第10話「留学生クロン」
MaRｓ〜Person Who Generalizes Everything〜
第10話「留学生ク ロン」
さて，今日を乗り越えれば，３連休が待っている。超寝不足だ。今日も授業中を寝て乗り切ろう。うん。千田が入ってきた。もういいや 朝のホームルームから寝るか。「千田：えーと，毎年恒例の・・・。」数十秒後。「男子生徒たち：おおおおお。」男子生徒たちが異様な声をあげた。このクラ スも少しは明るくなったな。何があったんだろう。「何があった？」「龍馬：来週から，うちのクラスにアメリカから留学生が来るらしい。」「へぇ。この学園 の恒例行事か。校長が変わったから，無くなったとばっかり思ってた。」「龍馬：俺もだ。」「んじゃ寝るわ。」「龍馬：寝てら。」「理彩：章君！しっかり起 きて授業を受けるべきです。5秒置きに，眉毛一本抜きますよ？」俺は，既に眠りの世界へと入っていた。・・・。・・・。・・・。
昼休みのチャイムで目が覚める。抜群のタイミングで目を覚ましたな。「龍馬：お前眉毛ないぞ。」「え？！」「龍馬：いや，嘘。」まじで焦った。「アテナ： ふぅ〜〜〜〜！」プチン！「いてぇよ！」アテナがピンセットで俺の眉毛を一本抜きやがった。「アテナ：暇！」「体育館で遊んでこい。」「アテナ：1人じゃ 無理だよ。」「ネリスとか瑠夢とか居るだろ。」「理彩：ネリスさん，美穂さん，瑠夢ちゃん，紅葉さんは早退しましたよ。」なんだと・・・何かったの か・・・。まさかあのスコーピオンと名乗る男に召集されたというのか。「俺も早退する。」「理彩：理由も無く早退しちゃだめですよ。」「4人はなんて理由 で早退したんだ。」「理彩：わ，わかりません。」「俺は行く。絶対何かあったに違いない。彼女たちにはもう戦って欲しくない。」「理彩：私も同意見です。 しかし，それはネリスさんたちの問題です。私たちがどうがんばっても，何も変わらないと思います。」変わる。変えなくてはいけない。なぜ，俺と同い年の少 女たちが戦わないといけないんだ。ゲームの世界ならいい。何度も生き返る。しかし，これはゲームじゃない，現実。現に俺らは目にした。『死』を。誰がどういう意図でこうしたのかは知らない。そんなことはどうだっていい。た だ，俺は彼女たちを助けることだけを考えていた。今は何をすればいいかわからないけど，いつか必ず見えてくるはずだ。そのためには，まずは実行あるのみ。 「変えるんだ。」「理彩：行く当てはあるんですか？！」「・・・ない。」
「龍馬：そうでもないぜ。」龍馬が携帯の画面を見せてきた。ワンセグが繋がってるみたいだ。「レポーター：たった今，事故が起きた現場です。」事故現場が映し出される。画面は炎の赤色で染まった。カメラアングルが変わ る。ぐしゃぐしゃになった飛行機から，火が出ていた。墜落事故。しかも滑走路があるところから，どこかの空港だと予想できる。「龍馬：新羽田だ。約10分 前に事故が起きた。」「ネリスたちが早退したのは？」「理彩：2時限目終了時です。」「なら，関係無いんじゃないか？起きたのは10分前だろ？」「龍馬： この高速旅客機がアメリカを飛び立った時刻は10時20分。」「どういうことだ？」「理彩：2時限目終了時刻は10時25分です。」「この事故があること を知ってて，向かったというのか？」「龍馬：否定はできない。なんせ，彼女たちは人とは少し違う能力を持っている。」「だが，知っていて，なんらかの理由 でその場に行かないと行けないとしたならば，学校へ来なくていいんじゃないか？」「龍馬：出発と同時にその旅客機の運命が決められた。」「理彩：そん な・・・。」「龍馬：まぁ，あくまで俺の推測（妄想）だがな。行くのか？」「ああ，行くさ。」「アテナ：私も行く！」やべ，こいつに着いてきてこられると 色々と困る。俺が困った顔をすると，理彩が俺にウィンクをした。ありがとう理彩。「よし，行くぞ龍馬！」「龍馬：おう！」
・・
・
「水無月閣下：入国を許したか・・・。」「ティース：構いませんよ。これもまた予期されていた事項。むしろ，『彼』がなぜ阻止しようとしたのか。そっちのほう が問題です。」「閣下：統括部を乗っ取った男のことか。」「ティース：ええ。彼の行動には，いささか疑問点があります。目的は不明です。まぁ，私たちには どうでも良いことです。私たちの目的は・・・。」「閣下：ティース・・・私はまだ信じていない。」「ティース：いつか身をもって，知るときが来ます。私たちこそ正しい。『ヘヴンマルト』を倒せるのは，私たちだけ。すべてのイレギュラーはあれを完成させるための材料に過ぎない。」「閣下：それにしても，こちらのＮＣたちは1匹の猫ごときに尻尾を振られるのか。」「ティース：それはどうでしょうかね。」
