だが、景気が戻ってきたことを実感できるのは大都市だけだ。地方、特に一人区の地域ではそうした実感がない。景気が悪くなるのは地方からで、景気が良くなるのは大都市からだ。地方では、まだ景気が戻ってきていない。
従って地方の人々は、「景気が悪いのに、消費税を上げるとはどういうことだ」という気持ちが強いのである。
参院選で民主党には期待を抱かせるものがない
夢も希望もないと言ったが、それは次のような意味である。
小泉純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」と言って、2001年の参院選に勝った。「自民党をぶっ壊すなら、政治はきっと良くなるだろう」と国民は思った。
2009年の衆院選で民主党が大勝したのは「政権交代」という旗印があったからだ。自民党の長期政権下で景気がどんどん悪くなり、生活も苦しくなっていった。政権交代すれば、生活が良くなり、世の中が明るくなると国民は考えた。つまり、国民は景気の回復を期待して、政権交代を実現したのである。
しかし、ふたを開けてみれば、鳩山由紀夫氏と小沢一郎氏の「政治とカネ」の問題が出てきた。新聞やテレビなどのメディアは「政治とカネ」の問題をどんどん追及し、鳩山さんと小沢さんは辞めることになった。鳩山さんと小沢さんが辞めれば、きっと民主党は良くなるだろうと思った。だが、何も変わらない。
選挙では常に国民に何らかの期待を持たせる政党が勝つ。ところが今度の参院選では、民主党には期待を抱かせるものが何もない。だから民主党は一人区でとても苦戦を強いられている。