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社説

’10参院選 比例定数削減 少数意見を封殺せぬか(7月3日)

 有権者の声を国政に届ける。国会議員はその重要な役割を担っている。

 ところが民主、自民の二大政党は今回の政権公約で議員定数の削減を競っている。とりわけ見逃せないのは、民主党が衆院比例定数の80削減を主張していることだ。

 菅直人首相や枝野幸男幹事長は、秋の臨時国会に定数削減のための公職選挙法改正案を提出するとまで踏み込んだ。消費税増税に向け「議員自らが血を流す」というが、乱暴すぎる。筋違いではあるまいか。

 国会で民意を代表する議員の数や選挙制度のあり方は、各党の消長にも直結する。民主主義の土台にかかわる重大なテーマだ。

 自民党は、衆院480、参院242を合わせた議員定数を3年後に1割、6年後に3割削減するとした。公約には明記していないものの、民主党と同様に比例削減を念頭に置いているとみられる。

 仮に民主党案の80削減を実施した場合、衆院は民主、自民両党で9割以上を占めるという試算もある。

 これでは国会は大政党に独占されてしまう。共産、社民両党などが「少数政党の切り捨てにつながる」と反対するのは当然である。

 政治改革の原点を確認したい。

 そもそも衆院に導入された小選挙区比例代表並立制は小選挙区中心の制度で、現行は小選挙区300、比例代表180だ。当選者が1人の小選挙区制は政権交代を促す半面、死票が多くなる欠点がある。

 少数意見を反映させる比例代表にはその欠点を補う狙いがあった。

 いま政治の課題は、消費税をめぐる論議や、社会保障のあり方、雇用の創出など暮らしに直結するものばかりだ。

 そうした問題に政治が道筋をつけるには、できる限り国民の声を幅広く反映する国会の姿が求められる。

 日本が小選挙区制導入の手本とした英国では、5月の総選挙で第3党の自民党が躍進し、第1党の保守党と連立して政権交代を果たした。

 単純小選挙区制では多様化する国民意識を汲みきれないとして、新政権の下で比例代表制の併用を検討する動きも出ている。

 日本の国会議員数は人口比でみると、英、仏、独などより少なく、国際的にみて多い方ではない。定数を削減することが直ちに国民の期待に応える道だとは言い切れまい。

 先の通常国会は「政治とカネ」の問題などで重要法案が十分審議されず、国会の空洞化が目に余った。こうした現状を改め、充実した審議を実現していくことこそが、まず政治に課された仕事だろう。

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