・
・・
交通機関を駆使し，俺らは最速タイムで学校（長野）から空港（東京）に着いた。無論，中に入れる はずがない。一般出入り口は，全て警備員や警察で包囲されていた。ほんとに美穂たちがここにいるのか？「滑走路側から入った方がいいんじゃ？」「龍馬：いや，そっちのほうが無理だ。こっちだ。」龍馬が携帯を片手に走り出した。それから数十秒。関係者の入り口があった。今は表の警備と，中の事故の処理で忙しいらしく，誰も辺りにいなかった。龍馬は腕時計みたいなやつをポチポチっと押すと，そこからコードが伸び，それをカード式キーの側面の穴に差し込んだ。 ピッピピピ。ぴぽーん。はい，正解。ドアが開いた。入るとすぐに事務室みたいなところが，あったがそこには誰もいなかった。そこを通り過ぎ，右折，左折， 左折，右折，直進，右折。まるで迷路だ。走ってる最中，警備員や従業員に数名とすれ違った。これはけっこう，まずいと思う。「龍馬：ここだ。」けっこう 走った。龍馬がドアを開ける。そこは外だった。滑走路。一面を見渡し，首を右に80度曲げたぐらいにそれは視界に入った。飛行機はまだ炎上していた。俺ら はそこに走った。１００ｍぐらい走ったところで，「警備員：そこの2人！止まりなさい！ここは関係者以外立ち入り禁止だ！」俺らは気にしない。事故現場に ついた。流石に黄色いロープの中には入れない。しかし，その事故の残酷さこの距離からでもしみじみとわかった。先端は，滑走路に食い込み，斜めに飛行機が 刺さっていた。そして真ん中から，真っ二つに，飛行機は折れていた。「警備員：おい！その2人だ！」やばっ，真横に警備員が居た。「龍馬：とりあえず彼女 たちを探すぞ！」「いるのか！？」心配になってきた。「警備員：ちょ，ちょっと待ちなさい！」追っ手がだんだん増えてきた。だめだ，これ以上巻けない。 「ぐぁっ。」俺は警備員に腕を捕まれた。「龍馬：章太！俺はお前のことを忘れない。」「ちょっ！待て！」と次の瞬間には龍馬も捕まった。まぁ，命を取られ るわけでもないし，どうせ外に追い出されて終了か。龍馬はまた入るつもりなのかな？「警備員Ａ：全く，いったいどこからはいったんだ。ここは危険だ。確か に興味が沸くのもわかるが・・・。」まったくうるさい警備員だなぁ。はやくその腕放してくださいよ。「警備員Ａ：今回は，秘密にしておいてあげるからね。 こんなことしてたら親が悲しむよ。怪我でもしたらどうするの？」ほんとにいちいち，うるさい警備員だな。「警備員Ａ：君たちは学生なのっ・・・。 のっ・・・。か・・・。」舌を噛んだのか。よくしゃべる警備員は急に静かになった。とその時だった。俺の右腕を拘束していた。腕が離れた。同時に龍馬を拘束していた違う腕も離れた。「龍馬：今だ！」俺らは逃げた。走り出して10秒後ぐらいだった。「警備員Ｂ：『ハイジャック犯』が逃げたぞ！」「は！『ハイ ジャック？！』」意味がわからない。これは事故だろ！ものすごい人数の警備員たちが銃を構えて，俺らを包囲するかのように，迫ってきた。「龍馬：いったい どういうことなんだ！」「そんなのわからないよ！」「警備員Ｃ：止まれ！発砲許可はおりているんだぞ！」え？！射殺されるの？！おれたち。何もしてないって。てか，俺らがハイジャック犯じゃないなんて誰だって，わかるだろ。「警備員Ｄ：射殺しろ。」おい，待てリアルで待て。「龍馬：待ってくれ，俺たちはな にも！」パン！1人の警備員が発砲した。当たりはしなかったが，顔の真横を飛んでいった気がする。その時だった，俺の携帯の着うたが鳴り響く。俺は携帯を ポケットから出そうとすると，バン！もう一度発砲。携帯だけに見事的中した。そして次々と警備員たちが近寄って，銃をリロードする。カチャ，カチャ，カ チャ。え，俺銃なんて持ってませんよ！あ・・・。もうだめだ。殺される。おれの人生ってなんだったのだろう。・・・。・・・。・・・。
