中洲に活気を取り戻すには
中洲に活気を取り戻すには 07/02 19:22

企業の景況感は改善しつつあるようですが、長期にわたる景気の低迷で、九州最大の歓楽街・中洲からは客足が遠のいています。

政治に、有効な景気対策を求める声が高まっていますが、参議院選挙・福岡選挙区の立候補者は、どう応えるのでしょうか。

【中洲】

ネオンが点灯し始める頃、一夜のオアシスを彩る、「夜の蝶」が出勤を急ぎ、中洲は目を覚まします。

この日、多くの企業で株主総会が終わり、公務員にはボーナスが支給されました。

歓楽街がにぎわう書き入れ時です。

小河さんは、中洲で28年間、1人でこの「リトルウィング」を切り盛りしてきました。

グループサウンズや洋楽のライブを売りにしています。

●「リトルウィング」マスター・小河克己さん
「どっちかといえば、閉店している店が多いですね。開店祝いの花はめったに見ないですね」

料金はオープン以来、ほとんどかわっていませんが、客足はめっきり減りました。

ただ、「不況にも慣れた」と口にします。

●小河さん「がんばってますよ。きついながらに。きつい顔をお客さんの前でできないから楽しくやってます」

●麻生太郎元総理大臣「今回の不況は全治3年。景気がよくなるのに3年かかります。(自民党の時に)3年、時間をいただいたら景気を良くしますから」

●菅直人総理大臣「根本から立て直して、もっと元気のいい国にしていきたい」

きのう、日経平均株価は今年の最安値を記録。

2010年分の路線価は、来年、全線開業する九州新幹線で活気づいているはずの博多駅前でさえ、下落が進みました。

景気の影響がはっきりと出るのは、歓楽街といわれています。

会社の経費を削られ、財布の紐を奥さんに握られ、飲食店の経営者は頭を抱えています。

中洲も例外ではないようです。

「クラブ嶋」の佐和子ママは、38年間、客の喜怒哀楽を受け止め、癒し続けてきました。

●「クラブ嶋」の客
「我が家では私の言うことは、誰にも聞いてもらえないけど、中洲だと聞いてもらえる」
「楽しく飲んで、あくる日稼ぐというのがいいんじゃないですか」
「中洲の店のお付き合いというのは、とても大切なところがあります。それが分かるか分からないかはちがうところですが」

社用族は、確かに減っています。

企業戦士の一夜のオアシスとなれるよう、笑顔を絶やさない佐和子ママも、景気の先行きが厳しいことを肌で感じています。

●「クラブ嶋」ママ・嶋佐和子さん
「お客様の元気が無いんです。バブル崩壊後は、もっとひどい。怒りはエネルギーを生む。だけど不安は気力を失わせる。今、お客様を見ていると気力を感じないんですよ」

選挙戦では各候補者が景気対策を訴えています。

中洲にどうすれば活気が戻るか聞いてみました。

●民主党・大久保勉候補
「ホークスが勝ってもらってホークスファンが全国から集まって、中洲で祝杯を挙げるのが一番良いのでは」

●自民党・大家敏志候補
「焼酎ですね。交際費の枠をもう少し取り払っても良いのでは」

●みんなの党・佐藤正夫候補
「経済というのは、お金が回って初めて『経済』なんです。日銀の法律を変えて、中小企業にお金が回るように銀行をバンカーにしないといけない。銀行がリスクをとらなすぎる」

●無所属(社民・民主推薦)・堤要候補
「雇用政策を充実して皆がチカラを発揮できる。そういう社会にすることで日本経済を立て直す」

●共産党・篠田清候補
「中小企業と国民の懐を豊かにすることが、中洲を繁栄させる一番のもと」

●諸派・吉冨和枝候補
「新しい産業を立ち上げ、一番困っている350万人近いといわれる失業者の方々を救って、みんなの給料を増やしていくこと」

●国民新党・吉村剛太郎候補
「3年間で100兆円規模の財政金融政策で、名目5パーセントのGDPをおしあげることによって、それによって経済を活性化する、それによって中洲も潤う」

きょうは稼ぎ時の金曜日。

歓楽街のネオンは多くの人を引き付けます。

●「クラブ嶋」佐和子ママ
「あらゆる党派、みんなで日本を良くして欲しい」

●「リトルウィング」小河さん
「僕たちに日本に夢を持たせて欲しいですね」

●「クラブ嶋」の客「我々がビジネスでうそをついたら、絶対にお客さんは付いてきてくれないですけどね」

中洲を訪れる人の思いはそれぞれです。

酒を飲み、口にする不安や悩みは、喧騒の中にかき消されがちですが、気持ちを前向きにするにはどうすればよいのか。

参議院選挙への投票もその手段の一つのはずです。