それぞれに定数削減や選挙制度見直しを競っているものの、我田引水の面が目につき、国会のあるべき姿は見えてこない−。国会改革についての各党の公約を読み比べた印象だ。
国会議員の数は少なければいいというものではない。定数を減らすと、声の小さな人たちの利害を国政に反映させるのがどうしても難しくなる。
国民の支持を取り付けたいと各党が思うなら「1票の格差」を是正した上で議員の資質を高め、審議を充実させるのが先決だ。
民主党は参院で「40程度」、衆院では比例の80削減を打ち出した。自民党は国会議員定数を3年後に1割、6年後には3割減らす、とする。公明党、国民新党、たちあがれ日本、みんなの党も定数削減を打ち出している。
これに対し共産党、社民党、新党改革は、小選挙区制の廃止や比例代表を中心とする制度への見直しを主張する。小選挙区制の下で定数が減らされると、大政党にますます有利になることを警戒しているのだろう。
国会が改革の必要に迫られているのは事実だ。例えば「政治とカネ」の問題が後を絶たない。
とりわけ参院は「衆院のカーボンコピー」との不名誉な呼び方を返上できないでいる。5年前には、郵政法案の参院での否決を受け、当時の小泉純一郎首相が衆院を解散して法案を強引に成立させた。衆参のゆがんだ関係を見せつける一幕だった。
だからといって、各党が定数削減に走るのは短絡的に過ぎる。衆院に小選挙区制が導入されてから、得票率の小さな差が獲得議席の大きな差となって現れるようになった。定数を減らせば、中小の政党が国会に議員を送り込むのはさらに難しくなるだろう。
そもそも人口に比べた国会議員の数は、日本はほかの先進国に比べ、むしろ少ない方である。
国会が信頼を取り戻す道はいろいろある。例えば参院は比例代表だけにして、審議する法案も決算に限定する、といったやり方だ。そうすれば、参院は「良識の府」「熟慮の府」の側面をいくらかは取り戻すだろう。
その前に「1票の格差」の是正がある。今度の参院選でも最大で約5倍もの格差がある。1票の効力がこうも違うのでは「法の下の平等」の掛け声もむなしい。
この問題に裁判所が向ける目は年々厳しくなっている。3年後の参院選、次回の総選挙までには必ず、格差を縮めておくべきだ。