早期再開に7割不安 都農町農家アンケート

(2010年7月10日)

 口蹄疫ですべての牛や豚が殺処分となった都農町は、町内の畜産農家を対象に実施した経営再建へ向けたアンケート調査結果を9日までにまとめた。

 7割が経営再開の意思を持つ一方で、その半数が経営規模の縮小を考えていることが明らかになった。調査時点で県が目指していた8月からの経営再開には、感染再発への不安を理由に7割が「早い」と回答。ウイルスに対する恐怖が根強く残っていることが浮かび上がった。

 アンケートは6月中旬、全193戸を対象に実施し、124戸が回答。感染終息後の経営再開の可否や、再開する上での不安、再開時期などについて質問した。

 「経営を再開するか」の問いに「はい」と答えたのは71%。このうち、再開後の経営規模については半数が「これまでと同じ」と回答したが、残りは資金面や後継者問題で「半分」や「半分以下」と縮小する意向を示した。再開後の不安として、優良雌牛の確保や運転資金のほか、市場価格の動向を挙げた。

 一方、経営再開に「いいえ」と答え、廃業の意思を示したのは25%。大半は小規模の高齢農家で、町産業振興課は「生きがいとして牛を育てていた高齢者の精神的なケアも必要」と見る。

 県が示した再開時期について72%が「早い」と回答。理由として「ウイルス残存が怖く心理面で無理」「あまりにも短時間で危険性が高すぎる」などが目立った。安全面の保障や感染経路の徹底解明をはじめ、万全な体制が整わない中での再開時期の設定に疑問の声が相次いだ。

 国や県に対する要望では、補償面や地域経済への支援のほか、今回の経験を基にした新たな防疫指針の策定を求める意見も複数あった。

 同課の酒井雅彦課長は「25%の農家が廃業せざるを得ないという事態を重く受け止めている。その方々の無念を無駄にしないためにも、さらに優れたマニュアルづくりを国や県に求めていきたい」としている。