが沸いてくる
私は物思いにふける彼女をさらに近くで見ようと近寄りふっと呟いた

「美しい…」

それからは大変だった、なぜか気絶した彼女に驚きつつ仲間を呼び、シリンダーごと自分の研究所へと連れて帰る事にしたのだ

それから天使を檻の中から出し、ベッドに寝かせ、病室の隣の部屋でカメラにて見守っている

「うわぁぁぁぁぁぁ」

彼女は勢い良く起きた後、体を入念にチェックしている、何かなくした物が有るのだろうか?と不安になりつつも病室へと足を運んだ

「ツッ…」

彼女から最初に向けられた視線はまるで獲物が狩人を恐れるような眼だった
これはまずいとフレンドリーに接し、自分の正体と職業を証し安心させる
少し落ち着いた彼女に名前を聞いてみた

「…」

沈黙、まずい発言をしてしまっただろうか?私は逃げ出すように、なるべく不自然にならぬように病室を出た。

彼女の姿を見るとアイディアが浮かんでくる、今まで欠けていたものが…

「一度、私の作った機体を倒した鴉に前以上の機体を提供することができそうだ」


自然に笑みがこぼれる、自分の作品の為ならすべてを犠牲にしてもかまわないと言われる科学者、芸術家の笑みが



[16290] 計画の修正が必要だ
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/02/12 04:37
「――っん」


俺はゆっくり目を覚ました
周りを見渡し、昨日の事を思い出していく
ゲイヴンだと思ったらアブ・マーシュで助けられて、ココに居る
よし、整理終了

「今は何時なんだ?」

生憎、この部屋には時計が無いようだ、部屋の外から物音一つしない事から早く起きすぎたと言うことだけが解る
「ん~」とこれからどうするか思考
1.二度寝 2.自分の名前を考える 3.ボーっとする

1は今、眠くないので却下、2は自分で考えると中二も真っ青な名前になりそうなので止めておく、よし、ボーっとしようと決心
しかし、暇だ、何かもっと有益なことは―――
そうだ!前世の記憶にある転生モノ主人公の特徴を思い出すことにした、きっと自分の役にたってくれるだろう

大体イレギュラー的な能力・素質がある

「俺にもなんかチート性能あるかな?」

試してみよう、ベッドから降り地面に足を付いて起つ
起て―――

「へぷッッ」

奇妙な声をだして顔面から転ぶんだ

「足が完全に訛ってやがる」

この体はこれまで起ったことがないのか?ないな、最初は変な液体の中、プールみたいな感じで足を使わなかった、次にベッド、無論足を使わない
リハビリ、キツイだろうなぁと思いながらふて寝した








それから3日後


思ったより早く歩けるようになり、アブ・マーシュから研究所内なら何所でも行って良いと許可をもらった、まだうまく歩けない足で色々な部屋を回る

研究員は少なく、何時も暇そうにしていた、曰く「自分達の仕事はあくまで先生のサポートであり、先生が設計図を作っている時は大方暇」らしい
なんでも、「アーキテクトになる為に弟子入りしたのにあまり教えてくれない」と愚痴をこぼしているヤツもいたが師が悪かったと思ってもらうしかない

そんなこんなで俺は研究員達とすぐ仲良くなれた

俺は研究員達に付き合ってもらって色々とこの体について研究する
結果的に反射神経と五感がかなり良い事が判明
運動はどうだろうと100m走を廊下でしてみたが結果は1分30秒台という数字を叩き出しおまけに25mくらい走った所でスタミナが無くなり皆の応援の元やっとゴールした時はかなり恥ずかしかった、体力、筋力はかなり貧弱だ


それともう一つ大切な事をやらないと

「ねぇ、ちゃんと準備してくれた?」

俺は今日、研究員の一人にこれから簡単なAMS適正テストをさせて貰う約束になっていた


『AMS』アレゴリーマニュピレイトシステムの略称
この適正があることによりレイヴンACの数十倍にもなる情報を人の脳を経由して高速処理+ネクストを自分の手足のように動かせる(適性値にもよる)システム


きっと自分にも有るに違いない、無ければただの少女です、本当にありがとうございます

「まぁ譲ちゃん、急かすなよ」

機械の調整をしていた

「ほらできたぞ」

AMS適性を調べる方法は多々あるがもっとも簡単な検査装置を頭に乗せて調べる
方法にする

「いくぜ、譲ちゃん」
その言葉と共に機械が作動、痛いと思っていたがそうでもなかった




ピーと終了の合図である音が鳴る





俺は装置を頭の上から外し、結果を聞きに行く

「譲ちゃん、悪い結果だぜ、『反応なし』だ」

「じょ、冗談じゃ…」
いきなりフロム信者である俺の計画(ネクストに乗って俺無敵)が波状した
要する俺はただの少女です本当にありがとうございました

俺が落ち込んでいる最中に研究員は大笑いしてどっかに行ってしまった



なんてこった…この世界での楽しみが一つ無くなるなんて、一つね


「こうなったら…全リンクスのサインをゲットだ」

俺の第2の野望!『全リンクスサインノート』

アーキテクトの職業上世界各地に行き、リンクスに機体を提供するだろう
その時にサインしてもらえば良い、こんどアブ・マーシュに提案してみよう、そういえば最近姿を見てないな、何してるんだろう?
時間はたっぷりある、明日探せば良いか、俺は自室(病室)に戻った


翌日、起きると同時にアブ・マーシュが部屋に入ってきた
寝起きの乙女の部屋に入るとは、変態か!とも思ったが俺は中身が男だから気にしない
だが次の言葉で気にしないでられなくなった

