2010年5月12日 11時12分
【ワシントン斉藤信宏】11日の米ニューヨーク市場は、ギリシャなど欧州諸国の財政悪化への懸念から投資家のリスク回避の動きが強まり金先物相場が急伸。指標となる6月渡しは、前日終値比19.50ドル高の1オンス=1220.30ドルまで上昇して取引を終えた。昨年12月3日につけた終値ベースの史上最高値(1218.30ドル)を約5カ月ぶりに更新。その後も時間外の電子取引で一時、1235.20ドルと取引途中の最高値をつけた。
欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の国債購入を決めたことで、ユーロに対する信認が低下。インフレ懸念も台頭し、安全資産である金先物に投資資金が流れ込んだ。
株価は反落し、ダウ工業株30種平均は同36.88ドル安の1万748.26ドルで取引を終えた。前日の勢いを持続できず、依然として欧州危機への不安感が残っていることを裏付けた。欧州連合(EU)のユーロ防衛策について「南欧諸国の財政リスクをユーロが引き受けただけで、問題の先送りに過ぎない」(米エコノミスト)と厳しい見方が大勢を占めた。