− 私が医療に対して不信感をもつ理由 − 

 
イレッサという肺ガン用の抗ガン剤での副作用で124人の方が亡くなっています。そのことについて厚生労働省 は「これまで日本でイレッサを服用した患者は推定1万9千人で、副作用の発症率は2.6%。ほかの抗ガン剤と比 べて高くない」(朝日新聞・2002年12月26日付朝刊)と述べています。イレッサという抗ガン剤で124人が亡く なっているから騒いでいるのに「ほかの抗ガン剤と比べて高くない」と平然と言っています。これには呆れま す。ほかの抗ガン剤の副作用と比べて死亡者数はほぼ同じだと言及するということはイレッサを短時間で認可 した厚生労働省の判断の誤りを反省するどころか正当化する発言です。確かに抗ガン剤はガンに対しても有効 かもしれませんが、ガン以外の正常細胞に対しても有効に働きます。正に猛毒です。そのことを証明するかのよ うな話を活性酸素とSOD研究では世界的権威の土佐清水病院院長 丹羽 耕三氏が『致知』(2001年8月号)のイン タビューの中で話されています。「ぼくは自分の療法を確立する以前、多くのガン患者さんを診てきました。 直接ガンでは死んでいない。直接の死因は全員抗ガン剤の毒性だったのです。」ガンで死ぬが早いか抗ガン剤 で死ぬが早いかです。『患者よ、がんと戦うな』(文芸春秋)でお馴染みの近藤氏は有効性のある抗ガン剤治 療は1割だといわれています。1割の有効性しかないものをほとんどすべてのガン患者に抗ガン剤治療を行って います。胃ガンには抗ガン剤はほとんど必要ないにも関わらず抗ガン剤治療がおこなわれています。「胃の粘 膜内がんの場合には、術後の再発率は0.7パーセント程度しかないのです。(「胃と腸」二八巻三号一七三頁、 九三年)。0.7パーセントといえば、千人のうち七人です。したがってその七人のために、千人全員が抗がん剤 治療をうけ、全員が副作用で苦しみ、十人や二十人が副作用死するという計算になるわけです。」 (『患者よ、がんと戦うな』近藤 誠著・文芸春秋・P.48) そして「抗がん剤の副作用で死亡した人も手術の合併症で死亡した人も、死亡診断書のうえでは、日本には存 在しないはずです。」(『患者よ、がんと戦うな』近藤 誠著・文芸春秋・P.55)このように抗ガン剤が原因 で死亡したり手術の合併症で死亡しても死亡診断書には書かれないということです。このようにして医療側の 失敗が隠されるために民間療法のような代替療法よりも現代医療の方が安全と思われている一因になっている ように思います。
「以前から癌の手術の成功を民衆に知らせて貰うのなら、医者の集団から癌を一掃して見て呉れ、それなら民 衆も成功を信じるだろうし、患者も争って癌の手術はおろか、検診だって受けるだろうと書いた。実は医者自 身が駄目なものは駄目と知っているのに、駄目でないと思いこもうとして、悪あがき(といっては言葉が過ぎ るかも知れないが)としての、手術をしているのである。」(『患者にいえないホントの話』 柴田二郎 著・ 新潮社・P.172)

漢方など東洋医学では「万病一元血の汚れ」といって血の汚れが病気の原因として血をきれいにする療法を行 っています。原因のハッキリしているものならどのように治療をすれば治るかがわかりますが、原因のわか っていない病気は治すことができないから対処療法だと私はいっています。「人を救うために医学を学んで知 識が豊富になっても、医者が長生きとは限らない。そもそも、病気の原因についても分からないことが多すぎ る。心臓のバイパス手術を受ける患者は『なぜこんな病気にかかってしまったのか』と理由を知ろうとする。 『動脈硬化が原因で心臓の血管が詰まったのです』と説明すると、『動脈硬化の原因は何ですか』と質問が続 く。厳密に原因物質が特定できているわけではない。たばこを吸っても動脈硬化にならない人もいれば、吸わ なくても心筋梗塞になる人もいる。実際のところ、『危険因子』だけでは合理的な説明がつかないのだ。」 (『カルテの余白・心臓外科』 心臓外科医 南淵明宏著・2003年1月18日付朝日新聞朝刊)ほんとうに謙虚さと 自信のあるしっかりとしたお医者さんはこのように「原因はわからない」とハッキリ言われます。私も以前、 コラムに現代医療は原因も分からないのに治すといって治療をしていると書きました。原因が分からなければ 根治させる治療はできないはずです。実際に車や時計など機械の修理は原因がわからなければ修理ができませ ん。原因のわからない故障をとりあえず直しておくのは応急処置と言います。しかし、今の医学は原因の分か っていない病気でもいかにも治せるかのように言っています。先ほどの心臓のバイパス手術は原因を取り除い ていないのですから応急処置(対処療法)です。原因は血を汚す食事や化学物質を体に取り込んでいることで しょう。現代医療がしているような病気を根治しない応急処置的治療を民間療法が行っていれば何と言われる かわかったものではありません。「治せもしないのに治すように言った」として、たぶん詐欺行為をしている と言われることでしょう。でも医療機関で行っている分にはだれも詐欺とはいいません。「現代医学でも治せ ないのだから仕方がない」と思って諦めてしまうのが関の山です。南淵医師がコラムの最後にこのように書か れています。「私が大切にしている言葉がある。『知不知(知らざるを知る)』=自分が知らない、知識がな いということを自覚すること。『知未知(いまだ知られざるを知る)』=誰もその答えは知らないという事実 を認識すること。『知無知(知らるるが無きを知る)』=『生命の仕組み』など、地球上のだれも想像すらで きないような概念があることを認めること。」 (『カルテの余白・心臓外科』 心臓外科医 南淵明宏著・2003年1月18日付朝日新聞朝刊)この南淵医師のよ うな謙虚さをすべてのお医者さんに持ってもらえたら医療はきっとよくなると思います。
「問題なのは、実力のない人ほど、頑固で、プライドが高いこと。」 (『変な人の書いた 成功法則』 斉藤一人 著・総合法令・P.70)