「次の仕事、君にも付いて来て欲しい」

は?何イッテルのこの人…小さな存在が全ての人なのか?ロリコン?
しかしタイミング的には最高だ


「良いですよ…、ただし条件があります」

「ん?何かな?」

聞き返してくると言うことは交渉の覚悟はあるってことか


「最初付けていた仮面(弱王仮面)を貰えませんか?」

正直、フロム信者ならぜひとも欲しいアイテムだった

「そんな物もので良いのか?」


「はい」


「では、2日で遠出する準備をしておいてくれ」


後で取りに行って大事に部屋に飾ろう、そんなことを考えながら
「場所は?」と、どんなリンクスに会いに行くか気になるので聴いてみる




「ラインアーク」

素っ気無く答えられ、私は出て行く彼を呆然と見送るしかできなかった

――――アブ・マーシュ

私はあれからずっと部屋に閉じこもり機体設計図を作っていた
彼女の動きは研究員達から聞いている
色々やっている様だ、最初の人見知りが嘘のように誰彼構わず話しかけている
騒がしすぎる程に
AMS適性検査までしたようだった、結果は『反応なし』当然だ
地球人口から全部で五十数名しか発見されていないのだから、リンクスは



今回の仕事は彼女も同行してもらおうと思う
なぜかその方がいい、と何かが私に告げている
私は感情では動くタイプではないが…彼女をココに連れてきた時は感情による行動だった
ならば、またそれに任せてみるのも面白いだろう

それから彼女の病室に行き、一緒に来ないか?と提案すると眼を丸くされたが
了承を貰えた。

それしてもあの仮面を彼女は何に使うのだろうか?まるで懐かしい物を見る様にアレを見ていた、アレは彼女と昔つながりがあったのだろうか?
調べてみる価値はあるだろう



不思議な子である




           鴉



[16290] あの台詞には何度も踊らされた(4主)
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/02/18 02:10
―――『ラインアーク』
企業支配に反対する人々が作り上げた海上都市、自由主義の町
しかし、「来るものは拒まず」その思想の為か、反企業のテロリストなどの
巣窟になっている



「これは…ないだろ…」



俺はアブ・マーシュとその他数人の研究員と共にラインアークの橋の上をトレーラーで走行している
最初のうちはココで光が逆流とかするのか、と特撮モノの撮影場に行った
子供のような事を考えていた、だが――



一時間
橋は続いている



二時間
橋はまだ続いている






四時間
かゆ…うま…

長すぎるだろ、この橋…
この橋に来る為には数日要したが、外の景色を見ていてもその景色は毎度変わるので
飽きなかった

今は見渡すかぎりの海


なにもすることが無い、アブ・マーシュは引きこもってなんかしてるし
他研究員たちも代わる代わるの運転で疲れきっているため雑談できない



暇だ…

やることが無いのでフィオナと海水浴したいなー、AMIDA飼いたいなー、などと現実逃避することにした




――数時間後



「着いたぞ」

「――んんっ?」

ゆさゆさと体を揺さぶられる、どうやら寝てしまったらしい

「早く来いよ」

「解った、ありがとう」


寝ぼけ眼を擦りながら俺はアブ・マーシュにお礼を言った
『ラインアーク』、マップは橋だけである、コジマ脳を持つ者なら誰もが考えた筈だ、この先に巨大な都市があると


それが今、俺の眼前にあると言うのだ、見ない訳にはいかない、まだ鈍い動きで窓の外を見た、そこには巨大な柱が二本あっただけだった、恐らくPVP(プレイヤーVSプレイヤー)の初めに機体が乗っているやつだろう


あれ、都市は?巨大な都市は?

混乱しつつ、アブ・マーシュの方に視線をやると
携帯電話?みたいなものでどこかに電話しているようだった




―――ウィン



機械の作動音と共に巨大な柱から扉が出現、俺達はトレーラーに乗ったままそこに乗り込む



―――ウィン



また作動音、下がっていく感じがする、エレベータか?



――ガコン



十数秒後、軽い衝撃、着いたようだ、しかし、地下などで何をするのだろうか?
俺は疑問を抱きつつ、扉が開くのを待つ



――扉が開く



人、家、ビル、そこに海上都市『ラインアーク』はあった
なるほど、ゲーム中に水の中からでていたビルはココに繋がっていたのか

グレネードで面白がって破壊していたため多少の罪悪感と共に

これ、海上じゃなくて、海中都市だろ?

そんな事を思ったが、今は関係ないだろう、フィオナも輸送列車を輸送機と言って
プレイヤーを幾度も混乱の渦に陥れた事だし


ある程度車を走らせると、遠くに大きな人型が見えた

「凄い…」

それしか言葉が出ない、動いているのは初めて見る、重厚な装甲、堅実な実弾装備
GA製ノーマルAC、既に時代遅れとも言えるモノだがACはACだ
やはり凄い、俺はAMS適性がないからこっちに乗ろう、悔しくなんてない、ホントウダヨ?

ACを眺めていたら止められた、検問らしい

「なんの検問だね?」

アブ・マーシュは検問官にそう質問していた

「ラインアークに入る為に血液サンプルを採取させてもらう」

なるほど、サンプルを採取していればなんらかの事件が起こった時に便利だろう
でも注射は昔から苦手なんだよな…、献血とかも断ってたし

サンプルを取られ体の歳が若いだけに涙腺が弱いのか少し涙眼になりながら
依頼主のお偉方が居ると思われる建物に向かった。



[16290] この際プライドは抜きだ!
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/02/20 21:44
「依頼の内容を説明させてください…」

指示された部屋に入ってかけられた最初の言葉がこれだった
それを無視して椅子に座る、アブ・マーシュとそれに着いて俺は行く
うわぁ、気まずい、相手目を丸くしてるよ…

相手は気を取り直して、俺に目を向けてくる

「可愛い娘さんですね」

「「違います」」

俺も全力☆否定、もう相手がかわいそうになってきた

「君は部屋の外で待機してなさい」

1cを手渡される、前1cで平均的な家族が一ヶ月暮らせるって聴いたような…

「わかったよ、お父さん」

邪険にされたので少し悪ふざけをしてみたが反応がない、つまらん
部屋を出て、何か面白いことがないか散策することにしよう




――パァン

刹那、軽い銃声が響く

反射的に銃声がした方に走る、まったくスーツとは走りにくい
俺は服がなかったのでアブ・マーシュからのもらい物、俺の髪と同じ白色だ
露出は控えめ、中身が男なのでとても良いがスカートはやめて欲しかった…

走りにくさと俺の足の遅さが合さり、素晴らしく時間がかかり
現場に到着した時にはすでに人だかりができていた

話を聴くにどうやら訓練中に実弾が暴発、けが人はなし

まったく人騒がせな、引き返そうと振り返る瞬間、ある標識が眼に入った





―――[AC訓練施設 この先]





やる事が見つかった!







