口蹄疫に感染した疑いが確認された種牛の忠富士=宮崎県家畜改良事業団のホームページから
家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)の流行で、特例措置で避難していた宮崎県家畜改良事業団(高鍋町)のエース級種牛1頭に感染の疑いが出て、殺処分が決まった。宮崎から子牛の提供を受けるブランド牛の地元には動揺が広がった。
口蹄疫の発生を受け、九州・沖縄を中心に子牛の競りが中止延期され、現在ブランド牛の産地への供給が滞っている。しかし、今回感染の疑いが発覚した種牛が処分され、残る5頭にも疑いが出ると、宮崎で子牛の生産そのものが困難になる。宮崎の子牛を仕入れて肥育してきた各地のブランド牛の産地への影響は大きく、高級牛肉の生産システムが変わる可能性もある。
遺伝子検査で陽性となった「忠富士(ただふじ)」は、働き盛りとされる7歳。5〜13歳のエース級6頭のなかでも今年、最も多くの精液の採取が計画されていた種牛だ。
農林水産省と同県によると、忠富士を含む6頭は同じ牛舎にいたが、それぞれ約2メートルの間隔をあけたうえ、高さ約3メートルの板で壁をつくって隔離していた。管理する担当者は1頭につき1人に限定させていた。
忠富士については、19日に採取した検体での遺伝子検査で陽性が出たが、発熱や口内のただれなどの症状が見られないとして、翌20日に再度検査を実施。再び陽性となった。現在も目立った症状はないが、食欲がないという。
6頭が現在いる同県西都市の畜舎は周囲にほとんど農場がない環境のため、忠富士は事業団にいる間に感染した疑いが強いとみられている。