口蹄疫:殺処分拒否の種牛、県保有で「助命」検討 宮崎

2010年7月9日 10時21分 更新:7月9日 12時22分

 宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、同県高鍋町の農家が、殺処分勧告を拒否している民間種牛6頭について、東国原英夫知事は8日、県が管理して助命するよう農家が求めていることを明らかにした。農家は無償譲渡を申し出ているという。知事は「県の財産として提供いただけるのであればありがたい」と述べ、6頭の感染の痕跡を調べる抗体検査を国に求め、助命に向け協議する考えを明らかにした。

 県庁で取材に応じた。知事は同日、種牛の所有者で殺処分勧告を拒否している薦田長久さん(72)方を訪問。薦田さんから「畜産復興に役立ててほしい」と無償譲渡の申し出があったという。

 この問題は平等性の観点からも議論を呼んでいる。県の種牛は避難、民間の種牛は殺処分という不公平について、知事は6頭を県の所有とすることでクリアできると解釈。一方、口蹄疫対策特措法に基づき、多くの農家がワクチン接種と殺処分を受け入れていることについては、無償譲渡が勧告拒否のペナルティーになるとの認識を示した。さらに口蹄疫が終息傾向にあり、すぐに殺処分が必要な状況でないことも理由に挙げた。今後、他の農家の理解が得られるか受け止め方を聞く意向を明らかにしたが「最後は政治判断」と述べた。

 高鍋町を含む口蹄疫の発生集中地域の移動・搬出制限区域は16日にも解除される見通しだが、国はその前提として6頭を含む全頭処分を求めている。篠原孝副農相は8日午前、記者団に「対応を見守りつつ判断したい」と述べており、殺処分ありきの態度が軟化する可能性もある。農水省は将来に備えた種牛など遺伝子資源となる家畜を守るルールづくりに着手している。【石田宗久、川上珠実】

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