駆け出して、約三十分が経過

「ハァ…ハァ…、広すぎる…ぞ」


わき腹が痛いしワイシャツが汗で濡れて気持ち悪い

やっと着いた目的地、室内にあるとは、シュミレーションみたいな事をしているのか?
そっとドアを掛けて覗いて見る


そこにはが渦巻いていた歓声―熱風―

大きな画面にRLの初期機体に酷似している機体が二機戦闘をしていた
対戦できるのか?後ろの方で見ていよう

一方は小ジャンプもうまくできず、サイトロックもせずにただライフルを撃つっている
一方は明らかに戦いなれた感じ、OBを使った高速戦を展開しながらも熱量とENにちゃんと余裕があるし、的確な所でブレードを叩きこんでいる

「すげぇなぁ」  「あぁ、かないっこねぇ」

そんな会話が聞き取れる中に、一つの気になる言葉を聞いた

「さすがは国家解体で活躍した元レイヴンだな」  

元レイヴンだと?戦場にネクストが投入されてから、レイヴン課業は衰退の一途をたどり
もはや数が少ないだろう、当たり前だ、レイヴンACでネクストに挑む
それは死神の前にみずから進み出ると同意語なのだ
元がつくレイヴンもかなり少ないはず、国側は大量のレイヴンを雇い、企業に対抗したらしい、活躍したならもちろんネクストとも対峙しただろう、彼の可能性がある

観戦していた一番人の優しそうなのに声をかける

「ねぇ、今勝ってる方って、誰?」
「決まってるじゃないか、元レイヴンで、伝説とまで言われた人だよ」
こんな少女が何故ここに居るか疑問に思わないのか?どうやら画面に夢中で気付いてないらしい

伝説のレイヴンとまで言われているレイヴン、つまりは今戦っているの『アナトリアの傭兵』ってことかな?




『アナトリアの傭兵』
たった一機で企業を壊滅までに追いやったリンクス戦争の英雄





丁度良い、サインをして貰おう!

俺は圧倒的とも言える戦いを流し見しながら待つ

三分後、余裕そうな男と明らかに満身創痍気味の男がACコックピットに似せて作ってある装置から出て来た

俺は余裕そうな男に近づく、例えるならナイフのような人

「貴方がアナトリアの傭兵?」

「さぁ?そう言われていたこともあったような」
曖昧な返事だが違うとも言っていない、恐らく彼で間違えないだろう

「サイン下さい」










普通に貰えた、しかもやけに上手い…

思わぬ収穫を得たが、俺はこれだけでは終わらない!
本来の目的を達成する為に訓練装置に近づく
が、そこで止められた

「子供がこんな所にくるんじゃねぇ」

呼び止められたのはさっきまで満身創痍気味だった男

「少しくらい良いじゃないですか!」
俺は反論するがそれが男の勘に触ったらしい

「餓鬼が!!」

男の手が上に上げられる

避けられるか?無理だよなぁ、相手の拳は見えるがそれを避ける運動能力がない

覚悟を決め、目を瞑り衝撃に備える

一秒―二秒―三秒―来ない?

眼を少し開ける、そこに男の拳を受止めた彼の姿があった

「女、子供相手にグーはないだろ?」
彼は男の拳を握り潰さんとばかりに力を入れているのだろう、男の顔でそれが判断できる

スゲェ!ゲームや漫画の主人公みたいだ!主人公か!

「ま、子供がこんな所に居るのは俺も反対だが」

子供じゃないよ!中身は!!

「じゃあ、私がこの人にACで勝ったらココに時々来ても良いですか?」
俺は殴りかかってきた男を指さす

 周りからドッと笑声がする、当然か訓練してきた軍人にこんな少女が挑むのだから

「まぁ、良いだろうお前もそれで良いな?」

「あぁ、異存はねぇ」

対戦相手の了承を確認、よし、眼にもの見せてやる

「フィオナ、コイツをパイロットスーツに着替えさせてくれ」
彼はそういうと後ろの方から女性が出てきた、まだ若いかなりの美人

「!うん、解ったわ」
フィオナと呼ばれた女性は俺の手を引き、連れて行くことになったようだ




俺はテンションがかなり高い、まさか一日でバカップルに出会えるとは…

数回角を曲がった所で彼女は不意に止まった
そして彼女にこう言われた「逃げなさい」と

俺、今子供だからなぁ、でも子供って感情で動き易いものだろ?
あぁ、まったく子供だからしかたがない

「大丈夫だよ、フィオナさん」
俺は彼女の頭を撫でる、子供と話すときは相手の目と同じ高さにすると良い
それを無意識でやる、凄いよ、フィオナさん!


「必ず、必ず勝てるよ『俺』は」











パイロットスーツ、う~ん、なかなかマニアックだ
体が少し締め付けられる程度の圧迫間があるし多少ブカブカだがなんとかなるだろう
無論、着替えは一人でやった、フィオナさんは手伝おうとしたが断る

俺達は戻ってきている、フィオナさん、アレから何にも喋ってくれないな
怒らせてしまったか
彼女の方を見ると、笑顔を見せてくれたので笑顔を返す
内心かなり怖いです、怒ってるよこの人…女の笑顔には騙されないぜ!