「？？： 少年，死を覚悟したことがあるか？」その声は・・・。「ネリス！」ネリスが俺の脇に腕をかけて，俺を持ち上げた。そして，そのまま宙へと舞い上がる。龍馬 は紅葉が助けていた。数十秒後，新羽田の屋上に俺らはおろされた。「龍馬：ふぅ，危なかったなぁ。でも，ここだったら，すぐ追いつかれるんじゃ？」「ネリ ス：心配は無い。あそこに居た者だけだ。」「いったい，どういうことか説明して！」「ネリス：コモンフィクス。」うん，全くわからない。「紅葉：あそこに 居た人たちは，『共通認識』を操作されたということです。」「龍馬：なるほど。」なるほどって，それだけで何でわかるんだよ。共通認識？「龍馬：つまりこういうことだ。あの場に居た俺らを見れば，誰もが不法侵入のただのガキだと思う。しかし，それは多くの人々が持つ固定観念に過ぎない。その共通したものを 変換する。それを『ハイジャック犯』と変換すれば，俺たちはたちまちハイジャック犯となるわけだ。「ネリス：人だから通用するものだ。」「美穂：今回は厄 介だね〜。」あれ，いつの間に。「瑠夢：あーあ，ミッション失敗〜。」瑠夢も居た。みんな居た。予想通りだ。居た！だが，俺は何もできなかった。むしろ助けてもらった。「ネリス：取り逃がしたか。」「美穂：もともと，見つけても居なかったじゃん。」俺らのせいで任務を失敗してしまったのか。「紅葉：居たの 確実です。」「瑠夢：今度の敵は，手強いようですね。私たちの管轄外です。」「美穂：だから，入国して欲しくなかったんでしょ？でも，全然だめじゃん。」 「ネリス：撤退命令が出た。行くぞ。」俺と龍馬は再び，楽しい楽しい飛行体験をした（笑）。
「よっと。」おりる。どこに？「な ぜ，学校に？！」「瑠夢：学祭の準備は参加しないとだめですよ。クラスには貢献すべきです。」「美穂：だんるー。」「龍馬：すげー，ほんとに飛んで た・・・。」龍馬は独り言をつぶやいていた。「ネリス：戻るぞ。」瑠夢と紅葉と美穂はすぐに屋上の階段を降りていった。「ねぇ，ネリス。」「ネリス： ん？」「また，敵なの？またセレスみたいな・・・。」「ネリス：そうだ敵だ。セレスみたいな奴とは限らない。むしろ，あんなやつは2度と現れないと思 え。」「龍馬：俺らの命も狙われているわけだからな。」俺らの命・・・。そうだ，敵はなぜ俺と龍馬を・・・。「ネリス：たまたまだ。少年，お前は何も考え なくて良い。私たちが全て片づける。」「だめだ。誰も傷ついて欲しくない。」「ネリス：大丈夫だ。保証しよう。」「な，なら・・・」きーんこーんかーんこーん。チャイムが鳴った。「龍馬：行くぞ，章太。」
・・
・
「Ms.Klon：実験成功。日本人にもちゃんと使えるわね。それに しても，さっきの子犬たち・・・。すごくいい匂いがしたわ。」
・
・・
7時限目はずっと，さっきのことを考えていた。帰りのホーム ルームが終わると，理彩が心配そうな顔で話しかけてきた。「理彩：どうでしたか？どうやら，合流できたように見えますが・・・。」「ひどいめにあった よ。」「龍馬：まったくだ。」俺は一通り理彩に説明した。「理彩：また敵ですか・・・。ならあの事件も，起こしたのは・・・。」「ネリス：あれは私たち だ。」え・・・。「理彩：え・・・。どうしてですか？」「瑠夢：やむを得ません。生存率の期待値を考えたゆえの結論です。」「美穂：だけど失敗しちゃった からね〜。あの人たちは無駄死に。」敵を入国させないためにやったのだろう。しかし，あの旅客機にはたくさんの人たちが乗っていたはずだ・・・。その命が 一瞬にして全て奪われた。「紅葉：みなさんの気持ちはわかります。だけど，こうしないと行けなかったんです。あなたたちを守るためにも・・・。」ああ，俺 もわかるさ。どういう気持ちでやったかということは・・・。世の中は本当に残酷だ。何かをする度に必ず何かが犠牲になる。これは神が決めた世界のルールだ というのか？「アテナ：ほらほら！みんなも手伝ってよ！」いろいろとアテナが木材を運んできた。うちのクラスはお化け屋敷をするらしい。「美穂：あんたは こっちを考えなさい。」昨日から書き始めた美穂の新曲だ。ということで，俺は歌詞を考え始めた。お題は『友情』らしい。美穂が決めたことなんだが，何を書けばいいか全くわからない。
（文深）約90分前。家庭訪問期間で午前授業です。と言ってもうちのクラスは先日のあの事件で，担任 が解雇されてしまい，代行で副担任が各家庭を回っているようです。あーあ，こんな早く帰ってきても暇だなぁ。お兄ちゃんも理彩お姉ちゃんもいない・・・。 アテナちゃんも。早百合（友達）ちゃんは今日遊べないって言ってたし・・・。私はおもむろにテレビをつけた。突然，画面が炎一色に染まった。「文深：あ れ。」ポチポチ。どのチャンネルを変えても同じだった。「レポーター：事故現場はこのように・・・。なぜ今の時代にこんなことが起きてしまったのかは，た だいま調査チームが調査中です。」飛行機が墜落したみたいだ。新羽田空港みたいだ。恐ろしい・・・。「音声：待ちなさい！ほらそこの！」レポーターの声以 外に，かすかにその場の人たちの声が聞こえた。