2003年1月29日に『医者のぼくが「医療常識」を信じない理由』(永井 明著・講談社+α文庫)という本を買 いました。その本にこのように書いてありました。「人間のからだというやつは、ほんとうに不思議です。い ちおう医学的な説明はできますが、それから逸脱することもいっぱい起こるのです。同じ病名がついていても、 その病状経過は人によってほんとうにさまざまです。また、たとえば『無脳児』としてうまれてきた子どもが、 ふつうの子どもたちといっしょに生活できたというケースが以前報告されていました。大脳皮質がほとんどな いにもかかわらず、生存し、それのみならず保育園生活を楽しんでいる。これは医学的にふつう考えられませ ん。そして、これほど極端な例でないにしても、医療現場には説明のつかないことは掃いて捨てるほどあるの です。人間のからだや心、そして病気を、常識に縛られた固定した点としてではなく、いつも流動する幅をも ってとらえてほしいと思っています。」まったく、その通りだと思います。以前、私は「『事実は小説より奇 なり』と言います。宇宙や地球、自然や動物・人間は神秘です。分かってないことの方が多い。何が起こるか わかりません。」(『15020 非常に誤解と偏見があると思われ、企業の姿勢に疑問を持ちます。 眼科医では ない医師 2003/01/09 00:52 について』桧垣史郎著・小社ホームページ)と書きました。そして南淵医師も同じよ うに「地球上のだれも想像すらできないような概念があることを認めること。」と言われています。このよう に生き物や自然の神秘や力というものは偉大で人間は小さな存在だと謙虚に思っているお医者さん達はこのよ うに発想されます。しかし、あたかも自分たちがこの自然や生き物をコントロールできると思っているおごっ たお医者さん達はすべての病気は治せ、コントロールできると思っているのではないでしょうか。「体内にな んらかのトラブルが生じたとき、ぼくたちのからだは、自動的にそれを元の健康な状態に戻そうとします。こ れがいわゆる『自然治癒力』です。お医者さんの仕事は、薬や手術といった手段を使い、この自然治癒力をい かに引き出すか、あるいは後押しするかということなんです。からだが回復するのに一〇の力が必要だとする と、自然治癒力が八か九、お医者さんにできるのはせいぜい一か二くらいでしょう。それを、どこでどう間違 ってしまったか、現代医学は、自然治癒力など無視した格好で、病的状態の一から一〇まですべてを『医学の 力で治す』という感じになってしまっているように見えます。」(『医者のぼくが「医療常識」を信じない理 由』 永井 明著・講談社+α文庫・P.23)今の医学はすべてを治せるとおごった考え方をしているから「手術 をしなければ助からないように説明(脅迫)し、99%手術は成功する」と言い切った手術が不成功に終わり患者 さんが亡くなった(これは私の知り合いに実際に起こったことです。)という場合でも自分たちの完全無欠の 医療という幻想を守ろうと失敗や医療ミスを隠す隠蔽体質になってしまったのではないでしょうか。もう少し 医療はまだ不完全なものだと謙虚になってもらえたら今の医療はもっとよくなるように思います。私の知り合 いに起こったこととほとんど同じことが新聞に載っていました。脳動脈瘤になった兵庫県の65歳の女性と家族 に「明日にでも破裂するかもしれない」といい「破裂を未然に防ぐ手術もできると説明される。」と手術を勧 め「破裂の危険性に比べれば手術の危険性の方がずっと低い」と説明し「破裂を心配しながら暮らすか、手術 を受けて安心して暮らすか、選ぶのはご本人と家族だと医師に言われ」手術をすることを選んだそうです。し かし、手術をしてみれば、右半身麻痺、言葉が喋れなくなり、2年経った今でも自分で起きあがることもできな いそうです。そして家族が術後に手術を行った執刀医から「手術をしなければよかった。破裂の可能性は1.2% だった」と聞き、やりきれない気持ちになったそうです。(『天声人語』朝日新聞・2002年9月22日付朝刊) 「6大卒の医系職の方、それから6大に準じる知識をもっている薬剤師さんにご相談ください。なぜ、そのよ うな方かというと、それらの方は医学・生物学に関する高度教育を受けていて、」と眼科医ではない医師さん がいわれているように官僚などのエリートに見られがちな傾向として「自分たちは失敗するはずがない」とい う思いこみがあり、自分たちのしたい治療法を強要する。もしも、失敗すれば隠したり患者の体力の弱さなど を原因にしてでも自分たちの失敗を認めようとしない。この傲慢さが嫌なのです。
「人間のやることだから完璧なことはあり得ない。しかも医療などというものは、医者という不完全な人間が、 不完全である患者という人間に直接手を下す行為である。」 (『患者にいえないホントの話』 柴田二郎 著・新潮社・P.172)

