そっくりさんも登場、蓮舫氏が渋谷で演説

　東京選挙区（改選５）で、他候補を大きくリードするといわれる蓮舫行政刷新担当相（４２）の選挙活動は、一風変わっている。菅内閣の目玉閣僚ゆえ、自分の選挙に専念できず、応援をこなしながらの活動だ。８日、ＪＲ渋谷駅前でも約７分の演説中、支持のお願いは３０秒そこそこで、残りは仕分け人としてのアピール。楽勝ムードは、応援弁士が必死に引き締めた。この日は約２０００人が集結。そっくりさんの“追っかけ”まで登場した。

　公示から２週間。蓮舫氏は自身が候補者ながら、８日、東京での選挙活動がようやく４回目を迎えた。必殺仕分け人、菅内閣の目玉閣僚として、応援要請が相次ぐ。この日も島根で遊説を終え、羽田空港から車で渋谷に駆け付けた。

　演説カーに立つと冒頭の３６秒、候補者としてのお願いをした。「東京から２度目の挑戦をしている。１人でも多くの皆さんにご支持いただきたい」。その後は、仕分け人にチェンジ。「この国の税金の使い方に、開いた口がふさがらないものがたくさんあった」と述べ、野球賭博問題で揺れる日本相撲協会についても「果たしてどこが公益（法人）なのか」と、ばっさり。「行政刷新の分野では少なくとも蓮舫が前面に立ち、チーム民主党として仕事をさせてほしい」と、残り約６分半は、ほとんどが仕分け人のアピールだった。

　「大きくリード」とされる蓮舫氏に対し、民主党では「圧倒的なトップを目指すことが、今後の発言力につながる」と、大量得票を期待する声がある一方、気のゆるみを警戒。応援に入った小宮山洋子衆院議員は「『大丈夫』という考えが一番危ない。（蓮舫氏は）自分の選挙活動をしていられないが、しっかり議席をいただかないと」と、ハッパを掛けた。

　同じく応援弁士の仙谷由人官房長官は、蓮舫氏に掛けられた言葉を紹介。「公示日に１カ所で演説した後は、全国を応援演説で回るから、仙谷さん１回くらい一緒にマイクを握って、と言われた」。勝って当たり前のようにいわれる蓮舫氏も、プレッシャーを感じる部分があるのだろう。

　それでも夕方のハチ公前は、蓮舫氏見たさに約２０００人が集結。最前列には蓮舫氏のそっくりさんが登場した。蓮舫氏の定番服、白ジャケットのえりを立て、メークも髪形も蓮舫流。都内在住の薬剤師、中村麻衣子さん（３０）で「事業仕分けのころから注目していた。切り込んでいく姿に女性の強さを感じる」。前日の都内遊説に続いて、追っかけしたという。

　蓮舫氏は９日から再び地方を回り、選挙戦ラストの１０日午後、東京に戻る。候補者として活動に集中するのは、最後の最後になりそうだ。【中山知子】

　［2010年7月9日9時12分　紙面から］