海大臣二〇〇九	ことしの海苔は、三種類。
   
おまたせしました、ごちそう海苔「海大臣」、入荷です。

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「海大臣」そもそものお話
海大臣のふるさとと、育ち
3種類の「海大臣、味のちがい」
つくりたてで、お届けします
おいしく食べました、のメール紹介

「海大臣」そもそものお話。

築地「林屋海苔店」と「ほぼ日」の
コラボ商品。市場には、出回りません。

築地で創業60年を越える「林屋海苔店」の三代目、
相沢裕一さん。
「ほぼ日」が信頼する、海苔の目利きです。
いっしょに「海大臣」を販売して、
ことし3年目を迎えます。



「海苔には値段の高いのと安いのはあるけれど、
 それぞれの個性なんか(そんなに)ない」と、
思っている人もいるかもしれませんが、
そんなことは、ありません。
「こないだの海苔、とてもおいしかったら、
 また同じのをください」と言われても、
同じ個性のものを手に入れることは、
かなり難しいんです。

このごろは、お米でも品種や産地が気にされますが、
海苔も、海という自然が育む植物。
生産者によって、海況によって、
ほんとは、みんなずいぶん個性がちがいます。
ワインについて
「こっちの斜面のブドウは日当たりが‥‥」
「この農園のものは‥‥」
なんて話されるようになりましたが、
それと、ちょっと似ているかもしれません。
(そんなふうには、海苔の情報って
 出回っていないんですけどね。)

真剣に仕事をしているお寿司屋さんは、
海苔の仕入れでも、味がなるべく一定になるよう、
確かな目利きのできる問屋さんとよく話し合って、
年間に使う海苔の計画を考えます。
「今年は、これを、これくらい確保しといてね」
なんて感じです。
いくらお金を持っていても、
高い海苔は買えますが、
好みの個性の、よい海苔は買えないのですね。
その「目利きのできる問屋さん」として、
相沢さんは仕事をしています。

お客さんの好みをよく知っている相沢さんは、
産地に直接出かける仕入れをしています。
現地のセリに参加して、おなじみの顧客の好みに合わせ、
「あのお客さんは、この味が好みにちがいない」とか、
「あの店で使うのに最高の海苔があった」などと、
いろんなタイプの海苔を買い付けてきます。
その相沢さんの仕入れる「ある個性の海苔」に、
糸井重里が、すっかり魅了されました。
それが「海大臣」誕生のきっかけでした。


お寿司屋さんがきっかけで。

十年以上前、糸井重里は親しいお寿司屋さんから
とてもおいしい焼き海苔を頂戴します。
それがきっかけで、そのお寿司屋さんを通して
「海苔は、ずっとこれ」と決めていた糸井家。
「ほぼ日」でも、販売できないものかなぁ、
と考えながらも、問屋さんである相沢さんと
直接おつきあいさせていただくまでには、
ずいぶん長い時間が必要でした。
そして‥‥とうとう2008年、築地の相沢さんと会い、
たくさん話し、相談して、
「シーズン中に収穫された最高ランクの海苔」を、
「ほぼ日」とのコラボ商品として、
特別に分けていただくことになりました。
それが「ごちそう海苔 海大臣」の誕生でした。

有明海で採れた、店先には並ばないこの海苔。
デメリットだけ先に言っておきますね。
“うっすら曇り”があって“小穴”もある、
そして一般的な価格よりは、かなり高い。
そんなことでしょうか。
でも! 自信はあります。
2008年は1種類、
2009年は3種類、
そして2010年は、
相沢さんが候補として挙げた6つの海苔から、
いっしょに、3つの個性を選びました。
そして、「同じくらいおいしいけれど、
数がそろわない」海苔を、相沢さんが加工。
はじめての「味付け海苔」をつくりました。

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「海大臣」のふるさと、育ち。

栄養分が豊富で、太陽がたっぷり当たる
有明海で育った「海大臣」。
福岡全体でも最高級ランクに入る海苔のひとつです。


北は松島から、太平洋側の湾内に点在し、
九州までひろがる日本の海苔の生産地。
なかでも福岡と佐賀・熊本にまたがる有明海は、
上質な海苔が採れる名産地として知られています。
有明海は海水中に栄養分が豊富で、
干満の差が大きいことから、
干潮時に太陽がたっぷり当たり、
おいしい海苔が育つのです。
「海大臣」は、そんな有明海に面した
「皿垣」(さらかき)漁業協同組合から、
福岡県の入札会に出品された海苔です。
市販されるときには明記されないのですが、
海苔には「等級」があり、
皿垣漁協だけでも、
100近い等級づけがされています。
ふつう、海苔の等級づけは、
色のよしあしや、艶など、
見た目優先で決められるのですが、
皿垣漁協は、専門家が食べてみて、
味をみて等級を決める「食味審査」を
全国で初めて行なった漁協です。
そうして選ばれた「海大臣」は、
福岡全体の海苔のなかでも
最高級ランクに入る海苔のひとつです。

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海大臣のふるさとと、育ち栄養分が豊富で、太陽がたっぷり当たる 有明海で生まれた海苔「海大臣」。 福岡全体でも最高級ランクに入る海苔のひとつです。

3種類+1、ことなる個性。
それぞれに「おいしさ」がちがいます。

海苔は、4月から育成が始まります。
牡蛎の殻をつかって培養を始め、
夏の終り頃に、海苔のタネを網に定着させる
「採苗」(さいびょう)を行ないます。
その後、海に支柱を立てるか、
浮き流しで網を海中に広げて、
25枚から30枚かさねて「タネ網」を育てます。
この時期を「育苗」(いくびょう)といいます。

