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米国:「為替操作国」中国を認定せず…議会不満、残る火種

 【ワシントン斉藤信宏】米財務省は8日、米議会に提出した為替政策報告書で、中国を「為替操作国」と認定せず、人民元相場の弾力化に踏み出した中国にひとまず配慮を示した形となった。だが、弾力化後の上昇ペースは緩やかで、米議会などには不満が根強く、今後も対立の火種としてくすぶりそうだ。

 財務省は報告書で「中国は09年に国内需要を13%も増やし、世界経済を救った」と、リーマン・ショック後の経済危機克服に向けた中国の貢献を強調し、中国側の顔を立てた。人民元の弾力化表明も「大きな前進だ」と持ち上げ、相場の現状については「中国の今回の措置が適切かどうかを判断するには時間が必要」と中国側に一定の猶予を与えるなど、随所に中国当局への配慮をのぞかせた。

 高成長を続ける中国は世界経済での存在感が一段と高まっており、「巨大市場である中国との対立が深まれば、米国経済にもマイナス」(世界銀行エコノミスト)との見方が広がりつつある。こうした状況も踏まえて、米政府は、対中制裁を可能にする「為替操作国」に指定することは避けたとみられる。

 だが、米議会の対中強硬派は、11月の中間選挙を控え、米国内の雇用が回復しないことにいら立ちを募らせている。失業率が9%台で高止まりし、「中国は割安な人民元を利用して対米輸出攻勢をかけ、米国の雇用を奪っている」との批判は依然根強い。

 このため、米議会では、中国が「為替操作国」に指定されなかったことへの不満が噴出。上院財政委員会のグラスリー筆頭理事(共和)は「中国が為替操作していることは誰でも知っている」と異議を唱え、ボーカス委員長(民主)は「中国は意味のある行動を起こすべきだ」と迫った。

 さらに、米議会では早くも、ガイトナー財務長官に報告書の説明を求める公聴会が設定されたほか、中国制裁法案の審議入りを目指す動きも活発化している。

毎日新聞 2010年7月9日 22時01分

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