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2010年上半期の全国企業倒産状況 - 帝国データと商工リサーチの値を比較

2010/07/09

    7月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2010年上半期(1月から6月)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では5,989件/4兆1,546億8,100万円、商工リサーチの発表では6,790件/4兆2,381万3,500万円となっている。

    帝国データバンクの調査結果

    2010年上半期の全国企業倒産の件数は、前年同期の7,023件を14.7%下回り、2005年4月の集計基準変更後、上半期として初の前年同期比減少となった。半期ベースでは、前年同期まで7期連続で前期を上回ったが、2009年下半期から2期連続で前期を下回った。月別推移でも、1月の前年同月比17.9%減を筆頭に、全月で前年同月を下回った。

    2010年上半期の全国企業の負債総額は前年同期の4兆5,941億6,000万円と比べて9.6%減となり、3年ぶりに前年同期を下回った。1月の日本航空など3社の負債総額だけで2兆3,221億8,100万円と全体の55.9%を占めており、3社を除くと半期ベースで最低の1兆8,325億円の負債総額と、縮小傾向がより鮮明となった。

    年半期別全国企業倒産件数 資料:帝国データバンク

    年半期別負債総額の推移 資料:帝国データバンク

    業種別では、7業種すべてで前年同期比減少となった。減少率は上から不動産業(34.2%減)、卸売業(25.1%減)、運輸・通信業(21.5%減)となり、また、減少幅は上から卸売業(280件減)、建設業(266件)、製造業(178件減)となった。

    倒産動向の注目点としては、「外食産業で336件発生、半期ベースで最多を更新」、「ソフトウェア開発で95件発生、上半期としては最多」、「上場企業の子会社・関連会社で29件発生、過去2番目の高水準」、「倒産企業従業員数は5万4,121人で前年同期比25.9%の大幅減少」が挙げられている。

    同社は今後の見通しとして、過去の経験則(「景気拡張期入りした直後は倒産が減少するが"景気の山"にたどり着く半年から1年前には総じて増加に転ずる」「このタイミングで他の業種に先んじて景気動向に敏感に反応する小売業・サービス業・運輸・通信業が増加に転じる」)と景気回復のペースが次第に減速しつつある現状から、半年から1年後に倒産が増加に転じることもありうるとしている。

    加えて、政策効果の息切れ、デフレ、為替相場の変動、原材料高などが、さらなる収益悪化、倒産の反転増につながりかねず、早ければ年内遅くとも年度内から倒産が増加に転じる可能性があるという。

    商工リサーチの調査結果

    2010年上半期の倒産件数は、8,169件だった前年同期に対して16.8%減で、上半期として5年ぶりに前年同期比を下回った。また、6,629件だった2006年以来4年ぶりに7,000件を下回り、上半期では戦後27番目となった。都道府県別では、42都道府県で前年同期を下回り全国的に倒産が減少した。

    2010年上半期の負債総額は、4兆6,853億3,600万円だった前年に対し9.5%減だが、上半期としては戦後9番目の規模となった。規模が拡大した要因として、1月の日本航空と関連2社の会社更生法申請が挙げられている。ただし全体としては、負債100億円以上の大型倒産が前年同期比65.7%減の24件(前年同期70件)と大幅に減少した。上場企業倒産は、大手企業の景況感改善もあり前年同期比77.7%減の4件(前年同期18件)にとどまった。

    企業倒産 上半期の推移 資料:商工リサーチ

    産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、8産業で倒産件数が前年比減少となった。増加したのは、農・林・漁・鉱業(31.2%増、32件→42件)と情報通信業(6.3%増、283件→301件)の2産業。

    主要産業倒産件数 上半期の推移 資料:商工リサーチ

    地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区すべてで前年比減少となった。都道府県別倒産件数では、宮城・栃木・愛知・島根・徳島の5県が前年同期を上回った。


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