するとレポーターの後ろをものすごい勢いで駆けていった人たちが居た。その姿は一瞬しか映らなかったが，確 かに見覚えはあった。「文深：お兄ちゃん！」もう1人は龍馬さんだと見た。なんで，いるんだろ・・・。すぐさま電話を駆けてみた。出ない。そりゃあんな全 速力で走ってたらわからないよね・・・。あれは絶対お兄ちゃん。私の目は正しい。約10分後，もう一度電話をかけてみた。「文深：あ，お兄ちゃん？」繋 がった。「携帯：バン！」ものすごい音が聞こえたかと思うと，電話が切れた。え？！今のって銃声だよね・・・。それから私は何度も電話をかけたが，「携帯：おかけになった電話番号は現在，電波の届かない（ｒｙ」「文深：お兄ちゃん！お兄ちゃん！」私はすぐに理彩お姉ちゃんに電話した。出ない・・・。サイ レントにしてるのかな・・・。どうしよう，どうしよう！
（章太）一通り，クラス全体でのお化け屋敷づくりはここまでらしい。まだ 2週間ぐらいあるしな。と言っても，俺らは歌詞作りしてたんだけどな。まだ18時半だ。あ，そうだ携帯。「理彩，携帯買いについてきてくれないか？」「理 彩：どうしたんですか？」」「さっきのあれで・・・。」「理彩：なるほど。いいですよ。」「美穂：あたしもついていくわ。その後，私の家へ直行，そして書 く。」やけに，積極的になったなぁ。最初は作らないとか言ってたのに。「アテナ：私も携帯欲しい！」「理彩：そういえば，アテナちゃん持ってませんでした ね。OKですよ。」近くの携帯ショップまで歩いた。すると，道の途中で，「理彩：あれ文深ちゃんから20回ぐらい着信が・・・。どうしたんでしょう。」理 彩が文深に電話をかける。「理彩：え？はい，章君ですか？大丈夫ですよ。今一緒にPtショップに向かってます。来るんですか？はい，わかりました。気をつ けてくださいね。」3分後，Ptショップについた。「文深：お兄ちゃん!!!!!!」急に文深が抱きついてきた。かなりの加速度で。「うぉっ。」「文深： 心配したんだよ！」どうやら，俺と龍馬はテレビに映ってしまっていたらしい。とりあえず，警備員や警察たちに殺されそうになったことは黙っておこう。
・・
・・
新羽田空港にて。1人の男が滑走路に立ち入った。警備員たちや警察も彼を止めようとしない。男はさっき章太たちが殺されかけたところで立ち止まり，粉砕され た章太の携帯を手に取り，こう言った。
「スコーピオン：まるで，いつしかの君の心のようだ。」
・・
・・
3連休があっという間に過ぎてしまった。そのうちの3分の2は美穂と一緒に居た気がする。とりあえず，歌は完成した。1曲だけだが。「美穂：ねぇ理彩〜，章太ったら ねぇ〜。あんなことや，こんなことしてきたさ〜。」「理彩：え，そうなんですか？！章君！なんてことを！」「い，いや何もしてないって！ほんとに，美穂が 嘘ついてるだけだ！」すると，千田が入ってきた。「千田：留学生を紹介します。入ってきてください。」再びドアが開く。「生徒たち：おおおおおおおおお お！」クラスにさらに活気が増えた。入ってきたのは，ロングの茶髪で軽い天然パーマがはいり鼻筋の通った超美形の白人女子。「留学生：Hi Nice to meet you.My name is Klon．Andrian. Please call me ku-.よぉろしぃく，おねがぁいしますぅ。」俺は嫌な予感がした。こいつが次の『敵』なんじゃないのだろうか？でも，やっぱり疑うのは良くないよ な・・・。俺はもう一度，その留学生の顔を見た。すると彼女も俺の方を向いて，パチリ。とウィンクをした。な，なんなんだこの女・・・。やっぱり，怪し い。怪しすぎる。「千田：えーと，クロン君は日本語がほとんど話せない。英語ができる者は・・・。」「龍馬：よし，任せろ。」「千田：ちょうど良いです。 龍馬君の後ろの席に座ってください。」「龍馬：うし！」「ちょ，おまえ・・・。」「理彩：朝からそこに机ありましたよ？」必然という訳か・・・。つづく。
読みどころ
「閣下：ティース・・・私はまだ信じていない。」
「ティース：いつか身をもって，知るときが来ます。私たちこそ正しい。
『ヘヴンマルト』を倒せるのは，私たちだけ。
すべてのイレギュラーはあれを完成させるための材料に過ぎない。」
ヘヴンマルトという言葉を覚えているだろうか？それは「女日七」が手にした神をも越える存在の勲章である。
次回予告
第11話「可憐な天使」
留学生クロンは超美形で，クラスの男子からモテモテ。外人もありだな，と俺も思う。
そしてそのクロンは，いち早く俺たちと仲良くなれた。だけど・・・。本当に，