竹中大臣は大学で教鞭を執っておられた経済の専門家です。外国の論文を含め多くの文献や論文を読み、日夜 経済のことを勉強されていて、超がつくくらいの経済の専門家ですが、今の経済政策(根拠)に多くの人が反 発しています。専門家のいっていることは正しいのなら何故、竹中大臣の行われる政策に黙って従わずに反発 するのでしょうか。専門家のいうことは正しくて私のような素人(大臣のほとんどは専門家ではありません) のいうことは間違っているので黙るようにと私を攻撃されている方々は当然、竹中大臣のことを批判などはされ ていないでしょうが、竹中大臣の政策を批判している政治家や国民をどのように思っておられるのでしょうか。 「経済の専門家ではない政治家や国民は黙れ」と素人の私を攻撃されたように専門家のすることに反発してい る政治家や国民を攻撃されているのでしょうか。経済の専門家がテレビなどで経済に関する議論を戦わせてい ますが、それぞれの意見が違います。専門家の言うことをよく「机上の空論」といいますが、あくまでも机の 上での計算で、必ずしもその計算通りにはならないということです。私を攻撃されている人たちは、文献や論 文をよく読み、理解力が優れている専門家は間違うことは絶対にない人のように絶賛されていますが、専 門家のすることだからといって必ずしも正しいとはいえません。そのことは専門家のあなた方が一番よくご存 じのはずです。

「専門家も間違う」ということを謙虚に認めず、自分だけは正しいと思う専門家のおごりがすべてをおかしく しているのではないでしょうか。
私は現代医療のすべてを拒否しているわけではありません。いいお医者さんもたくさんおられますし、医療技 術も日進月歩で進歩しています。しかし、今の医療の一部には「自分たちは絶対なのだ」という「傲慢」とい う二文字があることは確かです。その絶対を守るために自分たちの得意とする治療法を強要し医療ミスが起こ ればそれを隠すためカルテの改ざんなどが行われています。それが嫌なのです。そのことが私の医療不信とい う感情を生んでいます。自信は必要ですが、傲慢さは不要です。
「病気のことは俺たちだけが判っていて、患者なんかは(或いは一般人などには)判ってたまるかと言いなが ら、医者本人がバタバタと癌や心筋梗塞や脳出血で倒れて行っても、その態度を変えない『医者の傲慢さ』が あることだけは間違いない。」(『患者にいえないホントの話』 柴田二郎 著・新潮社・P.166)



エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
2003年2月
 
 
 
引用・参考文献
『イレッサ 副作用死亡124人』 朝日新聞・2002年12月26日付朝刊
『致知』株式会社 致知出版社・2001年8月号
『カルテの余白・心臓外科』 南淵明宏著・2003年1月18日付朝日新聞朝刊
『変な人の書いた 成功法則』 斉藤一人 著・総合法令
『エコロジカルな掲示板』エコロジカル・ヘルシーショップ三友掲示板
『医者のぼくが「医療常識」を信じない理由』 永井 明 著・講談社+α文庫

『天声人語』朝日新聞・2002年9月22日付朝刊
『患者にいえないホントの話』 柴田二郎 著・新潮社

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