Updated: Tokyo  2010/07/10 00:31  |  New York  2010/07/09 11:31  |  London  2010/07/09 16:31
 

企業収益は8年ぶり大幅増益へ、リストラと増収-野村証(Update1)

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  6月9日(ブルームバーグ):2010年度の上場企業の業績は3期ぶりの増収・増益で、8年ぶりの高い増益率となる見通しだ。09年度はリストラ効果などにより、売り上げが減少するなかで利益を確保したが、今年度は世界経済の着実な回復で増収に転じ、利益を大きく押し上げる。野村証券では、経常利益は前期比57.4%増と予想する。

  野村証券が7日にまとめた企業業績予想によると、NOMURA400(除く金融、353社)の10年度経常利益予想は前回3月時点(56.8%増)から増額修正された。前回想定よりも対ユーロでの円高がマイナスに働くものの、売上高が前期比7.6%増と3期ぶりに増加し、利益を押し上げる。増益率は2002年度の58.9%以来の高さ。

  これまでの利益のピークは07年度の30兆9000億円。08年度には11兆8000億円とピーク比38%まで落ち込んだが、10年度は22兆4000 億円とピークの72%まで回復する見通しだ。利益水準の回復により、設備投資や増配など企業行動の活発化も期待できると同証券では見ている。

  一方、業種別では19業種中16業種で経常増益が予想されている。全体の経常利益への寄与が大きいのは、電機精密自動車鉄鋼非鉄化学商社など。これまでの最終財を中心とした上方修正から、原材料や設備投資関連へと上方修正のすそ野が広がっているのが特徴という。前回調査からは、化学、電機・精密、商社などの修正額が大きくなった。半面、公益医薬・ヘルスケア、ソフトウエアの3業種は減益を見込んでいる。

  業績予想の前提は、為替が1ドル=90円(前回90円)、1ユーロ=120円(同135円)、原油(WTI)価格は1バレル=85ドル(同75ドル)。対ユーロで1円の円高は経常利益を約500億円押し下げと試算しており、仮に現在の1ユーロ=110円水準で推移するとすれば5000億円程度の利益のマイナス要因となる。ただ、5000億円程度下方修正になっても、現在想定されている大幅増益の構図が崩れる可能性は低いという。

  ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は、「調査結果に示されるようにファンダメンタルズは非常に好調。企業側の見通しが慎重なので、増益率は57%より高くなる可能性がある」との認識を示した。欧州債務問題や米欧金融規制、中国の引き締め懸念とリスク要因が重なり、足元の株価は下落しているが、「マーケットの懸念は需要面からみて行き過ぎの可能性があり、日経平均株価は1万円以上の水準でないとおかしい」と見ている。

  今回まとまった09年度実績は、経常利益がその前の期に比べ14.1%増益となった。金融危機後の急激な需要減退の影響から13.2%の減収となったものの、人件費や減価償却費の圧縮など固定費削減に加え、生産体制見直しや製品構成の改善から損益分岐点が大きく低下したことが貢献した。業種別では、19業種中8業種が経常増益だった。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 Toshiro Hasegawa thasegawa6@bloomberg.net

更新日時: 2010/06/09 16:39 JST
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