他の奴らは賭けをやっている、俺とあの男どっちが勝つかだ
殆どが男の方に賭けている
俺は自分の方にアブ・マーシュから貰った1cを入れてから装置に入る

「へっ、負けても泣くなよ?」
「えぇ、逆恨みはなしですよ?」

受け言葉に買い言葉だ、扉が閉まり開始3分前を告げる

この隙に説明書を読むことにする

「これがブースターで右手武器使用、左手武器使用と武器切り替え」
よし、大体覚えた、瞬間記憶能力とも言うべきスピードで覚えられた
さすが若い脳は違う、前の俺の五倍くらい良い


残り十秒―画面が移る、ステージはアリーナか
残り五秒―深呼吸
残り三秒―軽く眼を瞑りそして開ける
残り一秒―準備体操完了





―――GO!

「Let's party!!」
俺の掛け声と共に機体のブーストを吹かす
相手はOBでライフルを連射しながら突撃してきた、そんなんじゃあこの先きのこれないぜ?アレでは熱量とENが持たない
俺は小ジャンプで後ろに下がり、敵弾を避けながらライフルで引き撃ちする

相手の機体が止まる、EN切れか
OB展開、懐に飛び込んだ所でブレードを振る
予定通りに足に命中、<敵、脚部損傷>AIアナウンスが成果を告げる

ここまで来れば一方的な戦闘

丁度だ、俺の訓練に付き合って貰おう

小ジャンプで相手の横に移動、試しに空中切りをする、成功
それで怒ったのか機体を動かし俺を捕らえようとする
甘いぞ!相手を軸に小ジャンプで円を描くように移動、サテライトも
問題なし

続いて接近、斬り続ける
「これは俺の分、これも俺の分、全部俺の分だァァ!!」
「なにふざけて、ぐぉ」

通信は相手にしか聞えないので少女のような口調を使う必要がない

「お前が泣くまで斬るのを止めない!!!」
テンション最高値、もう誰も俺を止められないと思える程に
前世で四六時中対戦していたのでかなり腕と自負している、大学のグループ内では
一番多く勝っていた

相手が動けぬまま敵APが0になったことを確認
それと同時に青色でWINの文字が表示される

汗を拭い出てくると皆、目を丸くして俺を見ている

見世物みたいで気分が悪い、俺は自分の服を取って早々とその場を後にした




―――4主

訓練を終え、フィオナの所へ戻る、全て何時もと同じ

その途中一人の白髪の少女に声をかけられた「貴方がアナトリアの傭兵?」と
警戒し曖昧な答えで返す、企業の連中は俺のことが邪魔と思っているはず
警戒を怠ってはいけない、例え相手が少女でもだ
彼女は自身の懐に手を伸ばす、少し身構える

次の瞬間彼女の口から出た言葉は俺の予想を遥かに上回っていた
「サイン下さい」

懐から取り出されたのはサインペンとノート
俺って子供にサインをねだられるほど国民的だったか?
一様、レイヴンになった最初の日からサイン練習は怠らなかったので上手く書ける

それを少女に手渡しその場を後にする

一歩 二歩 三歩

「子供がこんな所にくるんじゃねぇ」大声が後ろから聞える
面倒は嫌いだが、そっと後ろを振り返るとさっきまで対戦していた男が
さっきの少女に手を上げようとしている
無視しても良いが子供に泣かれると気分が悪いしフィオナに何言われるか解らない
軽く息を吸い、俊足ともとれる速さで男と少女の間に割り込み振り下げられた手を
掴んで少し力を入れる
「女子供相手にグーはないだろ?」

少女を庇うと同時に男の方の顔も立ててやる

「ま、子供がこんな所に居るのは俺も反対だが」
これで万事解決、世は全てこともなし

しかし、少女の方に視線を向けるといかにも不服そうな顔をしていた
人生の経験上から解る、絶対にコイツは余計な事を言う

「じゃあ、私がこの人にACで勝ったらココに来ても良いですか?」
少女は男を指さしながらそう言った

ほら、やっぱり、面倒な事になった…

ここはそれに乗ったふりをしよう
「まぁ、良いだろうお前もそれで良いな?」
「あぁ、異存はねぇ」
異存在ってくれ、頼むから!

「よし、フィオナ、コイツをパイロットスーツに着替えさせてくれ」
着替えると言う理由でここを離れフィオナにコイツを逃がしてもらう
完璧な計画だ、誰も子供一人逃げたからと言って責めるヤツは少ない
フィオナは少女を連れて更衣室の方へ向かうふりをする

こっちは暑苦しい男達が賭け試合にしようと活動中
無論、皆男の方に賭ける、賭けになってねぇ!

数分後、戻ってきたフィオナを見て俺は驚愕
あの少女が少し大きめのパイロットスーツに着替えて居た
しかも少女は自分の方へ賭けていた、1cという大金を
この賭け誰が儲けを払うんだよ!システム的におかしいぞ!!
これで負けたらあの少女は何されるかわからない、唯でさえ可愛い、八年後にはかなりのモノになっているだろう、俺が保障する

自分の預金額を確認、厳しい出費になりそうだ…

試合開始
男の方は初端からOBで接近、実戦では死にかねない行動だ
彼女は?棒立ちか明日の方向へ移動してない事を確かめる
冷静だ、怖いほど
さっきまで騒いでいた少女か?本当に

戦闘中の動きはランカー上位のレイヴンにも匹敵している、圧倒的技量の差


結果、一方的な交戦で終了


汗を拭いながら出て来た少女を俺も含めて呆然と見ている事しかできなかった
少女は恥ずかしそうに自分の荷物をまとめて急ぎ足で出て行く
なんだ?アイツは?少女への疑問は増えるばかり、だが唯一ついえる事がある、警戒すべき相手だという事だ

――――――――――――――


アナトリアの傭兵のサインをゲットした!
コンプリートまで後 40
オペ子さん・仲介人さん、サイン
コンプリートまで後 7




[16290] 心が折れそうだ
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/02/27 21:57
「こ、これは…」

あの後俺はアブ・マーシュと合流、ラインアーク側が用意してくれた
宿泊施設へ、大部屋ではなくそれぞれが個室だ、自分の部屋へ
運ばれた荷物も無視してシャワーを浴び
その後、かなり疲労がたまっていたのか直に寝てしまった


結論、髪を乾かさずに寝た 結果、寝癖が凄い

どうすんだよ、これ?前は機械が自動で手入れしてくれたが
ココにそんな便利なものは無さそうだ
髪は女の子の命!だが俺は中身が男、髪の手入れの仕方など全く知らない…



よし、無視しよう!
これも時がたてば何かのファッションの一部になるだろう、多分!!




