口蹄疫問題で、宮崎県を代表する種牛「忠富士」が殺処分されたことを受け、東国原英夫知事は22日、県家畜改良事業団(高鍋町)の種牛49頭について殺処分の方針を見直し、救済できるよう国に求めていく考えを明らかにした。ただ政府の現地対策本部長を務める山田正彦農林水産副大臣は「特例を認めていいとは思っていない」と否定的で救済が実現するかどうは流動的だ。
事業団では55頭の種牛を飼育、特に精液供給量の多い忠富士ら6頭を避難させていた。残る49頭は事業団に残していたが、今月14日になって同じ敷地内で飼われていた肥育牛が口蹄疫に感染した疑いが出たため、肥育牛259頭とともに殺処分する予定だった。
だが豚の殺処分に追われるなどしたため、49頭は手付かずで、「元気な状態」(畜産課)で飼育されていた。口蹄疫の爆発的な感染の広がりで、忠富士と一緒に避難した種牛5頭も口蹄疫から逃れられるかどうか懸念される中、49頭は宮崎の種牛の命脈を保つ貴重な存在になった。
知事は「このままでは宮崎に種牛が1頭もいなくなり、日本の畜産に甚大な被害が及ぶ」と話している。
=2010/05/23付 西日本新聞朝刊=