その後、重ねて張られていた網を減らし、1枚にして、
「単張り」と呼ばれる本格的な育成に入ります。
減らした網は冷凍され、
順番に育成されるのを待ちます。
同じ生産組合で、ほとんど同じような海で育っていても、
採苗、育苗、単張り、そして収穫の時期が
ほんのすこし異なることで、海苔の味は、変化します。
また、網がすぐ隣同士であっても、
水温、塩分、海流、栄養分の分布などの「海況」は、
場所によってほんのすこしずつ異なるため、
それも、味に変化をもたらします。
また、全体的に言えるのは、ことしの皿垣の海苔には、
(昨年にくらべて)穴が多いということ。
しかしそれは味には影響がありません。
ちなみに2008年は「秋芽の一番摘み」という、
いちばん最初に育て、収穫した海苔を、
2009年の「海大臣」は、5回目に入札が行われた、
「冷凍網の一番摘み」を。
そして2010年は、4回目に入札が行なわれた
「冷凍網の一番摘み」です。
海大臣(しお)も、同じ海苔を加工しました。
海況がいちばん整ったなかで育ったその時期の海苔が、
ほかの時期に出品された海苔にくらべて、
いちばん、香りと味がよかったからです。

相沢さんが候補に選んだ6種類のなかから、
ことしの「海大臣」は3種類。
そして、さらにもうひとつ、
うれしい新製品もできました。

「海大臣(みぎ)」は、線維がこまかい。
サクサク・さわやか・食材になじむ。


口に入れたとき、ほかのふたつにくらべて
すこしあっさりしている印象がありますが、
それは、ほんのすこし塩気がうすいから。
でも口のなかでモグモグしているうちに、
甘みと深みを感じてくる海苔です。
重さをはかると、ほんのすこしですが、軽め。
歯ごたえは「サクサク」した感じ。
線維はこまかくて、小穴は比較的多いほうです。
ほかのふたつよりも緑が濃く、そのため、
青のりのようなさわやかな印象もあります。
線維のこまかさゆえ、汁ものに入れたとき溶け切らず
うどんやそばなどにもからみやすい海苔。
主張がほかの2つにくらべて控えめですから、
納豆ごはん、卵かけごはん、
麦とろごはんなどにもぴったりですし、
チーズを使った料理、
たとえばピザやトーストなどとも相性がよさそうです。


「海大臣(まんなか)」は、強めの個性。
このまま食べても、とてもおいしい。


最初に口に入れたときのおどろきが
いちばん強いのが「まんなか」だと思います。
「まずは、そのまま何もつけずに食べてください」
と、いちばん言いたくなる海苔だとも言えます。
ほかの2つに比べて、塩気が強く感じられ、
また、うまみや深みもすぐに伝わってくる印象。
塩気、甘み、うまみ、先味、後味、
すべてにおいてバランスのいい海苔だと言えるでしょう。
全体に厚みがあって、しなやかですが、
折り曲げると「ぱりんっ」と一気に割れます。
大きめに切って、手巻き寿司に使うなど、
この海苔の個性を活かした使い方がよさそうです。
炊き立てのごはんにのせて、
しっとりとごはんの水分を吸って、
柔らかく溶けてしまうような感じ、
ごはんとうちとけてしまうような感じも、
ぜひ味わっていただきたいと思います。
また、日本酒や焼酎、白ワインのドライ、などの
お酒のおつまみとしても合いそうですよ。
初年度の「海大臣」を覚えていらっしゃるかたは、
あの海苔が帰ってきたと思っていただいて
よいかもしれません。


おせんべみたいにサクッとうまい。
「海大臣(ひだり)」は、歯ごたえ重視。


噛むと、バリバリッとした強い歯ごたえを感じ、
3つのなかでいちばんしっかりした印象が「ひだり」。
すこし小穴や濃淡もありますが、
全体的には厚手の印象です。
見た目も密なら、食べたあとの印象も濃い。
食べ終わったあとも、海苔らしい風味が、
後味としてのこります。
試食のときの共通の意見は
「これが、いちばん、塩むすびに合う!」
というものでした。
にぎりたてのおむすびに巻いて、
ぱりっとした食感を楽しんでくださいね。
また。焼いた餅や、ホタテなどを焼いて、
しょうゆをつけたものを、この海苔にのせても
とってもおいしくいただけそうですよ。


生産量のすくない、おいしい海苔を集めて加工。
「海大臣(しお)」。はじめての、味付け海苔です。

「海大臣」候補でありながら
生産量がすくないため、採用しなかった海苔を集めて、
林屋海苔店で味付け加工をしました。
味付け海苔は一般的に
「あまじょっぱい」ものが多いと思いますが、
これはすっきりとした「しお味」です。
韓国の味付け海苔にも近い印象ですが、
ごま油ではなく、コーン油を使っています。
林屋海苔店では、海から捕ってきて板状にするときに
すこし破れてしまった等級の海苔
(「ヤブレ、ハズシ」と呼ぶそうです)に味をつけ、
カットして販売することはありましたが、
このように、完品である焼き海苔をまるごと
味付けして販売するのははじめてのことだそうです。

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つくりたてで、お届けします。

出荷は7月末から開始します。

相沢さんが海苔商社に同行して
入札会で仕入れた海苔は、
「火入れ乾燥」をし、
4%程度まで湿度を下げた状態で保存されています。
これを、最後に「焼加工」をして、
すぐに食べられる焼海苔の状態にして
専用のアルミパックに袋づめします。
今回用意した海大臣各種は、
ご注文いただいてから、焼き加工をして、
7月末から出荷を開始します。
できたての味と香りをおたのしみください。

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2010-07-08-THU

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