髪をある程度整えて服を着替える、相変わらずのつるぺた、まぁ俺も小さな存在は
好きだが…自分のだし


そんな事を考えていると、ドアをノックする音が聞えた

「はい、少し待っていて下さい」

急いで新しいワイシャツを着てドアを開けた

「遅かったじゃないか…」

断じて興ではない、アブ・マーシュだ
確信犯なんじゃないか?最初といい、今回といい

何時に無く決心した感じがしたので気に留めないでおこう

「ついて来て欲しい場所がある…」
「はい、解りました」

どこに行くのだろうか?予定もないし興味もある、ホイホイ着いて行ってみるとしよう

俺は朝食にパンを齧りながらアブ・マーシュと宿泊施設を後にした







着いたのは昼過ぎ、移動はモノレールらしき物で行い、現在倉庫(?)の前に居る


ハッテン場やその他やばい物でないことを祈りつつ俺はアブ・マーシュに着いて行く

倉庫(?)に入る扉に警備が居た、俺が入るのを見て少し眉を顰めた様子だったが
アブ・マーシュと並んで歩いていたので問題なく入れた
中も中で厳重そのもの、カメラは到る所に配置してあるし指紋開錠式の扉まである
こんな所に何があるって言うんだ?

数回扉を越え、そこには黒で塗装された『ネクスト』があった


『ネクスト』
ノーマルACの次の世代、国家解体戦争においての企業側の主力
前世代であるノーマルACを遥かに凌ぐ性能を見せるが、AMS適性が
必要であるため非常に数が少ない


いやに淡々としてるじゃないかって?いちいち驚いてたらきのこれないぜ?この世界
ある程度予想してた
しかし、このネクストどんな戦闘したんだ?機体構成がわかり難い程ボロボロだぞ

胴体と頭パーツの尖り具合から推定するに03-AALIYAH(アリーヤ)だろう
フレームは歪み、巨大な弾丸が貫通した跡、高出力の何かが掠った跡などが
幾つも見られる
ゲームでは火花が散るだけのダメージ表現だが、ココが俺の現実って事を
思い出させる

「コレがそうかね?」

後ろから聞き覚えのない声
振り返る、白衣姿の三人の男が居た、その白衣の胸ポケットには社名ロゴがあった
『TORUS』とある


『TORUS』 
ACfa登場のオペ子さん、有沢社長公認の変態企業
「あんな物を浮かべて喜ぶか、変態共が!」「面妖な、変態技術者どもめ…」
何を浮かべたのかは自らお確かめ下さい


何故ラインアークに企業関係者が?アブ・マーシュは変態企業と合わせる為にココに連れて来たのか?というかこいつ等人の事をコレ呼ばわりしなかったか?

物扱いされて喜ぶヤツはいない、俺に向けられた言葉なのか確かめるべく
相手の目を見た

「なッッ」

明らかに俺を見ていた、物を見る眼で
怖い、草食動物が肉食動物に睨まれるとこんな感じではないだろうか




「あぁぁあぁ」



近づいてくる、怖い、俺は一歩体が勝手に下がる、相手が近づく、怖い、下がる
まるで本物の少女のように恐怖するしかなかった

気付くと後ろは既に壁、怖い 怖い 怖い 怖い コワイ こわい





「ぃゃぁぁぁぁ…」
小さく叫ぶと言うかコレが現在の喉の出せる最大の音量



白衣の男の一人が俺の首筋を触り、何かを確かめている

――十秒くらいだろうか?俺には一時間に感じたが

男は俺を話すと他の男二人と話していた、何時もならハッキリ聴き取れる筈の距離だが
上手く聞えない

「―――や―――り――」
「し――わ―――――も――」
「きた―――――ア―――――」




「ふむ、ありがとう、我がトーラスは貴方に協力しよう、アブ・マーシュ」

男達は俺に興味を無くしたようで無視、良かった…

アブ・マーシュの方は黙りこんでいたが、そんなことはお構い無しに話を続けている

「我々は本社へ帰る、必要な物は後日トーラス宛にメールで知らせてくれ」
そう言い終わるとガレージを出て行った




人形の用になっている俺にアブ・マーシュは一言「すまない」と










それからは良く覚えていない、気付いたら自室に居た
何だったんだ、今日の連中は…
考えるに考えられない、思考に霞が張っているようだ

「疲れた、異常な程に…」

今日はもう寝よう、着替えもせずにベッドに入る

「何かもう…」


「心が折れそうだ」


思考を沈めた












―――――――アブ・マーシュ





すまない、彼女にはコレでは足りないだろうが、謝罪の言葉は見つからない
今のラインアークの設備、技術では私の考える機体には届かない
そんな時だ、トーラスから接触があったのは
最初は何かの冗談かと思ったが、証明書を見せて貰い、尚且つコジマ技術にもかなり詳しく、信じてみる価値はあった
相手の条件はごく単純だったが私は肝を冷やす