可愛いだけの留学生なのだろうか。俺は『敵』じゃないかと疑っていた。
第10話「留学生ク ロン」
さて，今日を乗り越えれば，３連休が待っている。超寝不足だ。今日も授業中を寝て乗り切ろう。うん。千田が入ってきた。もういいや 朝のホームルームから寝るか。「千田：えーと，毎年恒例の・・・。」数十秒後。「男子生徒たち：おおおおお。」男子生徒たちが異様な声をあげた。このクラ スも少しは明るくなったな。何があったんだろう。「何があった？」「龍馬：来週から，うちのクラスにアメリカから留学生が来るらしい。」「へぇ。この学園 の恒例行事か。校長が変わったから，無くなったとばっかり思ってた。」「龍馬：俺もだ。」「んじゃ寝るわ。」「龍馬：寝てら。」「理彩：章君！しっかり起 きて授業を受けるべきです。5秒置きに，眉毛一本抜きますよ？」俺は，既に眠りの世界へと入っていた。・・・。・・・。・・・。
昼休みのチャイムで目が覚める。抜群のタイミングで目を覚ましたな。「龍馬：お前眉毛ないぞ。」「え？！」「龍馬：いや，嘘。」まじで焦った。「アテナ： ふぅ〜〜〜〜！」プチン！「いてぇよ！」アテナがピンセットで俺の眉毛を一本抜きやがった。「アテナ：暇！」「体育館で遊んでこい。」「アテナ：1人じゃ 無理だよ。」「ネリスとか瑠夢とか居るだろ。」「理彩：ネリスさん，美穂さん，瑠夢ちゃん，紅葉さんは早退しましたよ。」なんだと・・・何かったの か・・・。まさかあのスコーピオンと名乗る男に召集されたというのか。「俺も早退する。」「理彩：理由も無く早退しちゃだめですよ。」「4人はなんて理由 で早退したんだ。」「理彩：わ，わかりません。」「俺は行く。絶対何かあったに違いない。彼女たちにはもう戦って欲しくない。」「理彩：私も同意見です。 しかし，それはネリスさんたちの問題です。私たちがどうがんばっても，何も変わらないと思います。」変わる。変えなくてはいけない。なぜ，俺と同い年の少 女たちが戦わないといけないんだ。ゲームの世界ならいい。何度も生き返る。しかし，これはゲームじゃない，現実。現に俺らは目にした。『死』を。誰がどういう意図でこうしたのかは知らない。そんなことはどうだっていい。た だ，俺は彼女たちを助けることだけを考えていた。今は何をすればいいかわからないけど，いつか必ず見えてくるはずだ。そのためには，まずは実行あるのみ。 「変えるんだ。」「理彩：行く当てはあるんですか？！」「・・・ない。」
「龍馬：そうでもないぜ。」龍馬が携帯の画面を見せてきた。ワンセグが繋がってるみたいだ。「レポーター：たった今，事故が起きた現場です。」事故現場が映し出される。画面は炎の赤色で染まった。カメラアングルが変わ る。ぐしゃぐしゃになった飛行機から，火が出ていた。墜落事故。しかも滑走路があるところから，どこかの空港だと予想できる。「龍馬：新羽田だ。約10分 前に事故が起きた。」「ネリスたちが早退したのは？」「理彩：2時限目終了時です。」「なら，関係無いんじゃないか？起きたのは10分前だろ？」「龍馬： この高速旅客機がアメリカを飛び立った時刻は10時20分。」「どういうことだ？」「理彩：2時限目終了時刻は10時25分です。」「この事故があること を知ってて，向かったというのか？」「龍馬：否定はできない。なんせ，彼女たちは人とは少し違う能力を持っている。」「だが，知っていて，なんらかの理由 でその場に行かないと行けないとしたならば，学校へ来なくていいんじゃないか？」「龍馬：出発と同時にその旅客機の運命が決められた。」「理彩：そん な・・・。」「龍馬：まぁ，あくまで俺の推測（妄想）だがな。行くのか？」「ああ，行くさ。」「アテナ：私も行く！」やべ，こいつに着いてきてこられると 色々と困る。俺が困った顔をすると，理彩が俺にウィンクをした。ありがとう理彩。「よし，行くぞ龍馬！」「龍馬：おう！」
・・
・
「水無月閣下：入国を許したか・・・。」「ティース：構いませんよ。これもまた予期されていた事項。むしろ，『彼』がなぜ阻止しようとしたのか。そっちのほう が問題です。」「閣下：統括部を乗っ取った男のことか。」「ティース：ええ。彼の行動には，いささか疑問点があります。目的は不明です。まぁ，私たちには どうでも良いことです。私たちの目的は・・・。」「閣下：ティース・・・私はまだ信じていない。」「ティース：いつか身をもって，知るときが来ます。私たちこそ正しい。『ヘヴンマルト』を倒せるのは，私たちだけ。すべてのイレギュラーはあれを完成させるための材料に過ぎない。」「閣下：それにしても，こちらのＮＣたちは1匹の猫ごときに尻尾を振られるのか。」「ティース：それはどうでしょうかね。」
