不動産のわなにはまった韓国社会(下)

明かりのともらないマンション

 今年下半期に入居開始時期を迎える大規模マンションの団地がある首都圏各地では、建設会社、不動産仲介業者、一般家庭までもが大混乱に陥っている。

 京畿道竜仁市星福洞では、大手建設会社が建設した約1500戸規模のマンション団地の入居が始まったが、入居済み世帯は約160戸にすぎず、半分が売れ残っている状態だ。この団地では、日が暮れても明かりがほとんどともらない状態がこのまましばらく続きそうだ。

 かつて高い人気を誇った仁川経済自由区域の青蘿地区も似たような状況だ。同地区のあるマンション団地では、先月末から入居が始まったが、全900戸のうち、入居済み世帯は約30戸にすぎない。周辺の不動産仲介業者は、「入居者が契約金1億ウォン(約730万円)以上を無駄にしてでも、投げ売り同然で物件を手放している」と話した。

自営業者の倒産危機

 住宅取引の低迷は、小規模の個人事業者や自営業者にも深刻な影響を与えている。一般的に自営業者らは、資金難に対処する最後の手段として自宅を売却し、資金を調達する。しかし、住宅取引システムそのものが崩壊した現在、緊急の資金調達すらできなくなった。

 仁川で縫製業者を営むBさん(53)は、2007年に転売制限がない新築マンションを8億ウォン(約5860万円)で購入する契約を結んだ。4月ごろに会社が資金難に直面したことから、マンションの購入権を売却しようとしたが、3カ月たっても引き合いがないという。Bさんは、「数億ウォン(数千万円)の価値がある住宅を所有しているにもかかわらず、不渡りの危機に追い込まれた」と語った。

 専門家は一様に、住宅取引の停滞に対する対策を政府に求めた。建設事業戦略研究所のキム・ソンドク所長は、「政府は建設景気の浮揚策としてではなく、社会のセーフティーネットを構築する意味合いから、住宅取引の低迷に対する対策を講じるべきだ」と指摘した。

李錫雨(イ・ソクウ)記者

チョン・ジェホ朝鮮経済i記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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