「君は企業連の廃棄物処理場で何か…いや、誰か拾わなかったかね?そいつを私に見せてほしい」

私はその条件を飲んだ、彼女なら協力してくれると思ったからだ
甘かった…と、言えばそれまでになるだろう
結果として彼女の精神に多大な負荷を掛けてしまった



彼女には何か、安心でして頼れる者が必要なのかも知れない…『家族』のような

「お父さん」彼女に言われた言葉を思い出す
あの時は軽く受け流していたが…

「何を考えているんだろうな、私は」
らしくもない、自分でもそう思う





ただ、夜が更けていく




―――ラインアーク上層部



「この少女がそうなのか?」
手には白髪が特徴的な少女の写真がある

「はい、間違いありません、血液サンプルを調べた結果、反応がありました」

企業ではもはやAF(アームズフォート)が主力である為、リンクス戦争前
の様にAMS適性者を貴族からスラムに住むものまで調べ上げるなどと言うことは
していないが、ラインアークは違う
AFを製造する技術も物資もない、故に必要、リンクスが
血液サンプルを取るのは治安の為にもなるし、同時に人のDNAにも関連が
あるとされるAMS適性も調べられる

「さて、どうしたものか…」
相手は客人の連れ、手を出しにくい
企業のように拉致しまう手もあるにはあるのだが自由を歌うラインアーク
あまりしたくは無い、本人の了解が得られれば良い

「子供を説得するには、やはり女性か…」

一人、恐らくもっとも適してるいと思われる人物が居るのだが…



「彼女が引き受けてくれるか…いや、一つ手があった」





それでも五分五分と言った所だが試す価値はあるだろう



[16290] これが、私の
Name: 粗製◆44e097d2 ID:d989e560
Date: 2010/03/09 17:40
――アレから二週間くらいがたった、現在、俺は人間不信、引き篭もりの真最中


「ヤバイ、俺のフロム脳の想像力の限界に近づいてきた…」


この引き篭もり生活でしていたことは、初めに荷物の整理、貰い物の服が殆どなので直に終わった、興仮面は動物の剥製風に壁に掛けたのだが不自然過ぎたので机の上に放置

次はひたすらフロム脳を活性化させていた、主にゲイヴンネタを想像していたのだが
ネタが尽き、危うくリリウム×メイとかウィンディ×エイプールとか
そこら辺に走る所寸前の所だ、危なかった…

髪の寝癖の方は何度か無視してる内に合体して某運命の腹ペコ騎士王すら超えるくらい
たくましいアホ毛に成長している、予想どうり!ファッションになりました!!
これが私のドミナントだ、良く見ておくんだな!!!

さて、いよいよ何もすることが無い、テレビも企業の宣伝ばかりでバラエティーの
一つもない、ニュースは企業の隠蔽が露骨過ぎるくらいあり見るに耐えない
当然といえば当然なのだが…

[GA製ダンボールの提供は――]

リモコンでテレビを消し、ベッドの上で大の字に寝転がる

「寝ようかな…」

夢の中に退避すれば後二週間は戦える、と思う




―――――扉を叩く音



面倒だ!無視、居留守に限る


扉の向こうから「ねぇ、居る?」と女性の声

おぉ、この淡く切ないオペレート声はフィオナさんじゃないですか!?
紳士として恥ずべき行為をしてしまった!

下着にワイシャツの寝巻き姿だが、まぁ顔だけ出して話してれば問題ないだろう

「はい、ご用件は?」

少し扉を開けて覗くようにする

「えっと…!!」

何か言いかけてフィオナさんは俺のアホ毛を凝視していた
そりゃあそうか、前は無かったからな

「寝癖をほっといたらこんなになりまして」

とりあえず、こうなった経緯を説明しておく


「!!一緒に来なさい!」
「――――え?」

部屋から引きずり出され、俺を何処かへ連れて行こうとするフィオナさん



ちょ、ちょっと待って、せめて着替えさせてくれ!頼むから!!












なんとか準備させてもらい、今はフィオナさんの部屋に居る
お嫁に行けなくなる所だった、行く気も無いけど


それで何故かフィオナさんとシャワーに入る事になりました

ば、罰ゲーム?いや、ご褒美と捉えるべきか?

「いや、服くらい自分で脱げますから」


脱がそうとするフィオナさんを止める、子供じゃないから、見た目そうでも
どうやらこうなる運命らしい、観念しよう

近くにあったタオルを体に巻き、嬉しさ半分諦め半分シャワールームへ


ミッション開始!







無修正だ、修正が必要だ>⑨







ミッション終了!


アホ毛は直らなかった、流石私のドミナントだ、何ともないぜ!
俺はすっかりのぼせていた、シャワーなんて俺は二十分くらいしかかからないのに
二時間って…後ろはなんか柔らかかったし



「直らないわね…」
まだ方法を考えているらしい、もう良いのに

「あの、最初に言いかけてた事ってなんですか?」
またシャワー二時間コースを避けるために話を逸らす

「あっ…」
忘れてたのか、女性って解らない…


「うん、ハッキリ言うね…貴女に」


俺に?ただの少女の俺に何の用かな?


「貴女にAMS適性があるらしいの」
「はい?」
予想外、確かにあの時反応なしだったのに、復活か!?『俺無双』計画!ハラショオォオ!!!

「だからね、精密検査させて欲しい…」
そう言う事は早く言って欲しかった、アホ毛に気を取られずに


「はい、喜んで!」







それから病院みたいな所へ移動、全身ドックから血液検査まで
ありとあらゆる検査を行い宿泊施設へ帰された



まさか諦めかけた夢がココに来て復活するとは…
漲ってきた!!