・
・・
交通機関を駆使し，俺らは最速タイムで学校（長野）から空港（東京）に着いた。無論，中に入れる はずがない。一般出入り口は，全て警備員や警察で包囲されていた。ほんとに美穂たちがここにいるのか？「滑走路側から入った方がいいんじゃ？」「龍馬：いや，そっちのほうが無理だ。こっちだ。」龍馬が携帯を片手に走り出した。それから数十秒。関係者の入り口があった。今は表の警備と，中の事故の処理で忙しいらしく，誰も辺りにいなかった。龍馬は腕時計みたいなやつをポチポチっと押すと，そこからコードが伸び，それをカード式キーの側面の穴に差し込んだ。 ピッピピピ。ぴぽーん。はい，正解。ドアが開いた。入るとすぐに事務室みたいなところが，あったがそこには誰もいなかった。そこを通り過ぎ，右折，左折， 左折，右折，直進，右折。まるで迷路だ。走ってる最中，警備員や従業員に数名とすれ違った。これはけっこう，まずいと思う。「龍馬：ここだ。」けっこう 走った。龍馬がドアを開ける。そこは外だった。滑走路。一面を見渡し，首を右に80度曲げたぐらいにそれは視界に入った。飛行機はまだ炎上していた。俺ら はそこに走った。１００ｍぐらい走ったところで，「警備員：そこの2人！止まりなさい！ここは関係者以外立ち入り禁止だ！」俺らは気にしない。事故現場に ついた。流石に黄色いロープの中には入れない。しかし，その事故の残酷さこの距離からでもしみじみとわかった。先端は，滑走路に食い込み，斜めに飛行機が 刺さっていた。そして真ん中から，真っ二つに，飛行機は折れていた。「警備員：おい！その2人だ！」やばっ，真横に警備員が居た。「龍馬：とりあえず彼女 たちを探すぞ！」「いるのか！？」心配になってきた。「警備員：ちょ，ちょっと待ちなさい！」追っ手がだんだん増えてきた。だめだ，これ以上巻けない。 「ぐぁっ。」俺は警備員に腕を捕まれた。「龍馬：章太！俺はお前のことを忘れない。」「ちょっ！待て！」と次の瞬間には龍馬も捕まった。まぁ，命を取られ るわけでもないし，どうせ外に追い出されて終了か。龍馬はまた入るつもりなのかな？「警備員Ａ：全く，いったいどこからはいったんだ。ここは危険だ。確か に興味が沸くのもわかるが・・・。」まったくうるさい警備員だなぁ。はやくその腕放してくださいよ。「警備員Ａ：今回は，秘密にしておいてあげるからね。 こんなことしてたら親が悲しむよ。怪我でもしたらどうするの？」ほんとにいちいち，うるさい警備員だな。「警備員Ａ：君たちは学生なのっ・・・。 のっ・・・。か・・・。」舌を噛んだのか。よくしゃべる警備員は急に静かになった。とその時だった。俺の右腕を拘束していた。腕が離れた。同時に龍馬を拘束していた違う腕も離れた。「龍馬：今だ！」俺らは逃げた。走り出して10秒後ぐらいだった。「警備員Ｂ：『ハイジャック犯』が逃げたぞ！」「は！『ハイ ジャック？！』」意味がわからない。これは事故だろ！ものすごい人数の警備員たちが銃を構えて，俺らを包囲するかのように，迫ってきた。「龍馬：いったい どういうことなんだ！」「そんなのわからないよ！」「警備員Ｃ：止まれ！発砲許可はおりているんだぞ！」え？！射殺されるの？！おれたち。何もしてないって。てか，俺らがハイジャック犯じゃないなんて誰だって，わかるだろ。「警備員Ｄ：射殺しろ。」おい，待てリアルで待て。「龍馬：待ってくれ，俺たちはな にも！」パン！1人の警備員が発砲した。当たりはしなかったが，顔の真横を飛んでいった気がする。その時だった，俺の携帯の着うたが鳴り響く。俺は携帯を ポケットから出そうとすると，バン！もう一度発砲。携帯だけに見事的中した。そして次々と警備員たちが近寄って，銃をリロードする。カチャ，カチャ，カ チャ。え，俺銃なんて持ってませんよ！あ・・・。もうだめだ。殺される。おれの人生ってなんだったのだろう。・・・。・・・。・・・。
