激戦とされる参院選鹿児島選挙区(改選数1)に8日、民主党代表の菅直人首相と自民党の小泉進次郎衆院議員が、それぞれ両党候補の応援弁士として入った。二大政党の「顔」が同時対決した形となり、選挙戦は一段と熱を帯びた。
「私は山口生まれ。みなさんと『薩長同盟』を組んで政権交代の第二幕を始めたい」。菅首相は正午すぎ、鹿児島市中央町のJR鹿児島中央駅前でマイクを握り、大きな身ぶりで「サミットでオバマ大統領との信頼関係を築けた」「宮崎の口蹄疫(こうていえき)は拡大を何とか抑え込んだ」と、就任1カ月の実績を強調した。集まった聴衆は2千人(主催者発表)。日傘を手に聞き入り、演説後は菅首相との握手に殺到。「仕事場を確保して」と“直訴”する人もいた。
小泉氏は午後1時20分、同市の繁華街の天文館に登場。「これだけ集まって、わっぜえ(すごく)うれしか」と鹿児島弁で切り出すと、沿道を埋めた約7千人(主催者発表)から「進ちゃん」と声が飛んだ。祖父が南さつま市出身で「鹿児島の血が入っている」とアピール。父親の小泉純一郎元首相譲りの語り口で「民主政権をチェックする強い野党になる」と訴えた。鹿児島市谷山地区と姶良市でも演説し、どこも聴衆にもみくちゃにされる人気ぶりだった。
両党は接戦が伝えられる鹿児島選挙区に、閣僚級の応援弁士を続々と送り込んで、テコ入れに懸命。ただ、多くは菅首相や小泉氏も含めて、有権者の反発も強い消費税の増税問題などには触れていない。
鹿児島市宇宿の会社員佐土原誠さん(25)は「知名度だけで応援に来るのではなく、中身のある話を聴かせてほしい」と不満げだった。
=2010/07/09付 西日本新聞朝刊=