――――――ラインアーク上層部


「反応が曖昧だと?」
「はい、原因は不明ですが」


どういうことだ?規格外のオーメルの寵児でさえこんな事は無かったと聞くが


「それと、彼女は既にかなり異型ではありますがAMS手術を受けています」
「既に手術を?それに異型とは?」
適性があることにも驚いたが、さらにまだあるのか…

「詳しいことは全く解りませんが、私の知るAMS装置とはかなり違いますね」


ただの少女であればリンクスとして雇う形をとれただろうが、怪しすぎる
その扱いをどうするか…
あまり時間は残されていないが、もう少し検討する必要があるだろう




[16290] 閃光の産声 (前編)
Name: 粗製◆7620d800 ID:d989e560
Date: 2010/07/10 07:58
ラインアーク某所

一台の輸送車両が徐々にスピードを落としていく、装甲やガラスに焦げた後や
ひび割れがありその姿はまるで戦場を突破してきたかのようである

「くそ!あちこちボロボロだ、新車なのによう!」
続けて「あのスラム街の糞野貧民共が!!」と吐き捨てるように運転している男が言った

「その台詞は何十回と聞いた、命あってのなんとやら、だ」
その言葉を聞いて助手席に座っている男が溜息混じりに言う
彼らは運び屋である、報酬が割に合えば戦地へ弾薬を運ぶことも犯罪に加担することも
厭わないのが彼らだ

元より今回の仕事はきな臭かった
依頼主は企業、目的はラインアークへの物資提供、報酬もこれまで見た事も無い額
怪しいとは思ったが目の前の餌はとても魅力的だった。
結局、彼らは二つ返事でそれを受け、使い込んだ愛車を現企業も使っている新車に変えて
鼻歌を歌いながら意気揚々発進した。
危険があるとしても所詮スラム街、奴らが何を持っている?どうせ原始的な武器か拳銃
程度が関の山だろう、そう楽観視していたのだ。

彼らのそれは脆くも崩れ去ることになる、待っていたのはまさに『火と鉄の雨』
四方八方からのロケット弾と鉄鋼弾の洗礼が彼らを待ち受けていた。



(本当に命が在って良かったぜ)
思い出すだけで背筋に冷たいものが走る

「でもよう、ありゃ一般人の動きじゃなかったぜ?」

彼らも無駄に戦場を幾つも駆け回った訳ではない、素人と玄人の動きの差などは遠目で
見てもわかるし、素人が仕掛けたような罠にかかるほど間抜けではない

「あぁ、俺もそれは気付いた、錬度がリリアナなんてレベルじゃなかった、恐らく企業の部隊だろうな」
助手席の男は溜息混じりに言った


「俺達が運んでいるのは企業の荷物だろ、なぜ襲われる?」
「ちったぁ頭使え、単純バカ」

助手席の男は「これは推測だが」と一言、それから喋りだす
ラインアークの扱い方で企業は割れている、その原因はあの『リンクス戦争の英雄』
彼はたった一人で企業を潰した英雄だ、ヘタに手を出せば噛まれかねない
故にご機嫌を取っている連中とそれに反対する連中が居るのだろう、と

「だが奴はリンクスだろ、ラインアークにネクストなんてあったか?」

ネクストが無いリンクスなど一般人と大差ない、実戦に慣れていたとしても
企業を止める力は無い

「機体と一緒に来た可能性だってある、試してみるにしてもリスクが多すぎるだろ、
お偉方は不利な賭けは好まないもんだ。それに…」

「あの噂か…」

数週間前から真しやかに囁かれている噂がある

曰く、ラインアークがネクスト技術を研究している
曰く、リンクスも既に何人か居る

何所まで本当なのかは不明なままだが、あるアーキテクトがラインアークに入った
と言う事はネクストに関する何かをしているのはまず間違いない


「っと、目的地到着だ」

目の前の巨大な倉庫らしき建物と後ろのコンテナをドッキングさせ、一呼吸いれる
後は機械が勝手にやってくれるので終了まで待機だ

「さっさと帰って冷たいので一杯やらないか?相棒」
「あぁ、家まで安全運転で頼むぞ」



―――御互いに笑い合いながら彼らは帰路についた







建物の中、輸送して来た荷物、何十にも検査され危険がないと判断された
荷物だけが入る倉庫内、動くはずの無い『物』のなかに一つ動く『モノ』
があった

「どおぉりゃああぁあ」

幼い声と共にGAとロゴが入ったダンボールが勢い良く開く
出てきたのは白い髪が特徴的な少女

「ふぅ、侵入成功か案外呆気ないな」

少女は外見から見る年齢に見合わないほど落ち着いて―――

「じゃあ、行こうか。ホワイト・グリントを見に!!」


―――はいなかった





俺が聞いたラインアークがネクストを作っていると言う噂
なぜこんな重要な事を忘れていたのか、灯台下暗しとはまさにこの事だろう
場所は恐らくは前に行ったあのACガレージだろう、あまりいい思い出は無いがそんな重要なことが在るならACファンとして見に行かなかったら肥溜めにぶち込まれてしまう。
しかし、入るのは無理、警備が厳重すぎるし、幾つかの治安が悪い地域も通らなくてはならない。
殆ど手詰まりの状態だったが某蛇のマネをしてコンテナに紛れ込んだら入れた、恐るべき!ダンボール!!(ダンボールは宿泊していた施設の物を拝借)


廊下を進む、外に警備が集中している為か中は驚く程手薄だ
歩いて進んでいく、すると一室から聞き覚えのある声が聞えてくる、気付かれないように忍び足になり近づく

「機体改修ってレベルじゃねぇぞ!!」
「OB(オーバードブースト)が複雑すぎる、じょ、冗談じゃ」
「QB(クイックブースト)の出力が足りねぇ、おい、誰か助けてくれ!」
「助けるつもりなど元よりない…!」

見覚えのある白衣、共にラインークに来たアブ・マーシュの弟子達だ
皆、書類やパソコンらしきものと睨めっこしていた、例えるとしたら締め切り
直前の漫画家が近いのではないだろうか、表情が皆かなり参っている



「そういや、あの娘(こ)どうしてるかな…」
唐突に弟子の一人が呟く
「あの娘…あぁ、先生が連れてきた」
その呟きを聴いた弟子が反応しそれが回りに感染していく、俺を肴に彼らの談笑が開始された


「可愛かったけど、俺はもう少し育っている方が好みだ、特に胸」
「同感だ、可愛いんだけどもう少し欲しい、特に胸」
「いや、俺はあれ位の方が…」
「お前、先生が聞いたら殺されるぞ…」
「かまわん!小さな存在こそ全てだ!!」

そんな談笑が聞えてくる、ハハハ、少し頭に血が上ってきたぞ

「そういや今回のネクスト、先生はあの娘を見て閃いたとか」
「実は先生はそっちの人なんじゃないか?」
しばらく身を潜めて聞いていると談笑に混じってとんでもない事が聞えてきた

「あ、えっと、へ?」

あれ?俺ってとてもヤバイ人のお世話になってるのか?いやそんなはず…
思考が固まると同時に足が自然に下がり部屋から離れようとする

「おい、お前!!」
「ッ!」

見つかった!声と逆の方を向き走る、しかし足幅が違いすぎる為か
グングンと距離が縮まっていく、打開策を考えながら走る、とにかく走る


――――ヤバイヤバイヤバイッ!!!