「？？： 少年，死を覚悟したことがあるか？」その声は・・・。「ネリス！」ネリスが俺の脇に腕をかけて，俺を持ち上げた。そして，そのまま宙へと舞い上がる。龍馬 は紅葉が助けていた。数十秒後，新羽田の屋上に俺らはおろされた。「龍馬：ふぅ，危なかったなぁ。でも，ここだったら，すぐ追いつかれるんじゃ？」「ネリ ス：心配は無い。あそこに居た者だけだ。」「いったい，どういうことか説明して！」「ネリス：コモンフィクス。」うん，全くわからない。「紅葉：あそこに 居た人たちは，『共通認識』を操作されたということです。」「龍馬：なるほど。」なるほどって，それだけで何でわかるんだよ。共通認識？「龍馬：つまりこういうことだ。あの場に居た俺らを見れば，誰もが不法侵入のただのガキだと思う。しかし，それは多くの人々が持つ固定観念に過ぎない。その共通したものを 変換する。それを『ハイジャック犯』と変換すれば，俺たちはたちまちハイジャック犯となるわけだ。「ネリス：人だから通用するものだ。」「美穂：今回は厄 介だね〜。」あれ，いつの間に。「瑠夢：あーあ，ミッション失敗〜。」瑠夢も居た。みんな居た。予想通りだ。居た！だが，俺は何もできなかった。むしろ助けてもらった。「ネリス：取り逃がしたか。」「美穂：もともと，見つけても居なかったじゃん。」俺らのせいで任務を失敗してしまったのか。「紅葉：居たの 確実です。」「瑠夢：今度の敵は，手強いようですね。私たちの管轄外です。」「美穂：だから，入国して欲しくなかったんでしょ？でも，全然だめじゃん。」 「ネリス：撤退命令が出た。行くぞ。」俺と龍馬は再び，楽しい楽しい飛行体験をした（笑）。
「よっと。」おりる。どこに？「な ぜ，学校に？！」「瑠夢：学祭の準備は参加しないとだめですよ。クラスには貢献すべきです。」「美穂：だんるー。」「龍馬：すげー，ほんとに飛んで た・・・。」龍馬は独り言をつぶやいていた。「ネリス：戻るぞ。」瑠夢と紅葉と美穂はすぐに屋上の階段を降りていった。「ねぇ，ネリス。」「ネリス： ん？」「また，敵なの？またセレスみたいな・・・。」「ネリス：そうだ敵だ。セレスみたいな奴とは限らない。むしろ，あんなやつは2度と現れないと思 え。」「龍馬：俺らの命も狙われているわけだからな。」俺らの命・・・。そうだ，敵はなぜ俺と龍馬を・・・。「ネリス：たまたまだ。少年，お前は何も考え なくて良い。私たちが全て片づける。」「だめだ。誰も傷ついて欲しくない。」「ネリス：大丈夫だ。保証しよう。」「な，なら・・・」きーんこーんかーんこーん。チャイムが鳴った。「龍馬：行くぞ，章太。」
・・
・
「Ms.Klon：実験成功。日本人にもちゃんと使えるわね。それに しても，さっきの子犬たち・・・。すごくいい匂いがしたわ。」
・
・・
7時限目はずっと，さっきのことを考えていた。帰りのホーム ルームが終わると，理彩が心配そうな顔で話しかけてきた。「理彩：どうでしたか？どうやら，合流できたように見えますが・・・。」「ひどいめにあった よ。」「龍馬：まったくだ。」俺は一通り理彩に説明した。「理彩：また敵ですか・・・。ならあの事件も，起こしたのは・・・。」「ネリス：あれは私たち だ。」え・・・。「理彩：え・・・。どうしてですか？」「瑠夢：やむを得ません。生存率の期待値を考えたゆえの結論です。」「美穂：だけど失敗しちゃった からね〜。あの人たちは無駄死に。」敵を入国させないためにやったのだろう。しかし，あの旅客機にはたくさんの人たちが乗っていたはずだ・・・。その命が 一瞬にして全て奪われた。「紅葉：みなさんの気持ちはわかります。だけど，こうしないと行けなかったんです。あなたたちを守るためにも・・・。」ああ，俺 もわかるさ。どういう気持ちでやったかということは・・・。世の中は本当に残酷だ。何かをする度に必ず何かが犠牲になる。これは神が決めた世界のルールだ というのか？「アテナ：ほらほら！みんなも手伝ってよ！」いろいろとアテナが木材を運んできた。うちのクラスはお化け屋敷をするらしい。「美穂：あんたは こっちを考えなさい。」昨日から書き始めた美穂の新曲だ。ということで，俺は歌詞を考え始めた。お題は『友情』らしい。美穂が決めたことなんだが，何を書けばいいか全くわからない。
（文深）約90分前。家庭訪問期間で午前授業です。と言ってもうちのクラスは先日のあの事件で，担任 が解雇されてしまい，代行で副担任が各家庭を回っているようです。あーあ，こんな早く帰ってきても暇だなぁ。お兄ちゃんも理彩お姉ちゃんもいない・・・。 アテナちゃんも。早百合（友達）ちゃんは今日遊べないって言ってたし・・・。私はおもむろにテレビをつけた。突然，画面が炎一色に染まった。「文深：あ れ。」ポチポチ。どのチャンネルを変えても同じだった。「レポーター：事故現場はこのように・・・。なぜ今の時代にこんなことが起きてしまったのかは，た だいま調査チームが調査中です。」飛行機が墜落したみたいだ。新羽田空港みたいだ。恐ろしい・・・。「音声：待ちなさい！ほらそこの！」レポーターの声以 外に，かすかにその場の人たちの声が聞こえた。するとレポーターの後ろをものすごい勢いで駆けていった人たちが居た。