【コラム】陰謀論者による海外での会見
国際合同調査団には、平壌に大使館を置くスウェーデンも担当者を派遣した。この調査団が韓国政府と共謀して調査結果を捏造したという主張を信じる人は意外と多い。彼らは、「政府は統一地方選挙に利用するために、46人の乗組員をわざわざ殺害した」と信じているのだ。韓国社会にはこの種の主張があまりにも多いため、海外に在住する二人の大学教授が海外のマスコミを相手に会見を行うこと自体、さして驚くべきことではない。とんでもない主張を行うのも彼らの自由だ。自国に泥を塗り、家族を失った悲しみで今なお苦しむ遺族の心を踏みにじる結果を招いたとしても、彼らにはどうでもよいことだ。
しかし、今回の会見だけは本当にふに落ちない。イ教授は過去に日本で1年間、客員教授として教えたことがあるそうだが、それでも自らが暮らす米国ではなく、また事件が起こった韓国でもなく、わざわざ日本で会見を行うことにしたのはなぜだろうか。韓国の左派系マスコミや団体などは、今回の会見について、日本の外国特派員協会(FCCJ)からの招待で開催されるかのように報じている。しかし、記者が8日に同協会に問い合せたところ、この会見は協会側が要請したものではなく、二人の方から協会側に要請し、これを協会が受け入れて実現に至ったという。韓国の外交当局者は、二人が米国でも韓国でもなく、日本で会見を開くことについて、「中国を除けば、自分たちの主張が受け入れられる可能性のある国は日本だと考えたのではないか。日本では在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)など北朝鮮側の勢力も活動しているからだ」と語る。さらに別の理由があるとすれば、韓国では自分たちの主張を広められるほどの確信も自信もないのだろう。
韓国の一部マスコミは、外国特派員協会が公開した報道資料の中に、「北朝鮮の魚雷による沈没という韓国政府の主張は、これまでの太陽政策による和解ムードを崩壊させるための陰謀」と記載されていると報じた。しかし問題の報道資料を確認すると、どこにもそのような文言はない。それどころか、「二人の大学教授の話は“太陽政策を破棄するための陰謀の犠牲者は北朝鮮”という北朝鮮の主張を後押ししている」という文言がある。つまり協会は、二人の主張を「北朝鮮の主張を後押ししている」と紹介しているのだが、韓国の一部マスコミは、協会が天安陰謀論を擁護しているかのように報じているのだ。
二人をはじめとする「天安陰謀論」を主張するグループは、「国益に劣らず重要なのは真実」と普段から口にしている。しかし、日本の外国特派員協会が出した報道資料の内容を自分勝手に捏造し、天安とは直接関係のない日本で会見を開く二人の行動は、「真実と堂々とした態度」という自分たちの普段からの主張が、いかに空虚なものかを示している。
鄭佑相(チョン・ウサン)政治部外交チーム長