急に走りだいしたお陰で呼吸が整わずスタミナの消費が思った以上に早い
息が荒れ、思考が鈍くなる、限界が近いだろう、途中に積んであった荷物を崩し時間稼ぎをする

「また俺をコケにしやがって!」

男の罵声が遠くから聞えた。少し距離を離すことに成功、曲がり角を進むと男性二人、その脇を走り抜ける、はずだった



「―――のわっ!」
腕を引っ張られ後ろに倒れそうになったが腰の辺りを支えられ倒れずにすむ
腕を引っ張り尚且つ今俺を支えている相手の顔を確認すると同時に相手から一声

「お前がどうしてこんな所に居るんだよ…」
彼は『アナトリアの傭兵』は呆れながらそう言った


「あ、えっと――」
現状は酷く不利な状況、追いかけて来る男はもう十五秒くらいで此方に来るだろう
こんな所で話している場合ではない、しかし話さなければ彼は手を放してはくれ無そうだ
――考えろ、考えろ!全フロム脳を総動員!!総監督マシーンよ!俺に力を!!!



「――小さな存在好きの変態に追いかけられていて、助けて下さい!」
この際、何もかも抜きだ!WG(ホワイト・グリント)見るまで捕まる訳には
いかないのだ、許せ…

「そうか」
彼はそれだけ言うと俺が走ってきた方を向く、そして静かに拳を構える
足音が近づいて来る、彼は深く空気を吸い
角から人影が飛び出ると「ハッ!」と言う声と共に彼は拳を繰り出した。
男に見事に当たり前のめりに倒れる

「アリャー…」
つい、同情の声が出た
「やっちまったぜ」
彼はお茶目にそう言った

狙ったかは定かではないが当たった場所は男として絶対に守らなければならない場所
即ち、脚部射突型ブレードに見事に直撃、結果、男は口から泡を吹きながら気絶


「恨むなら変態な自分を恨めよ」
彼は気絶した男にそう呟いき、俺の方に向きなおる

「お前に負けてかなり悔しそうだったからなコイツ、まぁ許してやってくれ」
俺に負けた?男の顔をじっくり見る。あぁ、シュミレーターで戦ったAC乗りか!
あの時はついつい本気を出してしまった、反省はしている。ホントウダトモ

「一人行動は避けろ、あのアーキテクトの側に居た方が安全だ。連れてってやるから来い」
「いやでも、お客さんを待たせるのもどうかと」

彼の後ろの男を見る、どことなくだが『アナトリアの傭兵』と同じ感じがする
鋭いナイフのような、感じだ

「老人は気にせず好きにするといい、待つのは慣れている」
聞き覚えのある声、しかし顔は知らない誰だろうか?そんな事を考えている内に彼にグイグイと引きずられていた

「自分で歩けますから放して下さい、苦しいですよ…」
「こっちの方が早い」

引きずられて結局つれていかれる事になった






「何をやっている、お前は…」
声からでも怒気が分かる声でアブ・マーシュが言う

これまでの経路
アナトリアの傭兵は俺をアブ・マーシュの部屋に放り込んで帰った
そして現在、正座をして説教されています、足痛い…

「だいたいお前は無茶をしすぎる!」
「はい、反省しております…」


「どうしてこんな無茶をしたんだ!」
「えっと、その…」
怒気に圧されて声が小さくなってしまう

「はっきりと言わないか!!」

もう自棄だ、言ってしまおう、なにより足がもう持たない、かれこれ三十分も経つ

「ACを見たかったんです…」
「ACを?」
「はい…どうしても見たかった、貴方の機体だけは…ごめんなさい」

諦めるよりなさそうだ、それに今回は多少迷惑を回りに掛け過ぎた、今度はそれを反省して
見に来るとしよう

「まぁACは私も好きだ、そのなんだ、来い」

ゴホンと咳払いをした後手招きをされたので付いて行く、許しては貰えたようだが
恐らく帰されることになるだろう。

廊下を二人で歩く、中々に気まずい空気だ。他に人が通れば良いのだが
生憎此処は人が少ないらしい、無言と言うのが気まずいのだろう何か話題を作ろう

「好きなんですね、AC」
「ん、あぁ好きと言うより『思い入れが深い』と言った方が私の場合は的確だろう」
「思い入れですか…聞いても?」
「長くなる、別の機会に話そう。お前は何故ACが好きなのか?」

上手く流されてしまい、俺にカウンターがきた
ACがなぜ好きか…一言でいうとロマンかな、自分だけのアセンを組み『嫁機体』を作る
まさに男の子のロマンそれがACだと思う

「なんとなく、ですかね」
ロマンだよ!なんて言う少女は少しアレなので曖昧に返しておく

「なんとなく、か、深く詮索はしないでおこう」
「そうして頂けると助かります」

そんな話をしている内に厚そうな扉の前に、アブ・マーシュはその横の装置に
自分のIDカードを入れる、途端に上のランプが赤から青に変わった

「あと少しだ、来い」
「はぁーい」


名残惜しいが仕方が無い、見れるものがあるんだ、見れないものもあるさ


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