その姿は一瞬しか映らなかったが，確 かに見覚えはあった。「文深：お兄ちゃん！」もう1人は龍馬さんだと見た。なんで，いるんだろ・・・。すぐさま電話を駆けてみた。出ない。そりゃあんな全 速力で走ってたらわからないよね・・・。あれは絶対お兄ちゃん。私の目は正しい。約10分後，もう一度電話をかけてみた。「文深：あ，お兄ちゃん？」繋 がった。「携帯：バン！」ものすごい音が聞こえたかと思うと，電話が切れた。え？！今のって銃声だよね・・・。それから私は何度も電話をかけたが，「携帯：おかけになった電話番号は現在，電波の届かない（ｒｙ」「文深：お兄ちゃん！お兄ちゃん！」私はすぐに理彩お姉ちゃんに電話した。出ない・・・。サイ レントにしてるのかな・・・。どうしよう，どうしよう！
（章太）一通り，クラス全体でのお化け屋敷づくりはここまでらしい。まだ 2週間ぐらいあるしな。と言っても，俺らは歌詞作りしてたんだけどな。まだ18時半だ。あ，そうだ携帯。「理彩，携帯買いについてきてくれないか？」「理 彩：どうしたんですか？」」「さっきのあれで・・・。」「理彩：なるほど。いいですよ。」「美穂：あたしもついていくわ。その後，私の家へ直行，そして書 く。」やけに，積極的になったなぁ。最初は作らないとか言ってたのに。「アテナ：私も携帯欲しい！」「理彩：そういえば，アテナちゃん持ってませんでした ね。OKですよ。」近くの携帯ショップまで歩いた。すると，道の途中で，「理彩：あれ文深ちゃんから20回ぐらい着信が・・・。どうしたんでしょう。」理 彩が文深に電話をかける。「理彩：え？はい，章君ですか？大丈夫ですよ。今一緒にPtショップに向かってます。来るんですか？はい，わかりました。気をつ けてくださいね。」3分後，Ptショップについた。「文深：お兄ちゃん!!!!!!」急に文深が抱きついてきた。かなりの加速度で。「うぉっ。」「文深： 心配したんだよ！」どうやら，俺と龍馬はテレビに映ってしまっていたらしい。とりあえず，警備員や警察たちに殺されそうになったことは黙っておこう。
・・
・・
新羽田空港にて。1人の男が滑走路に立ち入った。警備員たちや警察も彼を止めようとしない。男はさっき章太たちが殺されかけたところで立ち止まり，粉砕され た章太の携帯を手に取り，こう言った。
「スコーピオン：まるで，いつしかの君の心のようだ。」
・・
・・
3連休があっという間に過ぎてしまった。そのうちの3分の2は美穂と一緒に居た気がする。とりあえず，歌は完成した。1曲だけだが。「美穂：ねぇ理彩〜，章太ったら ねぇ〜。あんなことや，こんなことしてきたさ〜。」「理彩：え，そうなんですか？！章君！なんてことを！」「い，いや何もしてないって！ほんとに，美穂が 嘘ついてるだけだ！」すると，千田が入ってきた。「千田：留学生を紹介します。入ってきてください。」再びドアが開く。「生徒たち：おおおおおおおおお お！」クラスにさらに活気が増えた。入ってきたのは，ロングの茶髪で軽い天然パーマがはいり鼻筋の通った超美形の白人女子。「留学生：Hi Nice to meet you.My name is Klon．Andrian. Please call me ku-.よぉろしぃく，おねがぁいしますぅ。」俺は嫌な予感がした。こいつが次の『敵』なんじゃないのだろうか？でも，やっぱり疑うのは良くないよ な・・・。俺はもう一度，その留学生の顔を見た。すると彼女も俺の方を向いて，パチリ。とウィンクをした。な，なんなんだこの女・・・。やっぱり，怪し い。怪しすぎる。「千田：えーと，クロン君は日本語がほとんど話せない。英語ができる者は・・・。」「龍馬：よし，任せろ。」「千田：ちょうど良いです。 龍馬君の後ろの席に座ってください。」「龍馬：うし！」「ちょ，おまえ・・・。」「理彩：朝からそこに机ありましたよ？」必然という訳か・・・。つづく。
読みどころ
「閣下：ティース・・・私はまだ信じていない。」
「ティース：いつか身をもって，知るときが来ます。私たちこそ正しい。
『ヘヴンマルト』を倒せるのは，私たちだけ。
すべてのイレギュラーはあれを完成させるための材料に過ぎない。」
ヘヴンマルトという言葉を覚えているだろうか？それは「女日七」が手にした神をも越える存在の勲章である。
次回予告
第11話「可憐な天使」
留学生クロンは超美形で，クラスの男子からモテモテ。外人もありだな，と俺も思う。
そしてそのクロンは，いち早く俺たちと仲良くなれた。だけど・・・。本当に，
可愛いだけの留学生なのだろうか。俺は『敵』じゃないかと疑っていた。